2019 W杯・備忘録 107
~ WAL/AUS ~
この両チームの戦い、2019W杯予選プールの再戦であり、2023W杯予選プールの前哨戦でもある。
2019W杯では、AUSがFIJに・WALがGEOに勝利した後の第2戦で戦い、29-25でWALが勝利している。
さらに遡ると、2015W杯では共に「死の組」に属し・開催国ENGに勝ち・両チームの対戦は15-6でAUSが勝利し・決勝トーナメントに進んでいる。
その前の2011W杯では、三位決定戦で戦い、21-18でAUSが勝っている。
2007W杯も予選プール同組(この時はJPNも同組)・32-20でAUSが勝利し・WALはFIJにも負けたため決勝トーナメントへは進めなかった。
2003W杯では戦っていないが、1999W杯では、準々決勝、24-9でAUSが勝利している(この大会ではAUSが優勝)。
1995W杯では戦っていないが、1991W杯では予選プール同組・38-3でAUSが勝利し・WALは西サモアにも負けたため決勝トーナメントへは進めなかった。
1987W杯では対戦していない。
過去9回のW杯で6回戦い(AUS:5連勝の後WALが勝利している)、次の大会でも戦うことが決まっている対戦。両チームサポーターは、どんな思いで試合を観戦していたのだろうか。
2021年11月20日・カーディフで行われた試合経過は次の通り。WALの得点は「○」、失点は「●」、WALが得点を逃したのは「×」、AUSが得点を逃したのは「*」。WALにカードが出されたのが「★」。AUSにカードが出されたのが「☆」
分 | 得点 | 種類 | 起点となった(リ)スタート | |
● ○ ☆ ○ ● ☆ ○ ● × ○ | 2 4 14 15 18 22 22 26 29 36 | 0- 7 3- 7 6- 7 6-10 13-10 13-13 16-13 | T+G PG レッド PG PG イエロ T+G PG PG | AUSのキックオフで試合開始。 ⑭・トライ、⑩・G。 AUSのP(オブストラクション)。10・PG。 タックルに入って頭同士がぶつかる。⑧にレッド。 AUSの上記のP。10・PG WALのP(ノットロールアウェイ)。⑩・PG。 AUS⑮のインテンショナルノックオン・イエロー 2・トライ、10・G。 WALのP(オフサイド)。⑩・PG。 AUSのPからWAL・AUSゴール前のLOから攻めるも取り切れず。 AUSのP(オフサイド)。10・PG。 |
○ * * ★ ● ○ ● ● ○ | 47 48 50 57 60 63 68 77 81 | 23-13 23-20 26-20 26-25 26-28 29-28 | T+G イエロ T+G PG T PG PG | 13・トライ、10・G。 WALのPからAUS・WALゴール前のLOから攻めるも取り切れず。 WALのPからAUS・WALゴール前のLOから攻めるも取り切れず。 WAL17のファールプレーのP・イエロー ⑨・トライ。⑩・G AUSのP(ノーボールタックル)。⑩・PG ⑪・トライ。⑩・G外す WALのP(ノットリリースザボール)。⑮・PG WAL・フェーズを重ねてAUSゴール前に。16フェーズ目・80分42秒でAUSのP(オフサイド)。22・PG |
Midolによれば、WALの直近10試合の中で相手チームにレッドカードが出されたのが5試合とのこと。その意味でもWALは興味深いチームだ。
案の定、この試合、レッドカードがAUSに一枚(14分)、イエローカードがそれぞれ一枚出されている。すなわち、(1)15人対15人(0~14分)、(2)15人対14人(14~22分)、(3)15人対13人(22~32分)、(4)15人対14人(32~57分)、(5)14人対14人(57~67分)、(6)15人対14人(67~80分)で戦っている。それぞれの時間帯の得点は次のとおり。
(1) 15:15 | (2) 15:14 | (3) 15:13 | (4) 15:14 | (5) 14:14 | (6) 15:14 | |
WAL | 3 | 3 | 7 | 10 | 3 | 3 |
