2020年4月19日日曜日

岡島レポート・2019W杯・備忘録19

     2019W杯・備忘録19
      ~ 不動の8人 ~
 ラグビー・マガジン4月号の『解体心書』は、南アフリカのロックで、大会後、ホンダ・ヒートでプレーするスナイマンを取り上げている。この中で、スナイマンは「(RSAは)はじめから試合時間を60分と20分に分担する考えでした。60分組は相手の体力を削り、ダメージを与えるプレー。そして20分組が登場してとどめを刺す。」と語っている。
 今大会・決勝ラウンドにおける南アの16番から23番の投入時間は次のようになっていた。

  16
  17
  18
  19
  20
  21
  22
  23
QF
vsJPN
Marx
36
Kitshoff
13
Koch
13
Snyman
22
Mostert
26
Louw
27
Jantjies
33
Steyn
31
SF
vsWAL
Marx
7
Kitshoff
7
Koch
7
Snyman
12
Mostert
17
Louw
28
Jantjies
 -
Steyn
28
F
vsENG
Marx
21
Kitshoff
3
Koch
3
Snyman
19
Mostert
21
Louw
23
Jantjies
36
Steyn
27
 それにしても、16番から23番、まったく同じメンバー!
Finisher、スナイマンは、各試合、必ず後半半ばで「登場してとどめを刺し」ている。
 先発メンバーは、ウィング・コルビのケガの影響で、14番がコルビ(QF)→ンコシ(SF)→コルビ(F)と変更があった。
 8人の内、6人がFW
フッカーは、そもそも16番・Marxって「世界最高」という形容詞がつくのを何度も聞いたけど、ベンチ・スタート。先発のケガ・出来で前半からも出場。
17番・18番(プロップ)は、3試合とも、同時交代。
ロックの二人、19番・20番は、後半20分前後に投入される。決勝戦、20番は先発のケ
ガで前半から投入されるというアクシデントがあったが、問題は起きなかった。
21番は、6番・キャプテン・コリシとの交代で、残り10分で投入。
    8人の内6人をFWに出来るのは、ある意味、不死身・無尽蔵のエネルギーを持つバックス陣だから…
 10番から15番まで、どのポジションでも出来ると言われている23番・ステインは、QF14番・コルビとの交代、SFFは、15番・ルルーとの交代。
     南ア、1番から6番の先発メンバーを途中で代えて、7番から15番は、基本、80分間プレーし続けている。決勝ラウンド3試合、危なげなく勝利し、死角がなかった!?
  南アの16番から23番の構成・投入時間帯の考え方、これからの「世界標準」になっていくのか、興味深い。1月に始まった6か国対抗で、イングランドがリザーブ:FW6人、BK2人で戦っていた。果たして、ほかのチームも追随するのか…
 *************
 今週のミディ・オリンピックは、Covid-19に脆弱なプロリーグについての記事が多く出ている。
 そのうちで、ウルフ・仏トップリーグ機構会長(前・仏ラグビー・プロリーグ副会長、元クレルモン会長)の対談を要約してみる。
・ 歴史的に、スポーツは利潤を求めるものではなかった。勝利を目指すもので、そこに競争が生じる。これに対し、古典的なビジネスの世界、もちろんそこにも競争はあるが、それよりも上位の目的、すなわち利潤追求が存在した。だから、ビジネスでは、業界2位でも利潤をあげていれば勝者だった。しかし、スポーツでは、利潤が出ても2位であれば敗者だった。これがスポーツとビジネスの違いを象徴している。
・ 現在フランスのプロスポーツ界で、TV放映権料は、サッカーで総収入の80%、ラグビーで20%、バレーボールで5%を占めている。もし、試合がなければこれらは払われない。そもそも、試合がなければ日銭が入ってこない。Covid-19が猛威をふるう現状を打開する方策を、残念ながら、プロスポーツは持ち合わせていない。
・ スター選手の年棒が上がったのは、「2位は間抜けだ」というスポーツビジネスの掟が貫徹したからである。だから、各チームは新たな財源を得ると、そのすべてを選手獲得に投じることになった。そして、いくつもの名門クラブが没落した。
・ かつてクレルモンと張り合っていたブルゴアンも、その脱落したクラブの一つだが、いま、ブルゴアンのスタジアムでラグビーを観戦すると、素朴な悦び・郷愁を感じる。私が感傷的になっているからかもしれないが…

 こういう時期だからこそ、これからの日本ラグビーのあり方を落ち着いて考えることが大切だと感じる。
         令和2328

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