2019W杯・備忘録16
~ 横綱相撲 ~
大相撲春場所が始まる、無観客で。相撲に慣れ親しんできたせいか、「得意技」「決まり手」が気になるし、優勝したチームは「横綱」であろう。
南ア、「横綱相撲」で優勝した気がする。では、ラグビーにおける横綱相撲とは? 攻守にスキがなく結果として常に勝っている!? 「得意技」はあるのか? 二列目の猛々しさは強烈だが、一方で、コルビ(170cm/80kg)・ハイチェルヤンチース(167cm/78kg)といった小兵も大活躍した。
決勝ラウンド・3試合でのSet pieces スタッツを見てみる。
M44 RSA/JPN
SPW
|
S
|
L
|
LS
|
MW
|
RW
| |
RSA
|
16
|
6/7
|
10/10
|
4
|
10
|
68
|
JPN
|
16
|
8/9
|
8/13
|
-
|
-
|
87
|
M46 RSA/WAL
SPW
|
S
|
L
|
LS
|
MW
|
RW
| |
RSA
|
13
|
8/8
|
5/6
|
-
|
4
|
55
|
WAL
|
18
|
4/4
|
14/15
|
1
|
5
|
97
|
M48 RSA/ENG
SPW
|
S
|
L
|
LS
|
MW
|
RW
| |
RSA
|
17
|
11/11
|
6/6
|
-
|
3
|
64
|
ENG
|
10
|
3/3
|
7/8
|
-
|
1
|
93
|
RSA相手ではラインアウトを避けたくなる。極力タッチキックを蹴らずに継続しようとする。準決勝・決勝のラインアウト機会数6回は、その表れか。
ラック獲得数、敗れたWAL、ENGの数が勝ったRSAを上回っている。RSA/WAL戦のRSA・55回というのは、今大会M32 WAL/FIJ戦の勝者WAL・46回、次ページのM41の勝者ENGの次に少ない獲得数。RSAもWALもENGも、相手にボールを持たせて・ディフェンスに終始し・疲れさせて・仕留めることが「得意技」なのか。
WAL、ENGのスクラム機会数が4回、3回と少ない。RSAは「ミス」をしない。ボール保持に拘らないから「ミス」の機会も少ない!?まさに「横綱相撲」。そして、敵は術中に嵌まる。見ていて「勝てる・勝つ」というよりは「負ける気がしなかった」。
RSAのスタッツも興味深いが、ENGのそれも実に興味深い。
M41 ENG/AUS
SPW
|
S
|
L
|
LS
|
MW
|
RW
| |
ENG
|
16
|
8/9
|
8/9
|
-
|
3
|
48
|
AUS
|
10
|
3/4
|
7/7
|
1
|
-
|
113
|
ENGのラック獲得数48回は、勝者としては、極めて少ない。今大会これより少なくて勝ったのがM32 WAL/FIJ戦のWALの46回。ちなみにFIJは77回。アイランダー系の展開ラグビーに対する「勝ちパターン」ということか!?
M45 ENG/NZ
SPW
|
S
|
L
|
LS
|
MW
|
RW
| |
ENG
|
21
|
3/3
|
18/20
|
2
|
6
|
110
|
NZ
|
13
|
4/4
|
9/11
|
2
|
1
|
89
|
ENGのラック獲得数は110回。決勝ラウンド7試合のうち、ラック獲得数が多いチームが勝者となったのは、この試合とM42 NZ(100)/IRE(98)。
決勝ラウンド、まず「負けないこと」を考える。そうなるとディフェンス重視になるということか…その中で、M42,M45は、ボールがよく動いて、見ていて面白い試合だった印象がある。
ENGのラインアウト機会20回は、決勝ラウンド最多。予選ラウンドでは、M2 AUS/FIJでAUS・19/21が最多機会数。M30 ARG/USA戦で敗れたUSAが15/20というのもある。NZのタッチキック、結果を知ってからの印象かもしれないが「苦し紛れ」のが多かった気がする。
ENGが「仕掛けて」「ボールを動かして」「仕留めた」快心の勝利。
ジャパン、いましばらくは横綱を張れない(であろう)。では、どんな「得意技」どんな「決まり手」で勝ちを目指すのか? 気になるところである。カーワン・ジャパン、エディー・ジャパン、ジェイミー・ジャパン、一体どんなチームだったのだろうか?
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無観客試合が広がってくる(であろう)。スポーツにとって「観客」とは何か、をあらためて考えさせられる。「観客」は、お「客」さんでもあり、「サポーター」でもある。不要不急の外出を控えるようになると、人の流れ・おカネの流れが大きく変わる可能性がある。そういう状況で、この国のラグビーがどうなっていくのだろうか。
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日野レッドドルフィンズの選手が薬物使用容疑で逮捕された。残念なことである。案の定(?)、チームは「無期限活動停止」に。日野には、数多くの元日本代表の名選手が移籍してきて所属している。彼らの現役人生がこんな形で終わるとしたら、それは「正しくない」「おかしい」と思う。これもラグビー・それも人生、ということなのだろうか…
今大会前にウェールズ・コーチ、ロブ・ハウリーのラグビー賭博が発覚し、チームを離脱し、本国に帰還した。しかし、ウェールズはチームとして、協会として微動だにしなかった。ラグビーの価値を棄損しているという観点(①ラグビーを賭博の対象としていること ②自らコーチをしているチームの試合に賭けている ③常習性が認められる)からは、こちらの方がよほど重大だと感じている。個人の責任は個人に帰す、それが「世界標準」。…
「ワンチーム」が流行語大賞にまでなった。あらためて、選手の自己責任範囲、チームの責任範囲を含めて、連帯責任の内容を議論すべきではないかと思う。連帯責任を負うことによって、抑止力が増すと考えるのなら、ラグビー界はトヨタ(2019年6月2選手逮捕→活動自粛→2020年1月トップリーグ復帰)、日野と続いたことをどう受け止めるのかも冷静に考えなければならない。
令和2年3月7日
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