2020年4月19日日曜日

岡島レポート・2019W杯・備忘録20

                    2019W杯・備忘録20
                  ~ ジャパンの8人 ~
 今大会 ジャパンの16番から23番は 次のように投入された。

 16
 17
 18
 19
 20
 21
 22
 23
RUS
坂手
34
中島
14
14
トンプ
20
ツイ
30
田中
20
松田
26
山中
30
IRE
坂手
 -
中島
23
ヴァル
13
ファン
23
リーチ
30
田中
16
松田
 -
福岡
9
SAM
堀江
0
中島
11
ヴァル
11
ウヴェ
27
ツイ
23
田中
22
松田
29
福岡
16
SCO
坂手
32
中島
16
ヴァル
21
ウヴェ
11
ツイ
32
田中
10
松田
34
山中
10
RSA
坂手
31
中島
7
ヴァル
23
ファン
13
マフィ
11
田中
31
松田
7
レメキ
19
()RSA戦では 後半27分、中島のケガで 1番・稲垣が再出場している。(一列目だけは、ケガによる再出場が認められている。)
 60分・20分の二分法で試合を考えると、19番・21番の投入時間が「カギ」になる。
ジャパンの場合、やはり21番・田中の存在感は絶大なものがある。各試合の田中投入直前とその後の得失点は次の通り。

投入直前
投入後
   Total
  対RUS
     20 - 10
     10 - 0
     30 - 10
  対IRE
      9 - 12
     10 - 0
     19 - 12
  対SAM
     26 - 12
     12 - 7
     38 - 19
  対SCO
     28 - 14
      0 - 7
     28 - 21
  対RSA
      3 - 26
      0 - 0
      3 - 26
 あらためて すごい選手だと痛感する。役割を完璧に果たしている。
今年の6か国対抗第4戦までを振り返って、仏HC・ガルティエは「交代で入ったスクラムハーフがケガする場合を考えると、出来るだけ先発スクラムハーフを長くプレーさせる」と語っている。
2007年第6回大会の対フィジー戦を思い出す。後半18分吉田に代えて矢富を投入。その矢富がケガで3分後に退場。本職のスクラムハーフ抜きで残り時間を戦った苦しい試合。
ジェイミー・ジャパンは、21番・田中と22番・松田の投入はセットで考えられていた気がする。万が一のために、松田を後半30分過ぎまで温存する。予選リーグは、ほぼ予定通りだが、RSA戦、田村のケガ・途中交代で松田が早めに入ったので、田中の投入時間が遅れた気がする。
JPN/IRE戦、後半28IRE15番・カーニーが負傷し、スクラムハーフの控え・21番・マグラーがウィングに入った。IREから見れば、敗因の一つに挙げられるかもしれない。
エディー・ジャパンは、2015年・W杯壮行試合、JPN/URGでスクラムハーフ・内田と三列目・ツイをウィングで試した記憶がある。 どこまで準備するか、「最悪の事態を想定して」と言葉で言うのは簡単だけど…
 ジャパンで、5試合フルタイム出場した鉄人が、7番・ラブスカフニ、13番・ラファエレ、14番・松島。もちろん、彼らだけがすごいのではなく、チーム全員がすごかったけど、ピッチに立ち続けた選手がいたということも記憶しておきたい。
 ***************
 マーラー案件について、今週月曜日のミディ・オリンピックは2面割いている。その中で、興味深かったのを要約する。
 サウテ・スポーツ民族学者
・ プロ化以前だったら、まったく問題にならなかった。ありふれたよく見かけた光景。乱闘が起き、レフリーは見て見ぬふりをして、やがて治まり、何事もなかったかの如く試合が再開される。
・ 今回の件がこんなに大騒ぎになったのは、SNSで拡散したから。
・ 本来であれば、マーラーの言い訳(ジョーンズの男性器を「掴んだ」わけではない)に聞く耳を持たなければいけないのに、SNSの正義に負けた。
・ それは、ラグビーがプロ化し、選手が「職業」になったからだ。
・ SNS上の批判は、ラグビーの観点からではなく、職業倫理の観点からのものばかりだ。
・ 今の世の中を象徴している。
 マルコネ・元フランス代表プロップ(84キャップ)
Je suis Marler (= I am Marler)」と題する記事 (「Je suis Marler」は、数年前のシャーリー・エブド事件の後、「Je suis Charlie」と人々が連帯したことのもじり)
・ ラグビーは、情熱を体現するから、愛されているんだ
・ 幼稚なことやおバカなことを行なうことで俺たちは成長したんだ
・ テニス界でマッケンローが行ったことを思い出してみろよ
・ SNSは、社会のガンだ
・ ジョーンズは偉大なキャプテンだけど、炎上を食い止めるべきだった
・ 無菌化されたラグビーになるんだったら、俺は縁を切るよ
        令和244

