2019W杯・備忘録17
~ M41 ENG/AUS戦 ~
見返すたびに、考えさせられる試合がある。
準々決勝第1試合、40対16でENGが快勝した。前半を17対9とリードして折り返し、後半の後半に突き放す。危なげない試合(だった)。 では、AUSに勝機はなかったのか? AUS・チェイカHCは今でも悔やんでるのでは?
結果が「すべて」である。結局、勝たなければ意味がない。勝つか負けるかは、得点差で決まる。あるいは、失点差で決まる。いずれにしても数字の勝負だ。
得点差で決まると考えれば、得点しなければ勝てない。失点差で決まると考えれば、失点しなければ勝てる!?
さまざまなスタッツは、各チームの個性を示している。その試合の戦略・戦術を示している。しかし、結果としての数字の集合体である(あるいは、集合体でしかない)。ENGは、失点を少なくすることを選んだ。そして、快勝した。
数字に出てこないこと、それが試合を、勝敗を左右する(こともある)。たとえば、「流れ」「勢い」をどう考えれば、いいのだろうか?
この試合、フランス流表記の得点経過で見ると、
0-3、5-3、7-3、12-3、14-3、14-6、17-6、17-9(ハーフタイム)
17-14、17-16、22-16、24-16、27-16、30-16、33-16、38-16、40-16
前半、ENGが2T・2G・1PG、AUSが3PG。ENGはペナルティを5回とられ、AUSはPGで9点をあげている。
そして、後半早々(43分)AUSに待望のトライが生まれて1点差に。「流れ」がやってきた。ところが、3分後にトライを返されて8点差に。「勢い」が衰えかけたが、その直後、ENGがノット・ロール・アウェイのペナルティ。これをタッチに蹴り出してライン・アウトからの展開でゴール前に迫り、ゴールポスト前でENGペナルティ(56分)。ここで、AUSはスクラムを選択。この選択が、その後の「流れ」を左右した。
17-6とENGリードの前半35分過ぎに似たような展開があった。①ENGのペナルティ②AUSタッチに蹴り出しゴール前ライン・アウト③AUSライン・アウトから展開してフェーズを重ねる④ENGターンオーバーするもノック・オン⑤AUSボール・スクラムでENGコラプシング⑥AUS・キャプテン、躊躇なくゴールを指差し、PGで3点を加える。
結局、56分のスクラムからAUS・8番がゴールに迫り、8フェーズ重ねるもターンオーバーされ、チャンスが潰える。
「狙っておけば」というのは、結果論なのだろうか? 結果論でなく、「正しい」選択って存在するのだろうか? … 少なくとも、大差はつかなかっただろう。
こういうことは、スタッツから読み取れない。
この試合をじっくり見返していると、ラグビーの奥深さをしみじみと感じるとともに、半年前は平和だったなぁ、と痛感する。
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6か国対抗第4週は、IRE/ITA戦が早々に延期となり、ENG/WAL戦(3月7日)、SCO/FRA戦(同8日)が行われた。
FRAは、開始早々、イエローカードで14人に。更に前半終了間際に乱闘でパンチを振るった3番・アウア(今回の6か国対抗で代表デビュー、この試合が4Cap目)がレッドカードで退場処分。試合後、フランス側は、スコットランド・8番がまず挑発したとして、この選手を告発したが、不発。3月12日、アウアに対して3週間の出場停止処分が下された。
ところで、前日に行われたENG/WAL戦の試合後の記者会見でWAL主将・ジョーンズが「ウェールズの代表として138回選ばれてきた。経験を積んできたので、もし(この挑発に対して)反応したら、レッドカードをもらうとわかっている。でも、これ(挑発行為を見過ごすこと)は不公正ではないか?ワールド・ラグビーが本件を取り上げることを望む。」として、前半7分の乱闘の終了時にENG・1番・マーラーがジョーンズの「男性生殖器」を掴んだ行為を告発した。たしかに、DVDで見返してみると、乱闘が生じ・治まりかかった時点でジョーンズの肩にマーラーが手をかけ・その手が下がってきて「生殖器」を掴んでいる・驚いた(顔をした)ジョーンズはタッチジャッジにアピールし・マーラーはニタッとしている。(SNS上で見れます。)。試合は、乱闘シーンがTMOとなり、ENG・ファレルが相手選手の胸をおしたシーンだけが流され、ENGにペナルティが課され、再開され、(すなわち、ジョーンズに対する行為は不問にふされ)、WALがPGを決めた。3月13日、マーラーに対して10週間の出場停止処分が下された。だからと言って、33-30でENGが勝利したことは覆らないのだが、確実にイングランド嫌いが、また、増えた!?
令和2年3月14日
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