2025年5月24日土曜日

5月10日、宮城県美ネット共同代表のお話を聞きに伺いました。

宮城県美術館、都市景観の未来、そして前川國男の遺産。と言うタイトルで時間は 14時から17時30分迄、会場は後期高齢者には不便な狭くて急な階段、学生には問題無さそうですがハンデキャップの在る学生には適さない会場。トイレも判りにくい不思議な東北大学川内キャンバス・マルチメデイア教育講義棟2階でした。開会挨拶は野家啓一先生、第一部、人々の記憶をつなぐ宮城県美術館のタイトルで西大立目祥子さん。前川國男先生のプロセス・・・裏ばなしのタイトルで大宇根弘司先生のお話しを楽しく聞く事が出来ました。休憩が入り、その時、西大立目さん、大宇根先生、高橋直子さん、虫明先生夫妻、三上さんにご挨拶出来ました。後半の松隅洋先生の話も、特にル・コルビジェの話でクセナキストと一緒に



岡島レポート・ 2019 W杯・備忘録 277

広辞苑によれば  運動会は  秋の季語    最近  この時期に運動会をすることが増えてきているような 季語の季節間移動  なんていうのも あるのですかね・・・・・

                                                        2019 W杯・備忘録 277

           ~ 2025 六か国対抗 10 ~

 

先週末のリーグワン・プレーオフの試合 ヤマハが相手陣22m内での展開中・ゴールポスト正面付近で モールを組もうとした。かつてRSAが試みたのを見た記憶があるが いずれも「未遂」に終わっている。モールを意図的に組む! 難しい課題だ。

 

エレロ著『ラグビー愛好辞典』「モール」の項は 次のような書き出しで始まる。

『スクラムが ラグビーの母ならば モールは 父だ! ラグビー校で生まれた新たなスポーツ エナジーに溢れ・協調精神に満ちた生徒200人が組んだスクラムこそ まさにモールだった。なんという加入儀礼。モールは 我々のアブラハム、始原だ。』(p280

 

六か国対抗・チームスタッツ Break Down中の Mauls Wonについて取り上げてみる。

 

(表-1 Mauls Won2025

 

FRA

ENG

IRE

SCO

ITA

WAL

1試合当

FRA

 *

    4

    8

    9

    7

    9

    7.4

ENG

    3

 *

    3

    4

    7

    4

    4.2

IRE

    4

    3

 *

    1

    4

    2

    2.8

SCO

    5

    4

    3

 *

    5

    6

    4.6

ITA

    3

    1

    2

    3

 *

    6

    3

WAL

    2

    4

    5

    3

    6

 *

    4

1試合当

    3.4

    3.2

    4.2

    4

    5.8

    5.4

    4.3

15試合中 モールの回数が多いチームが勝利した試合が 9試合。同数の試合が 3試合。少ないチームが勝利したのが 3試合。

FRAが 全5試合 相手チームよりも 多い。一方で IREは 意外と(?) 少ない。

では IREがグランドスラムを達成した 2023は どうだったのか?

(表-2 Mauls Won2023

 

FRA

ENG

IRE

SCO

ITA

WAL

1試合当

FRA

 *

    2

    4

    3

    6

    2

    3.4

ENG

    2

 *

    5

    5

    9

    0

    4.2

IRE

    7

    7

 *

    8

    9

   11

    8.4

SCO

   10

    1

    4

 *

    3

   11

    5.8

ITA

    5

    1

    3

    6

 *

    7

    4.4

WAL

    4

    1

    3

    7

    6

 *

    4.2

1試合当

    5.6

    2.4

    3.8

    5.8

    6.6

    6.2

    5.1

モールの回数が多いチームが勝利した試合が 8試合。同数の試合が 1試合。少ないチームが勝利したのが 6試合。

IREは 全5試合 相手よりもモール数が多く・全勝した。

興味深い数値だ。

IREが 「ボールを保持し・前進し・ラックを連取しながら・相手チームのPを誘い・PKを相手トライライン手前に蹴りだし・そのマイボールラインアウトからモールを組み トライを取る」シーンを何度も見てきた気がする。そして WRランキングNo.1に登り詰めた が W杯では ベスト8で 敗退した。何かが欠けている その何かを コーチ陣がどこに求めているのか 2025年は W杯の中間年 各チーム 「普請中」のこの時期 モール数の変化は 一つの指標になりそうだ。

 

「今は昔」五か国対抗時 チビ揃いのFRA ラインアウトは からっきし ダメだった。大男のアングロサクソンに いつも痛い目にあってきた。それが リフティングが導入されて 少し 風向きが変わった。そして ガイジンの移入。FRA2列目も RSA出身者が のさばるようになってきた。2019W杯のルルー 2023W杯のウィレムセなど。2025年には サモア系の巨漢:メアフー(彼は 出生・血縁関係から サモア・NZ・オーストラリア代表には 瞬時になれたのだが 5年在住条件を満たして FRA代表を選んでいる)が 5番を背負うようになっている。ラインアウト・モールに関していえば こうしたことが 大きく作用して FRAは ラインアウト・モールを 苦手から得意手に変えている。

このところ モールを目にするのは ラインアウト直後だけの感がある。が かつては そうでもなかった(というか リフティング導入以前 ラインアウト直後のモールって あまりなかった)ような気もする。

エレロ「モール」の項は こう続く。

『競技規則によれば ボールキャリアーが相手に捕まえられ・味方選手が助勢のために密着した時点で モールがはじまる。モールを構成するためには 3人の選手が必要である が 上限の人数はない。15人対15人のモールも想像しうる。

モールの目的は明確だ:相手を凌駕するため 密着し 前進する。固まって、前へ!

