2019 W杯・備忘録 149
〜 勝てそうで勝てない 〜
もどかしい試合、惜しい試合、いろいろな感想があろうし、いろいろな視点で見えてくるものがある。10月1日のJPNXV/AUS-A第1戦は、そんな試合だった。
勝てなかったのは、普遍の真理である「点を取られ過ぎた&点を取れなかった」こと。
試合が大きく動いたのは 後半開始から60分までの20分間。ここがこの試合の「勝負所」だった。ここで取り切り+守り切れば勝てていた!?
この間に5トライ・1PG=34点(試合全体の総得点56点の61%)が挙げられている。
備忘録・140「トライを分類する」で書いたとおり、この試合のトライを分類してみると次のようになる。
トライがどのような状況で生まれたのか、次の各項目で見る。
「分」:ゲーム開始時からの時間
「人数」:+は相手チームのカードでのピッチ外の人数、−は味方の人数
「P」:起点となるリスタートを導いたペナルティの有無
「起点」:大文字はJPNボール 小文字はAUSボールでのリスタート
「位置」:JPN・AUSゴールラインからの距離(m)
「PH」:トライに至るフェーズ数
「AD」:トライまでの間に出されたP・アドバンテージの数
「KR」:キックに起因するボール保持の変更回数
「TO」:ジャッカル・ノックオンなどによるボール保持の変更回数
「番号」:トライした選手の番号
分 | 人数 | P | 起点 | 位置 | PH | AD | KR | TO | 番号 | |
J-1 | 44 | ±0 | - | S | A27 | 0 | - | 0 | 0 | 11 |
A-1 | 48 | ±0 | - | l | J30 | 10 | - | 0 | 0 | 14 |
J-2 | 54 | ±0 | - | k | C | 3 | - | 0 | 0 | 22 |
A-2 | 57 | ±0 | - | k | C | 8 | - | 1 | 0 | 20 |
A-3 | 60 | ±0 | 〇 | l | A40 | 0 | - | 0 | 0 | 23 |
A-4 | 72 | ±0 | 〇 | l | J41 | 3 | - | 1 | 1 | 23 |
備忘録・140(NZ/IRE三連戦が対象)と比較すると、㈰人数の増減がない(=カードが出ていない) ㈪「AD」がない(=何が何でも止めてやる!ことがない…) ㈫ウィングの選手のトライが6分の5 というようなことに気づく。ある意味、IPNXV/AUS-A戦、「順法精神」に富んでいると言えるし、激しさが不足しているように映る。
さて、「勝負所」の20分間、これまでも書いてきた「KSLPFD図」で見てみると6行。この間のセットプレーは、K(キックオフ)6回、S(スクラム)3回、L(ラインアウト)3回、P(ペナルティ)3回、F(フリーキック)2回。
k S-F-S-p-L S T
k l tg
K p-PG
k T
k tg
K P-l tg
キックオフの6回(JPN・2回 AUS・4回)のうち2回は直接トライに至っている。それ以外にも「P」を挟んで得点にとか、あまり他の試合では見られないことである。通例、キックオフは ㈰蹴る側が相手陣10m後方に蹴り(=ボール支配権を相手に渡し) ㈪蹴られた側が㈪-1キャッチし ㈪-2ボールを支配し ㈪-3 如何にして陣地を挽回するのか という流れになり、どこかの時点で笛が吹かれ、次のリスタートから再開される。
「k」(=AUSが蹴ったもの)4回のうち、最初の3回は右22mライン付近に蹴り、JPN・5番コーネルセンがキャッチに入るも、2回はキャッチできず、1回目はタッチに出て・AUSラインアウトからトライへ、2回目は「運よく(≒たまたま)」JPNのトライになっている。どうも安定感に欠ける。一方、「K」(=JPNが蹴ったもの)は毎回違うところに蹴るなど工夫されている。三連戦となると、AUS-Aが、次戦以降、どう対応するのか興味深い。
セットプレーという点では、スクラム・ラインアウト、スタッツ的には遜色ないようにも見えるが、どうなのだろうか。(興味のある方は(参考2)をご覧ください。)
気になったのは、JPNXV先発15人のうち8人がカタカナ名。しかも、リーチ、フィフィタの2人は高校から日本に住んでいるが他の6人は成人してからの来日。だからどうなんだ?ということかもしれない。しかし、気になることも否定できない。
この試合のレフリー、どの選手ともあまり話していなかった。そうではあるが、JPNXVの坂手主将、どこかでコミュケーションできていたのか、これも気になった。
負けたのは、「勝負所」で競り負けたからなのか、その後のラスト20分で得点できず・失点したからなのか。敗戦を「点を取られ過ぎた」と捉えてディフェンスに注力するのか、「点を取れなかった」と捉えてアタックを準備するのか、次戦以降、どう戦うのか見物である。
( 参考1 )
2022-10-1 JPNXV-AUS・A
「分」は得点時間
大文字はJPNXV 小文字はAUS・Sのボール支配
K:キックオフ
S:スクラム
L:ラインアウト
P:ペナルティ (PG*はPGを狙って外したもの)
F:フリーキック
D:ドロップアウト (D*はゴールライン・ドロップアウト)
- :関連するリスタート
分 | 得点 | |
1 4 17 23 37 | K p-PG k P-l P-pg K L P-l S S l l l P-l P-pg K p-L p-PG k l-S l L s-P-l P-l S l-S L p-PG k s-f p | 3- 0 3- 3 3- 6 6- 6 9- 6 |
44 48 52 54 57 60 72 | k S-F-S-p-L S T k l tg K p-PG k T k tg K P-l tg K p-PG* d P-l L-p-L s-P-l P-l tg K s p-L s L s-f | 14- 6 14-13 17-13 22-13 22-20 22-27 22-34 |
( 参考2 )
J-sportの試合中継後のスタッツでは、スクラム:JPNXV・6/6 AUS-A・4/4となっていた。
手元の記録では、
JPNXVのスクラム機会は、8回。うち、相手の反則でのフリーキック1回+相手のコラプシング(P)1回。
AUS-Aのスクラム機会は、6回。うち、相手の反則でのフリーキック2回+相手のコラプシング(P)2回。
テレビの映像で見た限り、スクラムにおけるフッカーの「ブレーキフット」出来ていなかったように見えた。どうなのだろうか?
ラインアウトに関しては、JPNXV・8/9 AUS-A・11/15。
手元の記録では、
JPNXVのスロー機会・9回、クリーンキャッチ・5回、かろうじてマイボール化・2回、相手スチール・1回、相手P・1回。
AUS-Aのスロー機会・16回、クリーンキャッチ・10回、クイックスロー・1回、かろうじてマイボール化・2回、相手スチール・1回、ノットストレート・2回。
AUS-Aの16回のうち、前半11回(うち、PKに由来するもの・5回、JPNが22m内からタッチに蹴り出したもの・5回)、後半5回(うち、PK由来・4回、JPN22m内から・0回)であった。後半、JPNは22m内からも蹴り出さなかったのは「たまたま」なのだろうか?
テレビの映像で見た限り、何度か、JPNXVのスローがまっすぐ入っていなかったように見られたが、笛は吹かれなかった。
次戦、日本人のレフリーになって、どんな笛が吹かれるのだろうか。
令和4年10月8日
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