蒸し暑いですね これぞニッポン!
2019 W杯・備忘録 183
~ M 2 ~
2019W杯第2試合、AUS 39-21 FIJという結果が残されている。
試合前のコイントス、レフリーが投げて・AUSがキックオフを取り・FIJが陣地を決める。
以下、大文字はAUS、小文字はFIJのリスタート
K¹ L¹ P¹-pg¹(10) 0-3(4分)
K² l¹ t¹(7)・g*(10) 0-8(7分)
K³ L² P²-l² S¹-p¹-L³ S² T¹(7)・G¹(10) 7-8(17分)
k¹ p²-L⁴ P³-pg²(10) 7-11(22分)
K⁴ P⁴-l³ L⁵ s¹ l⁴ P⁵-pg³(10) 7-14(29分)
K⁵ L⁶ p³-L⁷ p⁴-L⁸ T²(14)・G*(10) 12-14(35分)
K² s² ボールインの前に落ちて組み直し・ハーフタイムの銅鑼の音・FIJ9→10と渡りタッチに蹴りだしハーフタイム
K³ l⁵ P⁶-l⁶ p⁵-L⁹ t²(13)・g¹(10) 12-21(43分)
K⁶ L¹⁰ L¹¹ L¹² p⁶-PG¹(14) 15-21(50分)
K⁴ l⁷ p⁷-L¹³-p⁸-L¹⁴-p⁹-L¹⁵ T³(2)・G*(14) 20-21(56分)
k⁵ p¹⁰(FIJ・12にイエロー)-L¹⁶ T⁴(2)・G*(22) 25-21(61分)
k⁶ S³-p¹¹-L¹⁷ L¹⁸ T⁵(12)・G²(22) 32-21(68分)
k⁷ l⁸ L¹⁹ T⁶(11)・G³(22) 39-21(71分)
k⁸ p¹²-L²⁰ s³ L²¹ P⁷-l⁹ s⁴ P⁸-l¹⁰-P⁹-l¹¹
「s⁴」が組まれる前にノーサイドの銅鑼の音。
TMOなし、淡々と眺めれば、後半の後半、AUSが地力を発揮し・FIJがPを重ねて(60分:反則の繰り返しで「イエロー」も出され)自滅という「いかにもありそうな展開」
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でもそうだったのか? 2019W杯というと、まず、この試合の24分のシーンを思い出す。ボール・キャリア・FIJ・7番にAUS・14番が打ち噛まし・ボールがこぼれタッチを割り・FIJ・7番は蹲る、レフリー・タッチジャッジの目の前で。AUSがクイックで投げ入れ・FIJ・7番はHIA→交替・試合は何事もなかったかのように続けられた、が、試合4日後に開催されたWR規律委員会はAUS・14番のプレーを「レッド」相当と判定(AUS・14番の右肩がFIJ・7番の顎を直撃したと認定)し、同選手は3試合出場停止になった。
規律委員会に提出されたレフリー団の報告は以下の通り。
1. Referee: ”Incident not seen live. At the subsequent stoppage in play due to the injury I asked my TMO if there was any obvious foul play to cause the injury, the reply was that there was no obvious foul play seen”.
2. AR1: “I did not see the incident as I was on the other side of the field”.
3. AR2: “My view live was that I didn’t see any foul play on Fiji number7. I thought it was just a ‘rugby collision’”.
4. TMO: “No foul play seen live. At the subsequent stoppage in play due to an injury, I checked two angles for potential foul play and saw none. I reported this to the referee when asked”.
これを規律委員会はビデオ検証などで覆し、「レッド」相当と判定した。けれども、試合結果が覆ることはなく、FIJ・7番の輝きも戻らない。空しいものだ… 一体、「rugby collision」ってなんなんだ! AR2は目の前でこのシーンを見ている。ボール・キャリアが相手選手に激突され。脳震盪を起こして倒れる。相手選手のヘッドコンタクト以外にどんな行為で脳震盪が起こると考えているのだろうか。それを「rugby collision」という子供だましのような証言でお茶を濁している。まさしく「人災」。
あの事件が起きた時点ではFIJ 11-7 AUS。そこに至るまでにAUS・14番は、1分:ボール・キャリアのFIJ・11番の足下にタックルにいって弾かれて倒れる。7分:ボール・キャリアのFIJ・14番の足下にタックルにいって同様に弾かれて倒れる(この2シーンはリプレイでも流される)。低いタックルが出来ないわけではない・けれどもそれでは止められない。あのシーン、AUSゴールライン目前で、あのプレー(=後日、ファールプレーと判定される)がなければ、おそらくトライになり、FIJ 16-7 AUSとなっていた確率が極めて高い。
正しい笛が吹かれていれば、その時点からFIJ・15人vsAUS・14人の戦いになった。もちろん試合展開は「みずもの」だから、どうなったかはわからないが、FIJが勝っていただろう。AUS・14番はロングキッカーでこの試合の相手Pからのタッチキックはすべて蹴り・PGを1本決め・トライもとっている。彼をレッドで欠けば、おそらくFW(多分ナンバー8)を一人下げ・バックス7人態勢にせざるを得なかった。なんと言っても、FIJの両ウィングは、大会最高といっても過言でないランナーなのだから。
FIJ・7番、あのプレーまでは絶好調だった。
たとえば、キレキレ・最高潮のリーチを相手チームのファールプレー(しかも試合中は看過され、後日ファールプレーと判定された)で欠くことになったら、この国のサポーターはどう反応しただろうか?
おそらく強豪国が被害者であれば、WRは違った対応をせざるをえなかっただろう。
それにしても、なぜ、レフリーもタッチジャッジもTMOも見過ごしたのか? もちろん、脳震盪関連での訴訟が提起され、泡をくったWRが大会直前に規則の運用の変更を行わざるをえなかった影響もなくはない(現に、AUS・14番はWRの脳震盪ガイドラインを知らなかったと証言している。しかし、審判団が知らないでは済まされない)。それよりも強豪国への「忖度」が透けて見えてくる。不快感しかない…
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甚大な被害を被ったFIJ、事後の試合で14番を欠くことになるという「被害(?)」を被ったAUS、反射的に大きな利益を受けたのが、同組のWAL。14番を出場停止で欠いたAUS相手に29-24で辛勝、輝きを失った7番がリザーブに回ったFIJ相手に両チーム「イエロー2枚」ずつという乱戦を29-17で制し、1位で予選プールを通過した。初戦、正しい判定が瞬時に行われていれば、この組の予選通過チームは変わっていただろう。
ちなみに、AUS・14番は出場停止処分が明けた準々決勝では80分間出場している。
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こういう不条理なことがあると、ラグビーの試合って、「人の世の写し絵」だと痛感する。英雄譚を語り継ぐこともいいだろう。しかし、あの大会、FIJはベスト8以上にふさわしいチームだった、と語り継ぐことを忘れてはならない。
令和5年6月10日
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