2020年10月31日土曜日
今日は10月31日、食事は・・・
岡島レポート・2019 W杯・備忘録 50
2019 W杯・備忘録 50
~ 一年、三年、二年 ~
あの決勝戦、ノーサイドの笛を聞いてから一年。
もう一年もたったのか、まだ一年なのか、あるいは、同じ晩秋なのにこんなに環境が変わった一年だな、とかのいろいろな感慨が湧いてくる。
代表チームにとっては、次回大会まで三年を切った。三年の間にやれることは限られている。どこまで代表チームを磨き上げられるか、たった三年しかない。
観る側からすると、お祭りの後の寂寞感が薄れ、次のお祭りの前の待望感が芽生え始めるころ。三年間、何に興味を持ってお祭りを待っているのか、そんな日々が始まる時でもある。
代表チームHC・スタッフにとっては、二年目が始動する。真価が問われ始める時期になる。ほとんどの国で、選手のトレーニング・試合機会は所属クラブチームに依存している。代表チームとして活動・試合する期間は一年のうちの数週間しかない。次回大会まで三年あっても、実質的には、たった数カ月しかない。おそらく多くの代表チームHCにとって、焦燥感が芽生えてくるのではないだろうか。首筋が寒くなる面々が露わになってくる時期でもある。
世界のラグビーシーンは、「四季の巡り」ならぬ「四年周期」で回っている。
日本代表のW杯に至るまでの試合数(テストマッチ数)を過去3大会前に焦点を当てて振り反ってみる。日本ラグビー協会のホームページの「代表キャップ対象試合」では、1930年の対ブリティッシュ・コロンビア戦から2018年までの318試合が掲載されている。(最近、閲覧したが、なぜか、2018年までの試合しか掲載されていない。)
日本代表の試合数
| W杯3年前 | 2年前 | 1年前 | W杯年 |
第7回W杯 (2011年) | 11 (4) | 10 (4) | 9 (4) | 13 (4+4) |
第8回W杯 (2015年) | 9 (4) | 13 (4) | 10 (4) | 15 (4+4) |
第9回W杯 (2019年) | 11 (4) | 10 (4) | 6 |
|
(注)( )内は、アジアのチームとの試合数で内数。2008年~2013年は「HSBCアジア五カ国対抗」、2014年は「アジア五か国対抗」、2015年~2017年は「アジアラグビーチャンピオンシップ」。
次回大会までに日本代表が何試合出来るのか、気になるところである。
それと、今後、アジア地域での大会をどのように牽引してゆくのかも問われることになるのだろう。
先日、FRA/WALのWarming up Game(G3)が行われた。昨年のW杯準々決勝(G1)、本年2月の6か国対抗(G2)に続いて3試合目である。
W杯から今年の6か国対抗の間に両チームのHC・スタッフが変った。選手は、WALで見ると、A.W.ジョーンズ主将以下、大きな変動はなかった。それに対して、FRAはギラド主将が代表引退したほか、かなりの変更があった。
先発15人で見ると、新顔(G1の23人以外)は、FRA・7人、WAL・1人。
23人で見ると、新顔は、FRA・13人、WAL・6人である。
G2とG3のメンバーで比較してみると、FRAは負傷欠場の1人を除いて22人が同じメンバー、WALは新顔・代表復帰が8人。WALも移行期に入ってきた。
各試合のSLP比は次の通り。
FRAボールのリスタートは次の通り。
| S | L | P |
G1 | 4 | 13 | 6 |
G2 | 3 | 10 | 7 |
G3 | 7 | 7 | 4 |
WALボールのリスタートは次の通り。
| S | L | P |
G1 | 4 | 11 | 8 |
G2 | 10 | 13 | 13 |
G3 | 3 | 13 | 16 |
試合結果は、G1:WAL 20-19 FRA、G2:FRA 27-23 WAL、G3:FRA 38-21 WAL
G3、フランスはペナルティを続けざまに取られるが危なげなく勝ち切った。フランスらしい、と言うべきなのだろうか。
本年2月の対戦で一番話題になったのが、WAL人ショーン・エドワード・DFコーチ。W杯ではガットランドHCの下でWAL準決勝進出に大きく貢献し、大会後FRAガルティエHCの招聘に応じてFRAのDFコーチに。そして、G2では、W杯時のWALばりのラッシュディフェンスでFRAを勝利に導いた。
今回のWUGでは、ラッシュディフェンスを封印していた。「化かしあい」の時期に入ったのだろうか…
W杯後、選手・スタッフだけでなく、レフリーも交代期に入っている。新しい主審がテストマッチを吹いている。チーム・選手が一団となって移動するのは、現時点では困難かもしれないが、日本人レフリーの参加が叶わないのかな、と感ずる。