岡島レポート・2019W杯・備忘録19

     2019W杯・備忘録19
      ~ 不動の8人 ~
 ラグビー・マガジン4月号の『解体心書』は、南アフリカのロックで、大会後、ホンダ・ヒートでプレーするスナイマンを取り上げている。この中で、スナイマンは「(RSAは)はじめから試合時間を60分と20分に分担する考えでした。60分組は相手の体力を削り、ダメージを与えるプレー。そして20分組が登場してとどめを刺す。」と語っている。
 今大会・決勝ラウンドにおける南アの16番から23番の投入時間は次のようになっていた。

  16
  17
  18
  19
  20
  21
  22
  23
QF
vsJPN
Marx
36
Kitshoff
13
Koch
13
Snyman
22
Mostert
26
Louw
27
Jantjies
33
Steyn
31
SF
vsWAL
Marx
7
Kitshoff
7
Koch
7
Snyman
12
Mostert
17
Louw
28
Jantjies
 -
Steyn
28
F
vsENG
Marx
21
Kitshoff
3
Koch
3
Snyman
19
Mostert
21
Louw
23
Jantjies
36
Steyn
27
 それにしても、16番から23番、まったく同じメンバー!
Finisher、スナイマンは、各試合、必ず後半半ばで「登場してとどめを刺し」ている。
 先発メンバーは、ウィング・コルビのケガの影響で、14番がコルビ(QF)→ンコシ(SF)→コルビ(F)と変更があった。
 8人の内、6人がFW
フッカーは、そもそも16番・Marxって「世界最高」という形容詞がつくのを何度も聞いたけど、ベンチ・スタート。先発のケガ・出来で前半からも出場。
17番・18番(プロップ)は、3試合とも、同時交代。
ロックの二人、19番・20番は、後半20分前後に投入される。決勝戦、20番は先発のケ
ガで前半から投入されるというアクシデントがあったが、問題は起きなかった。
21番は、6番・キャプテン・コリシとの交代で、残り10分で投入。
    8人の内6人をFWに出来るのは、ある意味、不死身・無尽蔵のエネルギーを持つバックス陣だから…
 10番から15番まで、どのポジションでも出来ると言われている23番・ステインは、QF14番・コルビとの交代、SFFは、15番・ルルーとの交代。
     南ア、1番から6番の先発メンバーを途中で代えて、7番から15番は、基本、80分間プレーし続けている。決勝ラウンド3試合、危なげなく勝利し、死角がなかった!?
  南アの16番から23番の構成・投入時間帯の考え方、これからの「世界標準」になっていくのか、興味深い。1月に始まった6か国対抗で、イングランドがリザーブ:FW6人、BK2人で戦っていた。果たして、ほかのチームも追随するのか…
 *************
 今週のミディ・オリンピックは、Covid-19に脆弱なプロリーグについての記事が多く出ている。
 そのうちで、ウルフ・仏トップリーグ機構会長(前・仏ラグビー・プロリーグ副会長、元クレルモン会長)の対談を要約してみる。
・ 歴史的に、スポーツは利潤を求めるものではなかった。勝利を目指すもので、そこに競争が生じる。これに対し、古典的なビジネスの世界、もちろんそこにも競争はあるが、それよりも上位の目的、すなわち利潤追求が存在した。だから、ビジネスでは、業界2位でも利潤をあげていれば勝者だった。しかし、スポーツでは、利潤が出ても2位であれば敗者だった。これがスポーツとビジネスの違いを象徴している。
・ 現在フランスのプロスポーツ界で、TV放映権料は、サッカーで総収入の80%、ラグビーで20%、バレーボールで5%を占めている。もし、試合がなければこれらは払われない。そもそも、試合がなければ日銭が入ってこない。Covid-19が猛威をふるう現状を打開する方策を、残念ながら、プロスポーツは持ち合わせていない。
・ スター選手の年棒が上がったのは、「2位は間抜けだ」というスポーツビジネスの掟が貫徹したからである。だから、各チームは新たな財源を得ると、そのすべてを選手獲得に投じることになった。そして、いくつもの名門クラブが没落した。
・ かつてクレルモンと張り合っていたブルゴアンも、その脱落したクラブの一つだが、いま、ブルゴアンのスタジアムでラグビーを観戦すると、素朴な悦び・郷愁を感じる。私が感傷的になっているからかもしれないが…

