2021年12月11日土曜日

岡島レポート・ 2019 W杯・備忘録 107

                                             2019 W杯・備忘録 107

  WAL/AUS 
 
 この両チームの戦い、2019W杯予選プールの再戦であり、2023W杯予選プールの前哨戦でもある。
2019W杯では、AUSFIJに・WALGEOに勝利した後の第2戦で戦い、29-25WALが勝利している。
さらに遡ると、2015W杯では共に「死の組」に属し・開催国ENGに勝ち・両チームの対戦は15-6AUSが勝利し・決勝トーナメントに進んでいる。
その前の2011W杯では、三位決定戦で戦い、21-18AUSが勝っている。
2007W杯も予選プール同組(この時はJPNも同組)・32-20AUSが勝利し・WALFIJにも負けたため決勝トーナメントへは進めなかった。
2003W杯では戦っていないが、1999W杯では、準々決勝、24-9AUSが勝利している(この大会ではAUSが優勝)。
1995W杯では戦っていないが、1991W杯では予選プール同組・38-3AUSが勝利し・WALは西サモアにも負けたため決勝トーナメントへは進めなかった。
1987W杯では対戦していない。
 過去9回のW杯で6回戦い(AUS5連勝の後WALが勝利している)、次の大会でも戦うことが決まっている対戦。両チームサポーターは、どんな思いで試合を観戦していたのだろうか。
 
 20211120日・カーディフで行われた試合経過は次の通り。WALの得点は「○」、失点は「●」、WALが得点を逃したのは「×」、AUSが得点を逃したのは「*」。WALにカードが出されたのが「★」。AUSにカードが出されたのが「☆」
 
得点
種類
起点となった(リ)スタート
 
×
 
 
2
4
14
15
18
22
22
26
29
 
36
 
0- 7
3- 7
 
6- 7
6-10
 
13-10
13-13
 
 
16-13
 
TG
PG
レッド
PG
PG
イエロ
TG
PG
 
 
PG
AUSのキックオフで試合開始。
⑭・トライ、⑩・G
AUSP(オブストラクション)。10PG
タックルに入って頭同士がぶつかる。⑧にレッド。
AUSの上記のP10PG
WALP(ノットロールアウェイ)。⑩・PG
AUS⑮のインテンショナルノックオン・イエロー
2・トライ、10G
WALP(オフサイド)。⑩・PG
AUSPからWALAUSゴール前のLOから攻めるも取り切れず。
AUSP(オフサイド)。10PG
 
 
47
48
 
50
 
57
60
63
68
77
81
23-13
 
 
 
 
 
23-20
26-20
26-25
26-28
29-28
TG
 
 
 
 
イエロ
TG
PG
T
PG
PG
13・トライ、10G
WALPからAUSWALゴール前のLOから攻めるも取り切れず。
WALPからAUSWALゴール前のLOから攻めるも取り切れず。
WAL17のファールプレーのP・イエロー
⑨・トライ。⑩・G
AUSP(ノーボールタックル)。⑩・PG
⑪・トライ。⑩・G外す
WALP(ノットリリースザボール)。⑮・PG
WAL・フェーズを重ねてAUSゴール前に。16フェーズ目・8042秒でAUSP(オフサイド)。22PG
 
 Midolによれば、WALの直近10試合の中で相手チームにレッドカードが出されたのが5試合とのこと。その意味でもWALは興味深いチームだ。
 
 案の定、この試合、レッドカードがAUSに一枚(14分)、イエローカードがそれぞれ一枚出されている。すなわち、(1)15人対15人(014分)、(2)15人対14人(1422分)、(3)15人対13人(2232分)、(4)15人対14人(3257分)、(5)14人対14人(5767分)、(6)15人対14人(6780分)で戦っている。それぞれの時間帯の得点は次のとおり。
 
 
(1) 15:15
(2) 15:14
(3) 15:13
(4) 15:14
(5) 14:14
(6) 15:14
WAL
    3
    3
   7
   10
    3
    3
AUS
    7
    3
    3
    -
    7
    8
 
