2021年10月16日土曜日

 岡島レポート・2019 W杯・備忘録 99

         2019 W杯・備忘録 99

 6回大会・決勝 RSA/ENG 

 南半球・北半球の順に行われてきたW杯、第6回は北半球の番であった。第6回大会の開催地として手を挙げたのが、ENGFRA2003410日、18票対3票という大差で、FRA中心開催が決定された。Midol編集長・ヴェルディエ・日誌には「ENGが数字とおカネのことだけを強調したのに対して、FRAがラグビーの価値・意義を世界に訴えたのが勝因だ」と記されている。

 2007年、97日(金)から1020日(土)に行われた。第5AUS大会に比べて、およそ一月早くなっている。
 この大会も20チーム・4グループに分かれての予選プール方式で行われた。
決勝は、予選ラウンド・同じプールで試合し、36-0という大差がついたRSAENGの両チームで行われた。ちなみに、予選プールで1位通過せず(=予選プールで負け試合がある)決勝まで上り詰めたのは、第2回大会のENG(この時は、予選プールにおいて18-12NZに敗北していた)に続いて2度目のケースであった。(2019W杯では、RSAが予選プールでNZに敗北し、優勝した。予選プールで敗北して優勝したのは初めてのこと)。
 予選プールで戦ったチームで決勝が争われる初めてのケースであった。

 また、それまでの大会で、準決勝に進出したチームで予選プール「1抜け」でなかったのも、第2回のENGのみ。それがこの大会では、ENGと準決勝で戦ったFRAも開幕戦:予選プールでARG17-12で敗れて準決勝まで進出している。その意味では、荒れた(?)大会だったと言えるのかもしれない。

 決勝は、1020日、パリで行われた。RSAHCの隣には、チーム・アドバイザーのエディー・ジョーンズが座っている。
 試合経過は次の通り。RSAの得点は「○」、失点は「」、RSAが得点を逃したのは「×」、ENGが得点を逃したのは「*」。

得点
種類
起点となった(リ)スタート

×

×


 6
11
14
16

20

39

 3- 0
 3- 3
 6- 3




 9- 3

PG
PG
PG
DG

PG

PG
ENGのキックオフで試合開始。
ENGP(ノットリリース)。RSA15PG
RSAP(ノットロールアウェイ)。ENG・⑩・PG
ENGP(オブストラクション)。RSA15PG
ENGラインアウト⑦←④(ラック・ターンオーバー)93(ラック)91022mライン上右寄りDG外す
ENGP(倒れ込み)。RSA12・センターライン付近からのPG外す
ENGゴール前のENGスクラム:4回組み直して、5度目のsスクラム回ったとしてRSAスクラムに。8がサイドをついてゴール前1m(ラック)95(ラック)92(ラック)93(ラック)ENGP(ハンド)。RSA15PG



43



49
60
70
 9- 6



12- 6
15- 6
PG



PG
PG
DG
ENGラインアウトからモール⑨のパスが乱れて⑬へ⑬がラインブレイクし40mランRSAゴール前3m(ラック)⑨→⑫→⑪・トライか?ビデオ判定で足が出ていたとして、その前のRSAP(倒れ込み)。ENG・⑩・PG
ENGP(ラック・ハンド)。RSA15PG
ENGP(オブストラクション)。RSA12PG
ENGラインアウトをRSAスチール:ラックでターンオーバーENGボールに⑨→⑩DG届かず
(注)「→」は順目のパス。「←」は内返しのパス。
   ○に入った数字はENG選手の背番号。

 「つまらない」試合をすると評判の2チームの戦い。案の定、ノートライ、淡白な試合と言えるのかもしれない。トライ・チャンスは、限られていて、そこを凌げばノートライに抑えることができる。得点チャンスは、PGDG。意外性のあるDGも決まらなかったこの試合。得点はPGのみ。「つまらない」と一刀両断することもできる。
プロ化によって、まず進化・深化したのが、選手の肉体とディフェンス。その到達点でもあり、ある種、必然の結果にも思える。
 この大会のRSA、予選プールでTON30-25と辛勝した以外は、大差で勝ち続け(大会最多得点・最多トライ選手がともに優勝チームから出たのは、第1回大会以来。「つまらない」試合をするとはいえ、ハバナが8トライし最多トライゲッターとなっている)、準々決勝はFIJ37-20、準決勝はARG37-13と危なげなく勝利している。
 一方のENGは予選プールでRSAに「ぼろ負け」し、期待されていなかったのが、準々決勝でAUSに「まさかの」12-10の勝利で決勝に駒を進めていた。
 RSAの優位は揺るがないと思われていたが、「勝負は水物」、決勝戦の緊張感は独特のものであり、試合内容は濃く、一つ一つのプレーを見ていくと緊迫感溢れる好ゲームでもある。やはり、決勝戦は決勝戦なりの面白さがある。
「たられば」的に言えば、後半最初のENGのトライ・チャンス。ビデオ判定も実に微妙に見えて、あれがトライであれば、試合の緊迫度は最高に増していた気がする。

 プロ化が数字面で顕著に出てくるのが、Pの数。決勝戦の両チーム合わせてのPの数を第1回大会決勝から、決勝戦に限ってみると172216281612となっている。
前回大会決勝とこの試合のPの取られた内容を見てみると次のようになる。
5回決勝 (レフリー:ワトソン(RSA))

スクラム
ラック
その他
  計
ENG(勝者)
   4
   5
   1
  10
AUS(敗者)
   1
   4
   1
   6

6回決勝 (レフリー:ローランド(IRE))

 スクラム
 ラック
 その他
  計
RSA(勝者)
   -
   3
   2
   5
ENG(敗者)
   -
   5
   2
   7

 この二試合を比較してみると、スクラムでのP。これを ①レフリーの個性 ②北半球と南半球の笛の違い ③試合展開 と見るか 興味深いものがある。
 ちなみにスクラムの回数は、第5回:23ENG7AUS16)、第6回:15RSA9ENG6)であった。
 両試合とも、ラインアウトでのPはゼロ。その他のPは、ノーボール・タックル(第5回のAUS)とオブストラクションによるもの。ラインオフサイドもゼロであった。
 「規律が守れるチームが決勝に進む」、そんな時代になっていたのかもしれない。

令和31016

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