 こういう時期だからこそ、これからの日本ラグビーのあり方を落ち着いて考えることが大切だと感じる。
         令和2328

岡島レポート・2019W杯・備忘録18

               2019W杯・備忘録18
              ~ Finisher ~
 備忘録17で取り上げた「M41 ENG/AUS戦」終了後の記者会見で、エディー・ジョーンズHCは、「私たちの選手選択に満足している。10-12-13という軸が、この試合では、まず、ディフェンスで機能した。私たちが期待した通りに各人が役割を果たした。また、(後半20分に13番・スレードに代わって出場した)ジョージ・フォードは信じられないプレーでゲームに入った。キックでAUSを翻弄し、彼のスキルがチームに多くをもたらした。」と語った。それについて記者が「フォードを先発から外したことを後悔していますか?」と質問したのに対して「外したんじゃないんだ、君! 彼に相応しい役割を与えたんだ。君のラグビーの見方を変えなきゃいけないんだ。今や、ラグビーは23人で戦うんだ、23人でだ!」と諭している。
 疑問に感じたAUSPK選択のすぐ後、ENGは(予定通り)13番・スレードを下げてフォードを投入した。この結果、ENG10-12-13は、
10.ファレル(188cm/92kg12.トゥランギ(185cm/111kg13.スレード(188cm/88kg)(以下、「Dセット」)が
10.フォード(178cm/84kg12.ファレル(188cm/92kg13.トゥイランギ(185cm/111kg) (以下、「Aセット」)へ。
 意図した選手交代。アグレッシヴなディフェンスから仕掛けるアタックへ。見事に決まった。解説の野沢さんがよく「フレッシュ・レッグ」と言っているが、フォードについては戦術の変更を指揮する「フレッシュ・ブレイン」と言ってもいいのかもしれない。
 10-12-13の軸について、決勝ラウンドのENGをみると
AUS戦 Dセット -(後半20分)→ Aセット
NZ戦  Aセット (後半33分に13.トゥイランギが23.ジョセフ(183cm/90kg)に
RSA戦 Aセット -(後半10分)→ Dセット
 結果論だが、決勝、AUS戦と同じ10-12-13を先発させて戦っていたなら、どういう展開になっていたのだろうか?
 準決勝、完勝のNZ戦後、エディー・ジョーンズHCは、「私は、フィニッシャー(最後の15人)を先に決めた。それを決めてから、先発の15人を決めた。(ラスト20分は)一番重要な時間帯だ。NZに勝つためには、フィニッシャーが大事なのだ。」と語っている。(松瀬学・WebSportiva 2019・10・27)
 「リザーブ」と称される16番から23番の選手。現行競技規則では、「replacement」「交代/入替えのプレーヤー」と記されている。競技規則・3条・チームで「4. 国際試合においては、協会が指定する交替/入替えのプレーヤーの数は8名以内とする。」と規定されている。
彼らを、どういう状況・どの時間帯で投入するか、①ゲーム開始前に思い描いていた通りに投入できているか、それとも②ケガなどのアクシデントで想定外の投入をせざるを得ないのか、はたまた、③選手の不出来でやむを得ず変えざるをえなくなっての投入なのか、勝負の分かれ目である。
それにしても、8人。彼らは「replacement」であり「finisher」でもある。15人の過半数が交替できると考えるのか、7人の軸を決めるのか、7人と8人の関係も興味深い。
 この大会決勝ラウンドのENG16番から23番の投入時間帯は、次のようになっている。