((中略)モールに対する 否定的な評価もある)

だが ラグビー界は モールに 限りない敬意を払う。モールは ラグビーの原点であり 疑いが生じた時に立ち返るべき本源だ。… スピード感に欠け・垢抜けしないが 愛すべき未完のセットプレー それが モールだ』(p282

 

戦術・戦略が 均一化しつつある 現代ラグビー。違いを何に求めるのか 各チームが 模索しているのだろう。次回のW杯 どんなモールが見られるのか 楽しみにしていたい。

令和7524

2025年5月18日日曜日

岡島レポート・2019 W杯・備忘録 276

 季節も おかしくなってきたというか 昔が 正常だったわけでもなさそうな まさに 諸行無常…    

                                                                       2019 W杯・備忘録 276

                                                  〜  2025 六か国対抗 9 〜

 

先週末のリーグワンの試合を J-sportで見ていたら 解説者の野澤武史さんが「ラックなんて 少ない方がいいんです」というようなことを言っていた。なるほど! もちろん 真意を曲解している可能性大だけれども 妙に説得力があった。

では ラック数と勝敗 どうなっていたか。今年の六か国対抗15試合で見てみる。

(表-1 Rucks Won2025

 

FRA

ENG

IRE

SCO

ITA

WAL

1試合当

FRA

 *

   70

   62

   70

  109

  103

   82.8

ENG

   66

 *

   89

   63

   91

   83

   78.4

IRE

  115

   90

 *

   65

   94

   86

   90

SCO

  111

  129

  103

 *

  123

  135

  120.2

ITA

   61

   64

   75

  73

 *

   60

   66.6

WAL

  125

   87

  106

   86

   91

 *

   99

1試合当

   95.6

   88

   87

   71.4

  101.6

   93.4

   89.5

 

全15試合で見ると Rucks Won数多いチームが勝利したのが 6試合。ただし そのうち4試合は ITA戦。WAL戦が1試合。4強間の戦いは IRE90-89ENGだけ(この試合は ほぼ同数)。ということは FRAENGIRESCO間の試合は 「Rucks Won数が少ないチーム」が勝利している。

ラックを極め尽くした感のあるシュミットIRE。最近読んだセクストンの自伝では シュミットの細部へのこだわりが 生々しく書かれていて 印象的だった。

では ラックでの不確実性を回避するためには シュミット・メソッド以外に どういう手段がありうるのか?

たまたま 2002年に出版された ウェールズの英雄:ガレス・エドワーズの「Tackling Rugby : The Changing World of Professional Rugby」を読み返していたら 第7 The Influence of Rugby League の中に 次の部分があった。

Larder(注:リーグの名選手・監督) believes the role of running forwards in the ways you try to break a defensive line and also how to stand up and offload are fundamental.p180

なるほど! 13人制ラグビーは ボールが地面に着いたら 試合停止になる=ラックが存在しない⇒立ってプレーする・ボールを繋ぐことが必須になる⇒オフロードは 重要なスキルである。

ということで Offloads数を見てみる。

 

(表-2  Offloads2025

 

FRA

ENG

IRE

SCO

ITA

WAL

1試合当

FRA

 *

    9

    9

    5

   27

   13

   12.6

ENG

    5

 *

    3

    3

   12

    6

    5.8

IRE

    8

    9

 *

    2

    1

    8

    5.6

SCO

   14

   10

    9

 *

   14

   16

   12.6

ITA

    4

    4

    3

    5

 *

    0

    3.2

WAL

    5

    5

   13

    1

    3

 *

    5.4

1試合当

    7.2

    7.4    

    7.4

    3.2

   11.4

    8.6

    7.5

 

FRAITA戦での「27」 興味深い。

今大会途中でHCの交代したWAL。直後のIRE戦 18-27で敗北したものの善戦したイメージがあった。その要因の一つにOffloads13」があったような気がする。

「使いよう」のOffloads かつてのエディーJPNや今大会のITAのように 封印するのも 一つである。その意味でも チームフィロソフィーが出てくる数値だと感じている。

 

PossessionRucks WonOffloads 関連性のある数値だと感じている。

今大会の各チームの平均値は 以下の通り。

 

(表-3  PossessionRucks WonOffloads:2025)

 

FRA

  ENG

  IRE

  SCO

  ITA

  WAL

Possession

   49.8

   49.8

   50

   56.6

   42.6

   51.2

Rucks W

   82.8

   78.4

   90

  120.2

   66.6

   99

Offloads

   12.6

    5.8

    5.6

   12.6

    3.2

    5.4

 

ちなみに 2023の各チームの数値は以下の通り。

(表-4  PossessionRucks WonOffloads:2023)

 

  FRA

  ENG

  IRE

  SCO

  ITA

  WAL

Possession

   45.6

   50.8

   52

   50

   52

   49.6

Rucks W

   71.4

   90.8

  106.6

   87.8

   92.2

   88.2

Offloads

    9

    4.2

    6

    8

    7.2

    9.2

 

FRAENGIRESCOは HCが留任した。勝ち切れなかった部分をどこに見出して 何を付加してきているのか 実に興味深い。

令和7517

岡島