2019 W杯・備忘録 147
〜 公平性・一貫性 〜
9月17日のARG/RSA戦、結果は20-36:RSAの勝利で終わったが、68分に20-22とARGが2点差まで追いすがり、ホームでARGがRSAから勝利かと思わせる数分間があった。ARG、どんどん充実しいいチームになってきている。(試合経過は(参考)をご覧ください。)
この試合、ペナルティトライが「2」イエローカードが「4」、ARGのPが「18」(直近4試合のPは、14、9、12、12)RSAのPが「16」(直近4試合のPは、7、7、9、13)。一つの要因はレフリーの稚拙さにあった。「荒れた試合」になってもおかしくなかった。
シンビンの有無と得点を見てみると次のようになる。
表-1 ARG/RSA(20220917) 1行目:時間帯 2行目:ピッチ上の人数 3行目:得点
0~20 | 20~30 | 30~40 | 40~50 | 50~59 | 59~65 | 65~69 | 69~75 | 75~80 |
15vs15 | 14vs15 | 15vs15 | 14vs15 | 15vs15 | 15vs14 | 15vs13 | 15vs14 | 15vs15 |
3-10 | 3-12 | 0- 0 | 0- 0 | 0- 0 | 7- 0 | 7- 0 | 0- 7 | 0- 7 |
15人対15人の時間帯だけで見れば3-17、これが実力差なのかもしれない。
では、どういう状況で「イエロー」が出されたのか。
表-2 ARG/RSAの「イエロー」
分 | 状況 | |
20 | A10 | ARGゴール前のラックからR9がインゴールに飛び込むのをA10がラックオフサイドの位置からタックルし防ぐ ⇒ RSAのペナルティトライ+イエロー |
40 | A9 | 直前にレフリーからARGに「反則の繰返し」の警告あり。A9:オフサイドを犯しイエロー |
59 | R15 | 映像で見る限り、事前にレフリーからの警告があったように見受けられないが「反則の繰返し」(?) でR15:オフサイド・イエロー |
65 | R20 | RSAゴール前スクラムからA21がインゴールに飛び込むのをネックロールで防ぐ ⇒ ARGのペナルティトライ+イエロー |
ペナルティトライは、競技規則で次のように定められている。
第8条得点 3. ペナルティトライは、相手による不正なプレーが、トライが得られる、または、より有利な位置にて得られるのを妨げた場合に、ゴールポストの中間に与えられる。原因となった反則を犯したプレーヤーは、注意を受けるか、一時的退出か退場とならなければならない。コンバージョンは行わない。
気になったのは、20分のイエロー。ペナルティトライをRSAに与えているだけに、常識的(?)に考えれば、「注意だけ」が妥当だった気がしてならない。
この試合でのペナルティトライ、妥当性が高いと感じた。一方で、これでペナルティトライであるならば、これまでの試合でしばしば見受けれた相手ゴール前のマイボールラインアウトでモールを組んで相手のコラプシングのPでトライを阻まれるシーンでもペナルティトライにすべきだなぁと思ってしまった。
さて、同じ表を先日の問題山積のAUS/NZ(20220915)でも作ってみた。この試合はイエローがAUSに「3」、NZに「1」、計「4」
表-3 AUS/NZ(20220915)
0~25 | 25~35 | 35~45 | 45~50 | 50~60 | 60~80 |
15vs15 | 15vs14 | 13vs15 | 15vs15 | 14vs15 | 15vs15 |
10-10 | 0- 0 | 0- 7 | 3- 0 | 7-14 | 17- 8 |
15vs15で戦っている時間帯だけでは30-18でAUSが上回っている。
表-4 AUS/NZのイエロー
分 | 状況 | |
25 | N20 | NZゴール前のAUSラインアウトからモール、NZのP(コラプシング)のアドバンテージが出ている中、AUSがトライ ⇒ トライ後、N20にコラプシング(?)でイエロー (注)なぜカードが出されたのか、理解不能 |
35 | A14 | AUSゴールから20mのあたりでNZ11の独走を止め、ラックでノットロールアウェイ (注)トライを妨げたとまでは言えず、これでイエローは重すぎる |
35 | A19 | 上記と同じラックで笛が吹かれた後にTMOで相手選手の足に入って捻ったとしてイエロー (注)テレビ解説その他で「レッド」だとの意見が多数。後日、レッド相当とされ、当該選手に6週間の出場停止処分が課せられた |
50 | A9 | AUSゴール前20mのNZラインアウトからのモールで前進し、ゴールライン6m付近でモールに入り・崩したとしてイエロー (注)なぜ、ペナルティトライではないのか? Midolは「A9はペナルティを犯していない。仮にレイナルの判断に従うとすれば、ペナルティトライを与えなければおかしい」としている。 |
上記の表に出てこないが、57分TMOでNZ2の危険なタックルが確認されながら、なぜか単なるペナルティでカードは出されなかった(これも理解不能)。他のレフリーとの笛の違いがその他にも散見された。
ラグビー憲章:競技規則の原則:適用の中に次の一文がある。「マッチオフィシャルは、公平性、一貫性、細やかな感性、そして、必要に応じて管理能力をもって、これら(≒ゲームがプレーの原則に従ってプレーされること)を実現させていくことができる。」
「公平性」「一貫性」、もちろん1試合の中でも必須であるが、どの試合でも(≒どのレフリーが吹いても)同じ笛になることが望ましい。その意味では、個性的なレフリーは外されていくべきなのだろう。
( 参考 )
2022-9-17 ARG/RSA KSLPFD図
「分」は得点時間
大文字はARG 小文字はRSAのボール支配
K:キックオフ
S:スクラム
L:ラインアウト
P:ペナルティ PY:イエローカード (PG*はPGを狙って外したもの)
F:フリーキック
D:ドロップアウト (D*はゴールライン・ドロップアウト)
- :関連するリスタート
分 | 得点 | |
7 11 20 23 27 32 | K S-f S-p-L l p-PG k P-pg K P-pg* D L p-PG* L-P-l pt (PY) K p-PG k P-l-P-l-P-l tg K P-l P-l t K s-p-L L-s-P-l P-s PY-l | 3- 0 3- 3 3-10 6-10 6-17 6-22 |
65 68 74 79 | k l s P-l d* P-l p-L p-L P-l S S p-L S py-S s-p-L p-S p-S PT(py) k p-L TG k p-L P-l-P-l tg K L p-L P-l tg | 13-22 20-22 20-29 20-36 |
令和4年9月24日
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