16
 17
 18
 19
 20
 21
 22
 23
QF
vsAUS
Dickie
28
Marler
28
Cole
23
Kruis
23
Ludlam
28
Heinz
32
Ford
20
Joseph
33
SF
vsNZ
Dickie
29
Marler
29
Cole
6
Kruis
14
Wilson
29
Heinz
22
Slade
4
Joseph
33
F
vsRSA
Dickie
19
Marler
5
Cole
2
Kruis
0
Wilson
19
Spencer
35
Slade
9
Joseph
29
 AUS戦は、①思い通りの交代の8
NZ戦は、②11番メイの負傷交代(22に)があるものの、終始リードし、完璧な勝利
RSA戦は、②3番シンクラーの負傷交代(18に、しかも、前半2分)と11番・メイの負傷交代に加えて、③10番フォードを変えざるを得なかった。
 ***********
 今週月曜日のミディ―オリンピックで、フランス代表のイパネスGMが「今回の6か国対抗の初戦、快勝のENG戦のノーサイド後、ロッカールームで喜んでいたら、ENGのマーラーがジャージを手にして入ってきた。そして、対面のアウアに手渡した。慌ててアウアは自分のバックからジャージを取り出したら、マーラーが「これはお前の初キャップのジャージだろ。大切に持っときなよ」と言って立ち去った。奴らが4週間後に出場停止処分になるなんて」と述懐している。
 フロントローって、万国共通で「心優しい人」なのだろうか…

