2020年11月7日土曜日

 岡島レポート・2019 W杯・備忘録 51

    2019 W杯・備忘録 51

       ~  公用語 ~

  国連の公用語は、英語・仏語・ロシア語・中国語・スペイン語・アラビア語であり、ホームページも、それらの言語を選択できる。

  ワールドラグビー(WR)のホームページは、英語・仏語・スペイン語・日本語の選択肢がある。競技規則は、英・仏・スペイン・日本語のほか全部で12言語で掲載されている。 そうでありながら(?)、今大会期間中、グランド上でレフリーから発せられる言葉は英語に限られていた。開幕戦のJPN/RUS戦においても、レフリーのナイジェル・オーエンス(WAL)からは日本語やロシア語は一切発せられず、英語だけが発せられ続けた。フランス人レフリーもなまった英語だけを発していた。

  W杯がこの世に出現する以前、フランスの大統領・ドゴールは、当時の国際試合の最高峰である5か国対抗の試合が英語人のレフリーによって英語で裁かれることに激しく抗議していた。

フランス代表のキャプテン・パパランボルドは試合後「レフリーが(英語で話すので)何を言っているのか、さっぱりわからなかった」と嘆き、伝説のキャプテン・リーブは「5か国対抗ではいつも(中立・第三者協会の)イギリス人が笛を吹く。やり方はエレガントだけれど実に効果的だ。奴らはフランス語がわかっているのに話さない」。などと言っていた。

  現在の競技規則では、第3条(チーム)の「人数」の項で「一方のチームが、相手側のプレーヤーの人数についてレフリーに異議を申し立てることができる。」と規定されているだけで、他の異議申し立ては認められていない。

 第9条(不正なプレー)の「不行跡」の項で「プレーヤーは、レフリーの権限を尊重しなければならない。また、レフリーの決定に反論してはならない。レフリーがプレーを停止するために笛を吹いたときは、ただちにプレーを停止しなければならない」、これに反した時はペナルティが課されると規定されている。

  これらの条項の前に、「定義」の中で「キャプテン:チームにより指名されたプレーヤーのことで、そのチームを率い、レフリーに意見を求め、レフリーの決定に関連するプレーの選択を行う。」と規定されている。

  これらのことから、レフリーとコミュニケーションを取れるのは、チーム内のキャプテン(だけ)となっている。

  日本代表のキャプテン・リーチは、誰が見ても、どの角度から見ても、傑出したキャプテンだ。リーチがボールを持つたびに大観衆が期待を込めて「リーチ!」と絶叫したのも記憶に残る。

 W杯のグランド上での公用語が英語に限られ続けるならば、日本代表のキャプテンはEnglish Nativeな選手が務めることになるのだろうか? レフリーとの良好なコミュニケーションを維持するためには、キャプテンの大切な要件の一つである気がする。リーチがキャプテンの座を降りるとき、誰が引き継ぐのか、気になるところである。

  こんなことを考えながら、先日(2020111日)の20206か国対抗第5FRA/IRE戦を見ていたら、レフリーのバーンズ(ENG)が英語なまりのフランス語を発し続けていた。そうなのだ、6か国対抗では、いつの頃からか、フランス語も発するレフリーが出現していた。だからと言って、必ずしもすべてのレフリーにフランス語を発することが義務化されたようではない。フランスチームが出ている試合では、しばしば英語・仏語が入り混じって聞こえてくる。一方で、20206か国対抗第1FRA/ENG戦のレフリー、オーエンスは英語で通していた。

それにしても、6か国対抗の試合で、イタリア語は聞いたことがない… 強くならなきゃダメだ、ということなのだろうか。

  いつの日か、W杯の試合中に日本語を発するレフリーが出てくるのだろうか。それとも、自動翻訳機が小型化・高性能化し、言語の違いを気にすることのない環境が来る日の方が早いのだろうか。               

                              令和2117 

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