東日本大震災と7日深夜の大きな余震により、仙台市宮城野区の岩切地区で、甚大な建物被害が出ている。町内会関係者によると、地区内の住宅の約4割が被害に遭っているという。地区内の避難所は既に閉鎖されており、防犯上の不安もあって、損壊した建物や車内で寝泊まりしている人もいる。住民は「被害が大きいのに、行政の支援から取り残されている」と不安を訴える。岩切地区の今市東に住む会社役員相沢明さん(56)、久子さん(56)夫妻は震災以降、ブルーシートを張った自宅車庫で暮らす。夜は車の中で寝ている。築17年の木造2階の住宅は壁が崩れ落ち、玄関も壊れ、電気やガスも使えない。保険会社には「全壊」と言われたという。久子さんは「住める状態じゃなくても、戸締まりできないので、家を空けるわけにはいかない」と訴える。宮城野区で最大震度6強を観測した7日の余震で状況は悪化。地区内は瓦が崩れるなどして、ブルーシートで覆われている住宅が目立つ。陥没や段差で、通行止めになっている道路も多い。市の被害把握は進んでいない。宮城野区区民生活課は「沿岸部の被害が大きく、そちらを先行せざるを得ない。罹災(りさい)証明の調査で被害が把握できるが、内陸部は進んでいない」と説明する。地区内にある岩切小の避難所は9日閉鎖。区は「さらに被害が増えれば、地区内に避難所を開設することもあり得るが、現状では空きのある避難所に避難してほしい」(総務課)と地区外の田子、福室両市民センターなどへの避難を勧める。25年前に増築した部分を残して、築約50年の自宅がほぼ全壊した女性(51)は増築部分にブルーシートを張って母親(78)と生活する。「先祖からの土地なので離れられずにいるが、この辺はもう『ブルーシート・タウン』。被害は深刻なのに、公的な支援から見捨てられた感じがする」と話している。(浦響子) 河北新報/2011年04月20日水曜日
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