岡本レポート・2019W杯・備忘録17

                 2019W杯・備忘録17
            ~ M41 ENG/AUS戦 ~
 見返すたびに、考えさせられる試合がある。
準々決勝第1試合、4016ENGが快勝した。前半を179とリードして折り返し、後半の後半に突き放す。危なげない試合(だった)。 では、AUSに勝機はなかったのか? AUS・チェイカHCは今でも悔やんでるのでは?
結果が「すべて」である。結局、勝たなければ意味がない。勝つか負けるかは、得点差で決まる。あるいは、失点差で決まる。いずれにしても数字の勝負だ。
得点差で決まると考えれば、得点しなければ勝てない。失点差で決まると考えれば、失点しなければ勝てる!?
 さまざまなスタッツは、各チームの個性を示している。その試合の戦略・戦術を示している。しかし、結果としての数字の集合体である(あるいは、集合体でしかない)。ENGは、失点を少なくすることを選んだ。そして、快勝した。
数字に出てこないこと、それが試合を、勝敗を左右する(こともある)。たとえば、「流れ」「勢い」をどう考えれば、いいのだろうか?
 この試合、フランス流表記の得点経過で見ると、
0-35-37-312-314-314-617-617-9(ハーフタイム)
17-1417-1622-1624-1627-1630-1633-1638-1640-16
 前半、ENG2T2G1PGAUS3PGENGはペナルティを5回とられ、AUSPG9点をあげている。
 そして、後半早々(43分)AUSに待望のトライが生まれて1点差に。「流れ」がやってきた。ところが、3分後にトライを返されて8点差に。「勢い」が衰えかけたが、その直後、ENGがノット・ロール・アウェイのペナルティ。これをタッチに蹴り出してライン・アウトからの展開でゴール前に迫り、ゴールポスト前でENGペナルティ(56分)。ここで、AUSはスクラムを選択。この選択が、その後の「流れ」を左右した。
 17-6ENGリードの前半35分過ぎに似たような展開があった。①ENGのペナルティ②AUSタッチに蹴り出しゴール前ライン・アウト③AUSライン・アウトから展開してフェーズを重ねる④ENGターンオーバーするもノック・オン⑤AUSボール・スクラムでENGコラプシング⑥AUS・キャプテン、躊躇なくゴールを指差し、PG3点を加える。
 結局、56分のスクラムからAUS8番がゴールに迫り、8フェーズ重ねるもターンオーバーされ、チャンスが潰える。
 「狙っておけば」というのは、結果論なのだろうか? 結果論でなく、「正しい」選択って存在するのだろうか? … 少なくとも、大差はつかなかっただろう。
 こういうことは、スタッツから読み取れない。
 この試合をじっくり見返していると、ラグビーの奥深さをしみじみと感じるとともに、半年前は平和だったなぁ、と痛感する。
 **********
 6か国対抗第4週は、IRE/ITA戦が早々に延期となり、ENG/WAL戦(37日)、SCO/FRA戦(同8日)が行われた。
 FRAは、開始早々、イエローカードで14人に。更に前半終了間際に乱闘でパンチを振るった3番・アウア(今回の6か国対抗で代表デビュー、この試合が4Cap目)がレッドカードで退場処分。試合後、フランス側は、スコットランド・8番がまず挑発したとして、この選手を告発したが、不発。312日、アウアに対して3週間の出場停止処分が下された。
ところで、前日に行われたENG/WAL戦の試合後の記者会見でWAL主将・ジョーンズが「ウェールズの代表として138回選ばれてきた。経験を積んできたので、もし(この挑発に対して)反応したら、レッドカードをもらうとわかっている。でも、これ(挑発行為を見過ごすこと)は不公正ではないか?ワールド・ラグビーが本件を取り上げることを望む。」として、前半7分の乱闘の終了時にENG1番・マーラーがジョーンズの「男性生殖器」を掴んだ行為を告発した。たしかに、DVDで見返してみると、乱闘が生じ・治まりかかった時点でジョーンズの肩にマーラーが手をかけ・その手が下がってきて「生殖器」を掴んでいる・驚いた(顔をした)ジョーンズはタッチジャッジにアピールし・マーラーはニタッとしている。(SNS上で見れます。)。試合は、乱闘シーンがTMOとなり、ENG・ファレルが相手選手の胸をおしたシーンだけが流され、ENGにペナルティが課され、再開され、(すなわち、ジョーンズに対する行為は不問にふされ)、WALPGを決めた。313日、マーラーに対して10週間の出場停止処分が下された。だからと言って、33-30ENGが勝利したことは覆らないのだが、確実にイングランド嫌いが、また、増えた!?
 それにしても、なぜ「マーラー」だったのか。「摩羅」が「男性生殖器」を掴むって、日本語でしかニタッとできないよなぁ…
                                      令和2314

岡島レポート・2019W杯・備忘録16・(掲載が遅れて居ました)

      2019W杯・備忘録16
      ~ 横綱相撲 ~
  大相撲春場所が始まる、無観客で。相撲に慣れ親しんできたせいか、「得意技」「決まり手」が気になるし、優勝したチームは「横綱」であろう。
    南ア、「横綱相撲」で優勝した気がする。では、ラグビーにおける横綱相撲とは? 攻守にスキがなく結果として常に勝っている!? 「得意技」はあるのか? 二列目の猛々しさは強烈だが、一方で、コルビ(170cm/80kg)・ハイチェルヤンチース(167cm/78kg)といった小兵も大活躍した。
    決勝ラウンド・3試合でのSet pieces スタッツを見てみる。
 M44 RSA/JPN

SPW
   S
   L
   LS
   MW
   RW
RSA
   16
   6/7
  10/10 
    4
   10
   68
JPN
   16
   8/9
   8/13
    -
    -
   87
 M46 RSA/WAL

SPW
   S
   L
   LS
   MW
   RW
RSA
   13
   8/8
   5/6
    -
    4
   55
WAL
   18
   4/4
  14/15
    1
    5
   97
 M48 RSA/ENG

