2022年8月6日土曜日

岡島レポート・ 2019 W杯・備忘録 140

                                                2019 W杯・備忘録 140

  トライを分類する 〜
 
理想のトライ、どんなものだろうか。
自陣からの独走90メートル!スカッとする。15人全員がパスでつないだもの、あったら素晴らしい。 あるいは 逆転トライ。スクラムトライは見応えがある。いろいろなトライシーンが浮かんでくる、得点シーンとして。
美しいトライ、それとも、試合を決めるトライ…
 
なぜトライが取れたのか(=得点)という視点で見るのか、それとも、なぜトライを取られたのか(=失点)という視点で見るのか、試合の見方も変わってくる。「負けに不思議の負けなし」ではないが、「失トライに不思議の失トライなし」ではないだろうか。
 
スーパーラグビーの画面では、’TRY ORIGINS’として、「Line Out」「Scrum」「Turnover Won」「Kick Return」「Counter Attack」「Tap Kick」の六分類に分けている。これはこれでなるほどとよく出来た分類だ。
 
2019W杯の前、「NZはアンストラクチャーからの攻撃に長けている」と言われていた。では現在のNZ、どうなのだろうか? 今夏のNZ/IRE三連戦のトライを見てみる。三連戦で、NZ11トライ、IRE9トライを取っている。トライ数では、NZが上回っている。それでも、トライの取られ方が悪かった気がする。
 
トライがどのような状況で生まれたのか、次の各項目を見た。
「分」:ゲーム開始時からの時間
「人数」:+は相手チームのカードでのピッチ外の人数、−は味方の人数
P」:起点となるリスタートを導いたペナルティの有無
「起点」:大文字はマイボール 小文字は相手ボールでのリスタート
「位置」:相手ゴールラインからの距離(m)
PH」:トライに至るフェーズ数
AD」:トライまでの間に出されたP・アドバンテージの数
KR」:キックに起因するボール保持の変更回数
TO」:ジャッカル・ノックオンなどによるボール保持の変更回数
「番号」:トライした選手の番号
 
NZのトライは次のとおり。
第1戦
 
人数
P
起点
位置
PH
AD
KR
TO
番号
N-1
20
-
-
S
33
6
-
-
-
15
N-2
29
-
-
L
75
0
-
-
2
14
N-3
35
-
-
l
13
0
-
-
1
12
N-4
37
-
L
45
7
1
-
-
8
N-5
52
-
-
L
30
3
-
-
-
8
N-6
70
-
S
5
0
-
-
-
19
 
第2戦
 
人数
P
起点
位置
PH
AD
KR
TO
番号
N-1
39
+1-1
PK
5
10
1
-
-
10
N-2
77
-1
-
S
38
5
-
-
-
23
 
3
 
人数
P
起点
位置
PH
AD
KR
TO
番号
N-1
43
-
-
K
50
24
2
1
-
8
N-2
51
+1
L
20
3
-
-
-
6
N-3
58
+1
*
pg
50
2
-
2
-
14
 
意外(?)と「アンストラクチャー(=KRTOが生じる)」からのトライが少ない。それと、PKを蹴って相手ゴールライン近くからのラインアウト(からモールを組んで)起点のトライがない。トライの取り方も凡庸(他のチームと変わりない)になってきたのだろうか。
 
三連戦 IREのトライは次のとおり
第1戦
 
人数
P
起点
位置
PH
AD
KR
TO
番号
I-1
6
-
L
35
18
1
-
-
14
I-2
43
-
L
5
7
1
-
-
13
I-3
76
-
-
gldo
0
9
-
1
-
23
 
第2戦
 
人数
P
起点
位置
PH
AD
KR
TO
番号
I-1
2
-
-
l
52
11
2
1
-
1
I-2
44
+1-1
-
S
49
12
-
-
-
1
第3戦
 
人数
P
起点
位置
PH
AD
KR
TO
番号
I-1
3
-
L
5
0
-
-
-
7
I-2
27
-
L
41
3
1
-
-
15
I-3
36
-
-
S
15
3
-
-
-
13
I-4
64
-
L
5
0
-
-
-
16
 
三戦で9トライ。このうち、5トライは相手・Pからのもの。(NZ11トライ中4トライ)。「PH」の項目を見ていると、第1戦・第2戦は、フェーズを重ねて(NZ側から見れば、手数をかけさせて)のトライ。一方、第3戦は「実にあっさり(=無抵抗!?)」トライしている(NZ側から見れば、ディフェンスに欠陥あり!)。NZの歯車が微妙に変調を来した現れのようである。
 
最強軍団と誰もが認めていたNZ、ただの強いチームになり下がった感がある。W杯までの1年間、どういう軌跡を描くのだろうか。
 
******************
 
「現在のNZの低迷は必然である」としてMidolでは、いくつかの要因をあげている。興味深かったのは、㈰マオリ・アイランダー(サモア・フィジー・トンガ)系の選手はボディコンタクトを好み15人制ラグビーのヘッドコンタクトに対する厳罰化に嫌気がさして13人制ラグビー(リーグ)へ有望選手が流れている ㈪近年のU-20W杯の成績から予想できたことである、という2点。
U-20W杯の近年の順位は次のとおり(2020以降はCovidのため未開催)
 
  年
 優勝
 準優勝
  3
  4
  2015
  NZ
  ENG
  RSA
  FRA
  2016
  ENG
  IRE
  ARG
  RSA
  2017
  NZ
  ENG
  RSA
  FRA
  2018
  FRA
  ENG
  RSA
  NZ
  2019
  FRA
  AUS
  RSA
  ARG
 
これを見ていると、2019W杯の決勝がRSA/ENGであったのは「必然」だった気がしてくる。となると、2023RSAENGFRAの三つ巴になるのだろうか。
 
令和486

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