2020年4月19日日曜日

岡島レポート・2019W杯・備忘録22

        2019W杯・備忘録22
        ~ 筋書きのないドラマ ~
  試合は、筋書きのないドラマ。脚本家はいない。GODが書いたものもない。
 二度目に見れば、筋書きのあったドラマになる。演者たちが、己の意思、思いをぶつけあう。「流れ」が生じる。そこに、気まぐれな風、ラグビーボールの不可解なバウンドが重なり合う。
すべてが必然なのか、はたまた、偶然の積み重ねなのか。
 サモア戦、もどかしい展開、じりじりする時間帯が続き、ラスト・ワンプレーの輝き、ノーサイドの笛を高揚感とともに聞いた。
レフリーのノットストレートの笛は、必然だったのか、偶然だったのか?   M26 JPN/SAM戦を見返してみる。
 この試合の得点経過は、次の通り。
3-03分)、6-08分)、6-310分)、6-616分)、9-624分)、14-6(ラファエレのトライ・28分)、16-630分)、16-934分) ハーフタイム
16-1245分)、19-1251分)、24-12(姫野のトライ・54分)、26-1256分)、26-1773分)、26-1974分)、31-19(福岡のトライ・76分)、36-19(松島のトライ・85分)、38-1987分)
それにしても、ラスト6分で7点差に詰め寄られていた。ボーナスポイント以前に勝ち点すら危うくなりかけていた…
 53分、SAMゴール前10mJPNボール・ラインアウト。ここでJPNは、この大会初めて、7番・ラブスカフニに投げ入れた。 WRのスタッツによれば、それ以前の2試合のJPN・ラインアウトのFWのキャッチャーは次の通り。
RUS戦:4番(ヴァルト)・2回、5番(ムーア)・6回、6番(リーチ)・3
IRE戦:5番(ムーア)・1回、6番(姫野)・3回、20番(リーチ)・2
 ①ラブスカフニがクリーンキャッチし、②モールを組み、③バックスもモールに入り、④ゴールラインまで押し切り、⑤トライを取る(姫野のトライ)。
事前に準備していたスペシャルなプレーがピタッと決まった!
トライを取りきった!!
必殺技が冴えた!!!
 78分、再びSAMゴール前7mJPNボール・ラインアウト。
 再び、7番・ラブスカフニに投げ入れた。
   WRのスタッツによれば、この試合のJPN・ラインアウトのFWのキャッチャーは次の通り。
 4番(ヴァルト)・1回、5番(ムーア)・4回、6番(リーチ)・3回、20番(ツイ)・2回、7番(ラブスカフニ)・2
 ①ラブスカフニがクリーンキャッチし、②モールを組み、③バックスもモールに入り、までは再現できたが、ゴール前で崩れて、パイルアップ。サモアボールのスクラムに。
53分のラインアウトと78分のラインアウト、何が違ったのか?バックスが入りすぎて(78分のモールは最終的に13人が押している)バランスが崩れたのか? SAMの意地なのか??必殺技が決まらずに、相手ボールスクラムに。取りきらなければならないプレーで取りきれなかった、両チームの選手たちの内心は好対照だったのでは…
79分、SAMゴール前のSAMボールスクラム。JPNのアーリープッシュで、SAMにフリーキックが与えられる。この場面までに、スクラム機会は、JPNボール・2回、SAMボール・4回。レフリーの笛は、見たままに即座に吹かれている。アーリープッシュも無条件反射的に吹かれた。この時点で、31-19SAMとしての無難な(?)選択は、キックを蹴り出してノーサイドにすることだった。現に、キャプテン・8番は、ボールを持って、タッチラインに向いて、キックする意思を表していた。そこに、後ろから途中出場の22番・ピシが声をかけて、スクラムを選択する。SAMFWの心境は、どうだったのか。7点を取りに攻め続けるのであれば、①タップキックでパスを継続して前進する ②ハイパントを蹴って前進する ③スクラムの選択肢がありうる。ピシは、スクラムから出たボールをどう展開するつもりだったのだろうか?この時点で、80分の銅鑼の音が…  レフリーがこの時点で何を考えていたのか?
 8034秒のSAMのボールインがノットストレートの笛に。レフリーの忖度!?
8210秒のJPNボールスクラムでSAMがコラプシングのペナルティ。このスクラム、JPNがボール支配し、押している最中に笛。通常であれば、ペナルティ・アドバンテージを示し、プレーを流すはず。レフリーもおかしくなっていたのか?? この笛からすると「忖度」はなかったのか、それとも、バランスを取ったのか?
847秒のJPNボールスクラムから8番・姫野が持ち出して、ラックが出来、田中からフルバックの位置に回っていた14番・松島にパスされトライ。
 ラスト・ワンプレー、田村のコンバージョンキックはポストに当たって入った。何かを暗示しているかのように…絶品のドラマを創ったピシの意思、レフリーの笛の真実が語られる日は来るのだろうか。
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 時間帯ごとの日本ボールの(リ)スタート回数は次の通り。