 2019W杯の対戦ではカードが出されなかったが、2015W杯の対戦ではAUSにイエロー2枚、WALにイエロー1枚が出され、AUS13人対WAL15人の時間帯があった(得点入らず)。AUSからすれば、カードで選手が少なくなることは「想定内」なのだろうか、きちんと対応している。
 
 この試合、WOWOWで見ていると、解説者・栗原さんが①14分の「レッド」に関して、カードが出されるまでは(偶発的なプレーで)問題なしと解説している(=AUSに不利な判定) ②47分のトライシーン、WAL13のノックオン(=AUSに不利な判定)と言っている。いずれのシーンもTMOで精査され判定が決定している。この試合のレフリーはアダムソン(SCO2019W杯には参加していない)、TMO:ヨンカー(RSA2019W杯でもTMO)。議論の余地はあるが、判定は判定、おそらく、この判定基準がWRのスタンダードになるのだろうと思われる。その意味で、この二つの判定に関しては、まぁそうなのだろうと感じた。ともかく、随所にAUSとレフリーの相性の悪さをいくつか感じた。例えば、スクラムにおける判定。この試合、WALスクラムが5回、AUSスクラムが6回、計11回組まれている。そのうち、11分:WALP(コラプシング)、30分:WALP(ホイール)、43分:WALのアーリーエンゲージでAUSFK、素人目にはAUSがスクラムを制しているように見受けられる中で、53分:AUSがスクラムを押すもAUSP(ホイール)、あれっという感じであった。48分、50分のWALゴールライン前の攻防もWALのプレーに「甘い」感じがした。それがWALの強さの源泉なのかもしれない。
 
 トライ数はWAL2AUS3。それぞれについて、①起点となったリスタート ②途中経過 ③トライゲッターを表にしてみると次のとおり。
 
   ①
           ②
W1
Aゴール前WLO15人対13人の時間帯)
W7人:A6人が並んだLOWFWがタップして92
2
W2
W陣内のWLO15人対14人の時間帯)
Wボール獲得し2フェーズ後9のボックスキック⇒Aキャッチし4フェーズ後展開中に㉓のパスを13がはたく・両チームの選手の足が止まる・会場も静まり返る・レフリーの判定はノックバック・13が拾い無人のグランドをインゴールまで駆け抜ける
13
 
 W2のトライは、後々まで語り継がれそうな不思議なトライだった。みんなが「ノックオン」だと判断した時に、レフリーだけが毅然と「ノックバック」のジェスチャーをしている。そして、TMOで見てみるとレフリーの判断に一理ある。レフリーの判断は「ブレておらず」、それをWRがどう評価するか、興味深い。
 
 
   ①
           ②
A1
W22m内のフェアーキャッチ・フリーキック(15人対15人の時間帯)
AUS⑪キャッチしラン⇒9フェーズ重ね・WPアドバンテージが出て・⑨→⑫のゴロパンを⑭が押さえる
14
A2
センターライン付近のAUSLO14人どうしの時間帯)
ロングスローが決まり・4フェーズ重ね・⑨が飛び込む
9
A3
センターライン付近のAUS・スクラム(15人対14人の時間帯)
7フェーズ重ねトライ
11
 
 AUSの攻撃力、やはりすごいものがある。
 
 来年の事を言えば鬼が笑う、では、再来年の事を言えば鬼はどう反応するのだろうか?
 2023W杯、予選プールC組、WALは初戦FIJと、AUSは第2FIJと戦った後、第3戦でWAL/AUSが組まれている。WRの代表選手資格の変更があり、南太平洋チームが強くなるだろうと見なされていること、前回の2007フランス大会でAUSFIJが勝ち上がり、WALは予選プールで敗退したことなどが思い起こされる。これからの2年弱でどうチームが変わってゆくのか、楽しみである。
 
令和31211
 

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