SPW
   S
   L
   LS
   MW
   RW
RSA
   17
  11/11
   6/6
    -
    3
   64
ENG
   10
   3/3
   7/8
    -
    1
   93
  RSA相手ではラインアウトを避けたくなる。極力タッチキックを蹴らずに継続しようとする。準決勝・決勝のラインアウト機会数6回は、その表れか。
ラック獲得数、敗れたWALENGの数が勝ったRSAを上回っている。RSA/WAL戦のRSA55回というのは、今大会M32 WAL/FIJ戦の勝者WAL46回、次ページのM41の勝者ENGの次に少ない獲得数。RSAWALENGも、相手にボールを持たせて・ディフェンスに終始し・疲れさせて・仕留めることが「得意技」なのか。
WALENGのスクラム機会数が4回、3回と少ない。RSAは「ミス」をしない。ボール保持に拘らないから「ミス」の機会も少ない!?まさに「横綱相撲」。そして、敵は術中に嵌まる。見ていて「勝てる・勝つ」というよりは「負ける気がしなかった」。
  RSAのスタッツも興味深いが、ENGのそれも実に興味深い。
 M41 ENG/AUS

SPW
   S
   L
   LS
   MW
   RW
ENG
   16
   8/9
   8/9
    -
    3
   48
AUS
   10
   3/4
   7/7
    1
    -
  113
 ENGのラック獲得数48回は、勝者としては、極めて少ない。今大会これより少なくて勝ったのがM32 WAL/FIJ戦のWAL46回。ちなみにFIJ77回。アイランダー系の展開ラグビーに対する「勝ちパターン」ということか!?
 M45 ENG/NZ

SPW
   S
   L
   LS
   MW
   RW
ENG
   21
   3/3
  18/20
    2
    6
  110
NZ
   13
   4/4
   9/11
    2
    1
   89
 ENGのラック獲得数は110回。決勝ラウンド7試合のうち、ラック獲得数が多いチームが勝者となったのは、この試合とM42 NZ100/IRE(98)
決勝ラウンド、まず「負けないこと」を考える。そうなるとディフェンス重視になるということか…その中で、M42,M45は、ボールがよく動いて、見ていて面白い試合だった印象がある。
 ENGのラインアウト機会20回は、決勝ラウンド最多。予選ラウンドでは、M2 AUS/FIJAUS19/21が最多機会数。M30 ARG/USA戦で敗れたUSA15/20というのもある。NZのタッチキック、結果を知ってからの印象かもしれないが「苦し紛れ」のが多かった気がする。
 ENGが「仕掛けて」「ボールを動かして」「仕留めた」快心の勝利。
  ジャパン、いましばらくは横綱を張れない(であろう)。では、どんな「得意技」どんな「決まり手」で勝ちを目指すのか? 気になるところである。カーワン・ジャパン、エディー・ジャパン、ジェイミー・ジャパン、一体どんなチームだったのだろうか?
 *******
  無観客試合が広がってくる(であろう)。スポーツにとって「観客」とは何か、をあらためて考えさせられる。「観客」は、お「客」さんでもあり、「サポーター」でもある。不要不急の外出を控えるようになると、人の流れ・おカネの流れが大きく変わる可能性がある。そういう状況で、この国のラグビーがどうなっていくのだろうか。
 *******
 日野レッドドルフィンズの選手が薬物使用容疑で逮捕された。残念なことである。案の定(?)、チームは「無期限活動停止」に。日野には、数多くの元日本代表の名選手が移籍してきて所属している。彼らの現役人生がこんな形で終わるとしたら、それは「正しくない」「おかしい」と思う。これもラグビー・それも人生、ということなのだろうか…
今大会前にウェールズ・コーチ、ロブ・ハウリーのラグビー賭博が発覚し、チームを離脱し、本国に帰還した。しかし、ウェールズはチームとして、協会として微動だにしなかった。ラグビーの価値を棄損しているという観点(①ラグビーを賭博の対象としていること ②自らコーチをしているチームの試合に賭けている ③常習性が認められる)からは、こちらの方がよほど重大だと感じている。個人の責任は個人に帰す、それが「世界標準」。…
「ワンチーム」が流行語大賞にまでなった。あらためて、選手の自己責任範囲、チームの責任範囲を含めて、連帯責任の内容を議論すべきではないかと思う。連帯責任を負うことによって、抑止力が増すと考えるのなら、ラグビー界はトヨタ(201962選手逮捕→活動自粛→20201月トップリーグ復帰)、日野と続いたことをどう受け止めるのかも冷静に考えなければならない。
                                令和237