0-20
20-40
40-60
60-80
スクラム
    1    
   1    
   -    
   2    
   4       
ラインアウト
    4    
   4    
   1    
   5    
  14       
ペナルティキック
    2    
   3    
   3    
   2    
  10       
フリーキック
    -    
   -    
   -    
   1    
   1       
キックオフ
    3    
   1    
   1    
   1    
   6       
ドロップアウト
    -    
   -    
   -    
   -    
   -       
 時間帯ごとのサモアボールの(リ)スタート回数は次の通り。

0-20
20-40
40-60
60-80
スクラム
   1      
   1     
   1     
   3     
   6      
ラインアウト
   3     
   1     
   -     
   3     
   7      
ペナルティキック
   4     
   2     
   2    
   2     
  10      
フリーキック
   -      
   -     
   -     
   1     
   1      
キックオフ
   2      
   2     
   3     
   1     
   8      
ドロップアウト
   -      
   -     
   1    
   -     
   1      
イエローカードは一枚、SAM6番に25分に出されている。
TMOは、2回。一回が、SAM6番のレイトチャージのレフリーからの要請での確認。もう一回が、32分、JPN5番のレイトチャージのTMOからの要請での確認。ペナルティを取られる。なお、このチャージを受けたSAM15番は、8分間ピッチ上でプレーし、40分にH.I.A.を指示され、そのまま交代。
 両チーム、二ケタのペナルティを取られた試合は、今大会、この試合とM18 SCO10/SAM14)の二試合のみ。いずれもSAM戦。レフリーが忖度せずに笛を吹いた証なのか?
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 ノットストレートの笛を聞いた瞬間、1999年大会の準決勝・FRA/NZ戦でガルティエのボールインがノットストレートと判定されたことを思い出した。あれは、何度見直しても、レフリーの「忖度」だ…
 20176か国対抗FRA/WAL戦は、9955FRAのトライで同点になりその後のゴールキックが決まり、FRAの勝利に。80分を過ぎても何度もスクラムが繰り返され、81分のスクラム・コラプシング・イエローカード・シンビンで10分間退場した選手が再出場しても試合が続いていた珍妙な試合。(YouTubeで見れます。)
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 今週のミディオリンピックにピショットWR副会長(ARG)のインタビュー記事が載っている。
WRの会長選挙が426日電子投票で実施され、512日に開票結果が示されるとのこと。今回の会長選挙は、ビューモント現会長(ENG)対ピショットの対決。ピショットによれば、保守派(守旧派)対改革派の争い。ピショットは、グローバルでの発展を指向するとともに現在の国際試合カレンダーの改革を掲げている。彼によれば、現行の夏、秋の国際試合はまったく意味がない、とのこと。選手、コーチを交えて、よりよいカレンダーにすべきだと主張している。
日本協会、どういう考えなのだろうか?
Covid-19WHOのあり方に世界の関心が集まっているが、ラグビー界にとってはWRのあり方も重要である。ルールを守るのに長けているがルールを創ることが不得手なジャパン。日本ラグビーにとって望ましいカレンダーは、どういうものなのだろうか。                          
                                      令和2418

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