大会前にランキング1位に上り詰めたWALのジョーンズ主将、IREのセクストン主将、ともに35歳でグランドに立ち続けている。この二人が、いつの時点でそのような形で後任に引き継いでゆくのか、それとも次回大会でも雄姿が観られるのか、気になるところである。
変則的な国際試合カレンダーになってはいるが、主要国で代表チームが活動していないのは、RSAとJPNだけ。他の代表チームはそれなりに試合を重ねてきている。この時期の過ごし方が次回大会でのパフォーマンスにどれだけ影響するのか、それはそれで見物である。実は、まったく影響しないのかもしれない。一年間、試合から遠ざかることによって、却っていい影響が出てくるのかもしれない。果報は寝て待て、なのだろうか。
南半球では、RSA抜きのラグビー・チャンピオン・シップが始まる。
北半球では、オータム・ネーション・カップが始まる。順当に進めば、4位対決で史上初のITA/GEO戦が観られるかもしれない。
楽しみの晩秋である。
令和2年10月31日
岡島レポート・2019 W杯・備忘録 49
2019 W杯・備忘録 49
~ S:L:P比 ~
リスタートは、投手がボールを投げることである。
リスタートは、キックオフ、スクラム、ラインアウト、ペナルティキック、ドロップアウト、フリーキックの6類型がある。
① 1試合平均スクラム、ラインアウト、ペナルティ数
| S | L | P |
決勝ラウンド | 11.9 | 21.7 | 16.4 |
予選Pool | 14.2 | 25.4 | 16.8 |
いずれも、スクラム回数 〈 ペナルティ回数 〈 ラインアウト回数 となっている。
この3リスタートで、決勝ラウンドは50回、予選Poolは56回再開されている。すなわち、少なくとも、2分弱に1回は笛が吹かれていることになる。
| S | L | P |
決勝ラウンド | 1 | 1.8 | 1.4 |
予選Pool | 1 | 1.8 | 1.2 |
スクラム:ラインアウトの比率が、1:1.8 で同じであるというのは偶然なのだろうか?
ほぼすべての試合で、スクラムの2倍近い回数のラインアウトが行われている。
③ 勝者と敗者のリスタート回数の違い
決勝ラウンドと各予選Poolの数値を見ていると、スクラム回数が、決勝ラウンドでは勝者の方が多いのに対して、予選Poolでは敗者の方が多くなっている。
スクラムの原因であるノックオンその他のハンドリングエラーが攻めていて生じるのか、それともディフェンス(タックルなど)に起因するのか、の違いなのだろうか?今大会は、予選Pool時の暑さの影響があるのかもしれない。
決勝ラウンド(7試合) 1試合平均
| S | L | P |
勝者 | 6.9 | 10 | 8.1 |
敗者 | 5 | 11.7 | 8.3 |
予選Pool A(10試合) 1試合平均
| S | L | P |
勝者 | 6.1 | 12.1 | 8.4 |
敗者 | 7.5 | 11.7 | 7.8 |
予選Pool B(8試合) 1試合平均
| S | L | P |
勝者 | 7.4 | 13.1 | 9.9 |
敗者 | 8.1 | 11.9 | 5.3 |
予選Pool C(9試合) 1試合平均
| S | L | P |
勝者 | 5.3 | 12.6 | 7.4 |
敗者 | 7.9 | 15.3 | 8.6 |
予選Pool D(10試合) 1試合平均
| S | L | P |
勝者 | 6.8 | 13.9 | 10.6 |
敗者 | 7.8 | 11.2 | 8.6 |
個々の試合・チーム毎に観ていくと、かなりのばらつきがあるが、ある程度のグループの試合の平均を取ると、意外と同じような数値に収斂し、一定の傾向があると思われる。
一方、チーム毎に見ると、そのチームの特徴が浮かび出てくる。
たとえば、決勝ラウンドのRSA。RSAボールのリスタートは次の通り。
| S | L | P |
決勝(ENG戦) | 11 | 6 | 10 |
準決勝(WAL戦) | 8 | 6 | 8 |
準々決勝(JPN戦) | 7 | 10 | 8 |
RSAに対しては、ラインアウトを与えないようにすることが常道になっていた大会であった気がする。
| S | L | P |
第1戦(RUS戦) | 4 | 15 | 5 |
第2戦(IRE戦) | 6 | 8 | 9 |
第3戦(SAM戦) | 4 | 14 | 10 |
第4戦(SCO戦) | 7 | 5 | 4 |
回数を平均で見た場合 S〈 P〈 Lの順であるが、IRE戦・SCO戦は、違う順序になっている。試合を熱くした一つの要因であった気がしている。