2022年10月22日土曜日

岡島レポート・2019 W杯・備忘録 151

2019 W杯・備忘録 151
~  Feminine ~
 
現在、コロナで一年順延になった「RUGBY WORLD CUP NEW ZEALAND 2021」(略称:RWC 2021)が開催されている。来年開催されるのは「RUGBY WORLD CUP FRANCE 2023(RWC 2023)である。
 
20198月、ワールドラグビー(以下「WR)は機関決定の上、”World Rugby announces gender neutral naming for Rugby World Cup tournaments.”と題するプレスリリースを行っている。
その中では、「World Rugby has announced that its flagship 15s and sevens Rugby World Cup properties will no longer include gender in their titles. Womens Rugby World Cup 2021 in New Zealand which will now be named Rugby World Cup 2021, starting the global roll out. The ground-breaking move will ensure that the competitions have equal billing from a brand perspective, regardless of whether the events feature men or women. The purpose is to elevate the profile of the womens game, while eliminating any inherent or perceived bias towards mens only competitions and tournaments, which traditionally havent specified gender.」と解説されている。
 
こう宣言したWRであっても、自らが公表しているランキングには「Mens」「Womens」が付されている。
 
以前にも引用したダニエル・エレロ『ラグビー愛好辞典』(2003年)の一項目「Feminines」は次のような内容(拙訳)である。
『第一次世界大戦末期、女性ラグビーがフランスに現れた。ラグビー協会は、すぐさま反応した。スクラムを組み・ピッチ上を駆け巡るという彼女たちの淡い望みを12人制ラグビー・通常のピッチよりも狭いものとしてルール化した。足へのタックルは禁じられ・スクラムは5人で組むこととなった。それによって、激しさは減じたが、展開ラグビーがプレーされ、男性ラグビープレーヤーから羨望されてもおかしくなかった。現実には、賞賛を浴びる代わりに嘲弄・侮辱を浴びせられていた。
今日《Feminines⦆と、ラグビーをプレーする女性は同義反復的に呼ばれている。彼女たちは、固有の選手権・代表チームを有し、他の代表チームと戦っている。六か国対抗・ワールドカップがある。彼女たちはまだ多くはないが、男らしさ(vieilite)が称揚されるスポーツにおいて、着実に地歩を拡大してきている。男性代表同様、彼女たちは2002年六か国対抗においてグランドスラムを達成し、フランスラグビー史に足跡を残している。まだ人びとの認知度は低いが成長してきている、もっともなことだ。
ある女性ラグビープレーヤーは、こう語っている。
『女性によってラグビーが横取りされることは、現にプレーしている男性の栄光や力を取り上げることになるのだろうか?ラグビーは、よく男らしい(viril)スポーツと称されるが、実はそうではない、ということが明らかになることを恐れているのだろうか?コンタクトがあるスポーツである、それ以上でも以下でもない、そのためには勇気・献身・知性が必要とされる。それらは男性にも女性にも見出されるのでは?[…]女性がグランドに出現することはラグビーの非神話化なのだろうか?
ラグビーをプレーしていると、女性なのに何故ラグビーをプレーするのか、と恒常的に問いただされる。当惑する。だって、自然とプレーし始めたし、体に刻み込まれているのだから。タックルを決めたり・ナイスパスを投げたり・フェイントで相手を抜いたりしたら、別に名選手・トリオ(注:元フランス代表)のようでなくても、快感だ。
結局、男性であれ女性であれ、男の子であれ女の子であれ、愉しみを味わうためにラグビーをしてるんじゃあないのかな…』(Elise Huffer, Rugby, parabole du monde
 
時の流れ・変化に沿って、ラグビーも変わってきている。それによってラグビーファミリーが多く・大きくなっているのであれば喜ばしいことである。
 
RWC 2021でのJPNの戦いを見ていると「健気だ」と感じ入る。日本名の選手が並び、大きく・重い対戦相手の足元に、ひたすら刺さろうとする。アマチュアラグビーの雰囲気がする。プロ化・商業化以前の男性JPNのいい試合を見ているような気になってくる。
1015日に行われたJPN/USA戦。スタッツを見ると、①テリトリー:JPN64% ②ボール保持率:JPN52% ③ランメーター:JPN368 USA326 ④パス:JPN153 USA113 ⑤ラック:JPN77 USA57 などである。前半、5-3でリードして折り返すも、後半、力尽きて(これまた昔のJPN男性の試合を思い起こさせる…)17-30で敗北した。中長期的にどんなチームになっていくのか、楽しみだ。
 
令和41022 

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