AUS | 7 | 3 | 3 | - | 7 | 8 |
2019W杯の対戦ではカードが出されなかったが、2015W杯の対戦ではAUSにイエロー2枚、WALにイエロー1枚が出され、AUS:13人対WAL:15人の時間帯があった(得点入らず)。AUSからすれば、カードで選手が少なくなることは「想定内」なのだろうか、きちんと対応している。
この試合、WOWOWで見ていると、解説者・栗原さんが①14分の「レッド」に関して、カードが出されるまでは(偶発的なプレーで)問題なしと解説している(=AUSに不利な判定) ②47分のトライシーン、WAL・13のノックオン(=AUSに不利な判定)と言っている。いずれのシーンもTMOで精査され判定が決定している。この試合のレフリーはアダムソン(SCO:2019W杯には参加していない)、TMO:ヨンカー(RSA:2019W杯でもTMO)。議論の余地はあるが、判定は判定、おそらく、この判定基準がWRのスタンダードになるのだろうと思われる。その意味で、この二つの判定に関しては、まぁそうなのだろうと感じた。ともかく、随所にAUSとレフリーの相性の悪さをいくつか感じた。例えば、スクラムにおける判定。この試合、WALスクラムが5回、AUSスクラムが6回、計11回組まれている。そのうち、11分:WALのP(コラプシング)、30分:WALのP(ホイール)、43分:WALのアーリーエンゲージでAUSにFK、素人目にはAUSがスクラムを制しているように見受けられる中で、53分:AUSがスクラムを押すもAUSのP(ホイール)、あれっという感じであった。48分、50分のWALゴールライン前の攻防もWALのプレーに「甘い」感じがした。それがWALの強さの源泉なのかもしれない。
トライ数はWAL・2、AUS・3。それぞれについて、①起点となったリスタート ②途中経過 ③トライゲッターを表にしてみると次のとおり。
① | ② | ③ | |
W1 | Aゴール前W・LO(15人対13人の時間帯) | W7人:A6人が並んだLOでWFWがタップして9→2 | 2 |
W2 | W陣内のW・LO(15人対14人の時間帯) | Wボール獲得し2フェーズ後9のボックスキック⇒Aキャッチし4フェーズ後展開中に㉓のパスを13がはたく・両チームの選手の足が止まる・会場も静まり返る・レフリーの判定はノックバック・13が拾い無人のグランドをインゴールまで駆け抜ける | 13 |
W2のトライは、後々まで語り継がれそうな不思議なトライだった。みんなが「ノックオン」だと判断した時に、レフリーだけが毅然と「ノックバック」のジェスチャーをしている。そして、TMOで見てみるとレフリーの判断に一理ある。レフリーの判断は「ブレておらず」、それをWRがどう評価するか、興味深い。
① | ② | ③ | |
A1 | W22m内のフェアーキャッチ・フリーキック(15人対15人の時間帯) | AUS⑪キャッチしラン⇒9フェーズ重ね・WのPアドバンテージが出て・⑨→⑫のゴロパンを⑭が押さえる | 14 |
A2 | センターライン付近のAUS・LO(14人どうしの時間帯) | ロングスローが決まり・4フェーズ重ね・⑨が飛び込む | 9 |
A3 | センターライン付近のAUS・スクラム(15人対14人の時間帯) | 7フェーズ重ねトライ | 11 |
AUSの攻撃力、やはりすごいものがある。
来年の事を言えば鬼が笑う、では、再来年の事を言えば鬼はどう反応するのだろうか?
2023W杯、予選プールC組、WALは初戦FIJと、AUSは第2戦FIJと戦った後、第3戦でWAL/AUSが組まれている。WRの代表選手資格の変更があり、南太平洋チームが強くなるだろうと見なされていること、前回の2007フランス大会でAUS・FIJが勝ち上がり、WALは予選プールで敗退したことなどが思い起こされる。これからの2年弱でどうチームが変わってゆくのか、楽しみである。
令和3年12月11日
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