2021年12月25日土曜日

岡島レポート・2019 W杯・備忘録 109

                                               2019 W杯・備忘録 109

  南北格差 〜
 
 現フランスHC・ガルティエの本を読んでいたら、2002年、フランスはランキング1位になり、秋のテストマッチでRSA2連勝、NZに引き分け、カナダに大勝し、「明らかに、かの有名な南と北の「溝」は少しずつ埋まってきている。」(p121)と言っていた。
 確かに、2003W杯では、FRAは準決勝でENGに負け、そのENGAUSを決勝で破って優勝している。しかし、「北」のチームが優勝したのは、この1大会限り。その後、再び、「南」のチームが優勝し続けてきている。
 
 ウィキペディア・日本語版で「ラグビーワールドカップ」を見ると「3. 結果と統計」の「3.4 チーム別成績」に次のような表が掲載されている。(下記の表は、Wikiの表の一部を取り出して再掲)この勝敗・得失点は英語版、仏語版には掲載されていない。
 
 
 勝
引き分け
 負
勝率
総得点
総失点
得失点差
NZ
  49
   1
   7
0.875
2552
  753
1799
RSA
  36
   0
   7
0.837
1512
  553
  959
AUS
  42
   0
  11
0.792
1797
  754
1043
ENG
  36
   1
  14
0.720
1569
  783
  786
FRA
  36
   2
  15
0.706
1583
  966
  619
WAL
  26
   0
  18
0.591
1238
  865
  373
ARG
  21
   0
  20
0.512
1112
  860
  252
SCO
  24
   1
  17
0.585
1261
  803
  458
IRE
  24
   0
  16
0.600
1108
  735
  373
FIJ
  11
   0
  21
0.344
  732
  971
-239
SAM
  13
   0
  19
0.406
  698
  839
-141
JPN
   8
   2
  23
0.258
  644
1347
-703
CAN
   7
   3
  23
0.233
  541
1015
-474
ITA
  13
   1
  18
0.419
  627
  977
-350
 
 英語版ウィキペディアでは、「6. Results」の「6.3 Team Records」でチーム順がほぼ同じ表が掲載されている(JPNCANの順だけが逆になっている。)
 仏語版ウィキペディアでは、「4. 番付」の「4.2 到達度に応じた順位(1位、2位、3位、4位、8強進出にウェイトをつけ評価し順位付けしている)」で同じチーム順で掲載されていて、JPNCAN12位となっている。(日本版と英語版では順位付けはされていない。)
 
 2007年、2011年、2015年、2019年のW杯4大会の勝敗数、勝率を計算すると次のようになる(ウィキの勝敗数には3位決定戦の結果も含まれているが、下記の表には3位決定戦の勝敗は含めていない)。
 
 
 勝
引き分け
 負
 勝率
NZ
  22
   1
   2
0.917
RSA
  21
   0
   4
0.840
AUS
  17
   0
   6
0.739
ENG
  16
   1
   6
0.727
IRE
  13
   0
   6
0.684
WAL
  15
   0
   7
0.682
ARG
  14
   0
   7
0.667
FRA
  14
   1
   9
0.609
SCO
  10
   0
   8
0.556
ITA
   8
   1
   7
0.533
JPN
   7
   2
   8
0.467
FIJ
  6
   0
  11
0.353
SAM
   5
   0
  11
0.313
CAN
   1
   3
  12
0.077
 
 4大会のうち、優勝したのは、NZとRSAがそれぞれ2回。勝率も当然と言えば当然ながら、やはり突出して高い。そして、勝率だけで見れば、3位がAUS。「南の御三家」とでも言うのだろうか。
 そして、南と北の「溝」は、以前同様、存在しているように思える。
 
 JPNは、201531敗、201941敗とこの2大会だけであれば72敗;勝率0.778。第3位に相当する。すごいものだ。
 一方で、200712-12)、201123-23)とJPNと引き分けた(かつての)ライバル・CANの凋落を「他山の石」とする必要がありそうだ。CAN2023W杯の不出場は、早々と決まってしまっている。
 
 ITAは、現行の20チーム・予選プール4組になった2003以降、毎大会22敗で予選リーグ敗退となっている。2019は、台風の影響でNZ戦が不戦となり、211敗となったが、実質的には22敗。よくも悪しくも安定した力を発揮している、とでも言えるのだろうか。決勝ラウンドに進出できる日がいつやってくるのだろうか。
 
******************
 
 1224日付けのMidolでは、同誌編集部内での投票でのWRランキング・ベスト10の「2021ランキング」が掲載されている。1年を通しての戦績、それぞれの試合の重み、置かれた環境などを勘案しての投票とのことで次のような順位付けをしている(同誌でも、これは一つの試みに過ぎないと断っている)。
1位:RSA85敗、ライオンズ戦での戦績などを評価している)
2位:NZ123敗、2021最後の2試合の連敗の記憶(だけ)が残っているが、やはりいい試合を続けている。15試合で101トライも特筆もの)
3位:FRA4位:WAL、5位:IRE、6位:ENG、7位:AUS、8位:SCO、9位:ARG
10位:JPN(コロナ禍での試合数が限定されている。来夏、FRAが対戦するが、密度の濃いテストマッチを行っていない環境下でスピードだけに頼るJPNに驚きは感じられない。少なくとも、これからジョセフHCが妙手を見つけなければ…)
                                                        
                                             令和31225日          
 

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