2024年6月22日土曜日

岡島・レポート・2019 W杯・備忘録 229

あっという間に 夏至を過ぎてしまいました
今日は 長野で 90分×3コマ 話してきて 咽喉をやられました
日頃の鍛錬が 必要なようです…
2019 W杯・備忘録 229
~ M46 RSA/ENG 5 ~
 
激闘が終わる。1点差の熱戦 後日 「作品」を見返してみる。ライブ観戦時とは 違う視点が 入り混じってくる。完成された「作品」として見ていると いつしか 勝因・敗因(らしきもの)が感じられてくる。「たられば」が いたるところにある。結果が分かっていて 順を追って あるいは 巻き戻して 時間を遡って 見ていく。ピッチでは 局面局面 複数の起こりうる事象が可能性として 存在している。しかしながら 事後的には 唯一無二の「起こった事象」だけが残り 無数の「起こりえたかもしれないが生じなかった事象」は 瞬時に忘れ去られてゆく… でも 見返しているうちに 「起こりえたかもしれないが生じなかった事象」が 心の中に浮かんでくる。
 
ENG 勝てる試合だった。勝ってた試合だった。でも負けた。なぜ? 20分:ファレルの不用意なレフリーへの抗議と76分:スチュワートのミスキックが気になっていた。それぞれ RSAの得点=ENGの失点につながった。この二つがなければ 違った試合経過になっていたのに…
 
事象は 次々に 起こる。連鎖している。その過程で 一つでも 違ったことが起こっていれば その後の連鎖は違ったものになる。事後に録画された映像を見る=逆回しで時間を遡れる・事象を遡ることが出来る≒原因に接近する。76分のシーンを遡っていくと RSAPG ⇐ RSA・⑮番のノックオン ⇐ ⑮番のハイパント・ミスキック ⇐ RSA23番のロングキック ⇐ RSAスクラム ⇐ RSA23番のフェアーキャッチ ⇐ ENG・⑩番のハイパント・ミスキック … RSA22番のフェアーキャッチ ⇐ 70分 ENG・㉑番のボックスキック・ミスキックに辿り着く。
 
僅かな時間に 二度の フェアーキャッチ。フェアーキャッチそのものは 規則に定められた合法的プレー。しかし 試合中 あまり多くは生じない。それが2連続で。近年では ロングキックの蹴り合い(ピンポン・ラグビー)を 一休みするために 「マーク」と叫ぶシーンが多い気がしていた。それが この試合の2連続のフェアーキャッチは 21番・10番の それぞれ RSA22m外を狙ったキックが わずかに長すぎて 22mに入ったように 見受けられる。そして RSAのキャッチャーは 「易々と」 マークと叫んでいる。それが 決勝点につながった!? すくなくとも 事象としては 繋がっている。連鎖の一部を構成している。「神は細部に宿る」 とは こういうことか…
それにしても 「フェアーキャッチ」
エレロ『ラグビー愛好辞典』「マーク」の項は 次のように解説している。
 
『「マーク」は 選手が叫ばなければ意味をなさない。それは試合停止を意味し、自陣22mライン内でしか行えない。どの選手でも 自陣22m内で敵がキックしたボールを「マーク」と叫んでキャッチすれば 試合を止めることが出来る。「ある選手が発する言葉が試合を止める」というこんな変な規則は 他のスポーツには 存在しない。これは 19世紀イングランド・ラグビー校でプレーされていたフットボールの「遺物」である。この規則 化石化しながら 今日まで 存続している。
しばしば見受けられるのが 孤立したフルバックが ハイボールをチェイスしてくる相手選手たちに襲い掛かられそうになり 大声で 「マーーーーク!」と叫ぶシーンだ。(以下、略)』(p275
 
『ラグビーの世界史(トニー・コリンズ 北代美代子訳 白水社 2019年)』によれば 「1870年代になってもなお、ラグビーは主として足を使ってプレイされるゲーム、当時しばしば綴られたように、文字どおり「フット=ボール」だった。ハンドリングは厳しく制限された。キックされたボールが地面に落ちる前にキャッチ-「フェアキャッチ」-された場合、キャッチャーは敵に妨害されずにボールをキックすることが許された。これは「フリーキック」と呼ばれる。ボールをもって走るのは地面に落ちてバウンドしたボールを拾った場合にだけ許され、停止しているボール、あるいは転がっているボールでも手で拾いあげてはならず、キックしなければならなかった。」(p29)と記されている。
 
現在の競技規則は 全21条で構成されている。その中の1条 「第13条 マーク」が規定されている。ラグビーをラグビーたらしめている一条なのかもしれない。
 
ともかく RSA 二度のフェアキャッチによって 救われた。
 
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616日 フランスTOP14・プレーオフ ボルドー=べグル(UBBvsラシン戦が行われ UBBが 31-17で勝利した。この試合に 日本代表のタタフが UBB8番でフル出場し Midolの採点では 両チーム先発30選手中 唯一 「8」点の 最高点をつけられる大活躍をした。ちなみに ラシンの3番・ニャカネ「4.5」 7番・コリシ「3.5」だった。Midolは ここまでも タタフを 高く評価してきていて TOP14にやってきた日本代表選手としては 初めて大活躍している と 報じてきている。大谷選手の海外での日々の活躍は 国内で 時々刻々 報じられる。タタフの活躍も 凄いことなんだけどなぁ…
 
令和6622

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