2012年9月23日日曜日

北京から西川さんのメール!


現在、北京におります。中止、延期となりました 日中国交回復40周年記念友好親善演奏会の収拾、

現地スタッフへの説明、精算、関係者との今後の協 議にきました。北京日本商会(商工会議所)、日本人会、大使館が一緒に、現 在、最良の対処を考え、共同で作業にあたっておりま す。せめて小さくとも親睦の夕べをとの地元関係者の声 から、商工会の交渉のおかげで用意できた会場に て、現在、日中の小演奏会も合わせて復活準備されています。日本大使館様の後援はそのまま継続で、館員の方も 参加されます。タイトルは周囲を刺激しないよう、形式上、変更さ れました。事故を避けるため、会場、内容は26日当日終了する まで一般に公開されません。
安全のため会場からの大切な要請です。私自身は、21世紀飯店(「中日青年交流 中心」と併設の日中資本合弁による施設)におりま す。以下が大使館周辺のここ数日の写真(ダウンロー ド)です。http://firestorage.jp/groups/5de69471f47c5ddc246400484c5c4f0fdc059dbepass:senkaku

■状況について
上海や広州等南部では暴力事件、襲撃、破壊などい ろいろ大変な状況がありますが、北京は柳条湖81周 年の18日をピークとして、翌日からは普通です。つまり大使館前のデモはあり ません。当局からの通達、中国版ツイッター(ウェ イポ)公安当局公式アカウントでのデモ禁止通告以後、全くデモは見られなくなりまし た。報道の車、夥しい公安車両、周りに延々と続く 鉄柵、警備陣は日本大使館前に集結し、大使館には一般人は一切入れない状態ではありま す。それでも18日までとは全く状況違い、デモが当 局によって統制、用意されたものであったことがよく分かります。日本のテレビなどでは時間差もあり、とても緊張し た雰囲気で伝えているようですが、北京の全ての他 の地域の街の中はきわめて普通です。しかし普通のところは報道されません。大使館の近 所の飲食街、特にいくつもある日本食店などは被害 避けるために大きな五星紅旗や「釣魚島は中国のもの」などの横断幕をかけている のは事実です。が、「この短期間で旗屋は相当儲 かったよな」と歩きながら笑って言っている人々がいるのも事実です。10月には中国も政権移譲があり、非常に複雑な背景があります。表面上のナショ ナリズムの噴出だけで判断することはできません。中国の数か月前までの情勢を新聞やネットなどで見 てきた方々は、「太子党」、失脚した重慶の実力者 などのことについてご存知と思います。こうした関係は、今も大変な力、資金力 を全国で発揮しているようです。島に目を取られて いるばかりでは本質は分からないというのが私の感想です。多くのデモ隊の前面が復 古の象徴である毛沢東の写真を掲げていたことの意 味は、中国の人にとっては自明です。重慶から中国全体に向けてで強力な復古政策の呼び かけが行わていたことは事実。このこと、10月の党大会での習近平氏への政権移譲 をめぐる様々な動きこそが事態を動かしている本質です。習氏は二週間も公の場に姿見せず、事故による重体 説や死亡説まで出ていました。水泳中の事故や、軍 車両まで詳述して事故を解説、収容された市内の軍の病院名まで報道されました。逮捕され収監されている薄氏派の強烈な巻き返しと 政権への揺さぶりが、ちょうどよいタイミングで島 の問題にありついたという状態かと私には思われます。日本のテレビなどの紹介では、 まるで中国共産党政権中枢が一枚岩であるかのよう な印象を受けますが、実際はそうではありません。日本料理店のほとんどは中国人経営、あふれる新品 の日本車に乗るのもほとんど中国人。まったく迷惑 だといっている少なくない庶民もいます。理性的で知識、経験、知的嗜好、思慮のあ る中国の人々は静かに事態を見守っています。煽り に乗せられることなく、利権派閥にコントロールされず、両国民が歩み寄れ納得できる 双方の本当のの国益と安全を考える必要があると思 います。歴史は偶然で大きく動くものでしょうから、一瞬も 目の離せない状態であることは確かです。日本政府は、穏便に済ませるつもりで都の購入より 国有化を選びましたが、日本の常識は外国の非常識 という結果になりました。読めていない流れになってしまっています。煽る政 治家もきわめて無責任ですが。アメリカでもドイツでも、「日本の右傾化に危惧」 と報道されています。日本は今後どういう方向に向かうのか非常に心配 で、懸念しています。

西川浩樹

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