2021年3月13日土曜日

岡島 レポート・2019 W杯・備忘録 68

          2019 W杯・備忘録 68

           ~ ボーナスポイント ~

  試合の勝敗は、得点の多寡で決まる。W杯予選プールの順位は、「勝点」の多寡で決まる。

 試合の得点が、ペナルティトライ:7点、トライ:5点、PGDG3点、コンバージョン:2点と重みづけられているように、勝点は、勝利:4ポイント、引き分け:2ポイント、ボーナスポイント:1ポイントとなっている。

 ボーナスポイントは2種類あり、トライ数と得点差に着目して付与される。着目点が違い、質的に違うが同じ1ポイントが与えられる

  前回大会予選ラウンド、31敗とRSASCOと同じ勝敗でありながらボーナスポイントの差で決勝ラウンド進出が叶わなかったJPNにとって、毎試合、4トライ取ること=ボーナスポイント1の重要性が強調された大会だった。

 ちなみに、W杯にボーナスポイントが導入されたのが、2003年・第5回大会。

  今大会の予選プールでのボーナスポイント発生状況は次の通り。

 

     総  数

     1試合当たり

 BP1

 BP2

 計

 BP1

 BP2

 計

プールA

    9

    2

   11

   0.9

   0.2

   1.1

プールB

    7

    -

    7

   0.875

    -

   0.875

プールC

    7

    2

    9

   0.78

   0.22

   1

プールD

    9

    2

   11

   0.9

   0.2

   1.1

(注)BP1(仮称):4トライ以上取った場合のボーナスポイント

   BP2(仮称):7点差以内で負けた場合のボーナスポイント

  総じて、4トライ以上のBP1がほぼ各試合で発生する一方、7点差以内の拮抗(?)した試合があまり多くないのがW杯予選プールの特徴である。

ちなみに、プールABP2は、JPN/IRE戦、JPN/SCO戦でのもの。JPN、よく勝ち切ってくれたものだ。そして、NZRSAの入ったプールBでは、NZ/RSA戦が23-1310点差だったこともあり、BP2は発生しなかった。台風で中止となったNAM/CAN戦が行われていたならば、どんな点差になったのか。

  2020年六か国対抗ではどうであったか。ITAは全敗でかつBP0ポイント、ITA戦でBP1を獲得したのがSCO以外の4チームということで、(申し訳ないが)ITAが格下のチームであることは明らかである(現時点においては。次回大会までに大躍進があるのか…)。

ITA戦を除いた5チーム間の10試合で見てみると、BP12BP26となっている。僅差の試合が多くなっている≒実力の拮抗したチームで構成された大会である→見応えのある試合が多い、というのが浮き出てくる。もちろん、トライ数が多い=BP1のポイント数が多いのも「見応えがある」が、競り合った試合でノーサイドになるまで勝敗の帰趨が定かでない=「手に汗握る」試合は見逃せない。

 ちなみに、WALは、14敗だったが、ENGFRASCOに対しては7点差以内の敗北でBP2を3ポイント獲得していた。

  現在行われているJPNトップリーグ、スーパーラグビーでは、BP2の条件は同じだが、BP1は「勝敗に関係なく、3トライ差以上のトライを獲得したチームに1ポイント追加」されることとなっている。ノーガードでの「打ち合い」を避ける狙いがあると思われる。

 JPNトップリーグ第1節では、トヨタ345T)-335T)東芝、神鋼477T)-386TNECという大味な試合があった。W杯条件であれば、すべてのチームにBP11ポイントが付与されることになるが、JPN条件では付与されないことになる。

 各節8試合行われるが、これまで、第1節:BP15ポイント、BP22ポイント、第2節:BP14ポイント、BP23ポイント、第3節:BP16ポイント、BP21ポイントが発生している。

 第3節までの24試合で、BP115ポイント(1試合当たり0.625)、BP26ポイント(1試合当たり0.25)となっている。

 第3節、クボタ/NTTコム戦は、クボタ345T)-243TNTTコムの状況でノーサイドのホーンが響いたが、その後両チームともにトライないし得点を取りにいって、なかなか試合が終了しなかった。80分戦って勝ち点を「失うことがない状況」下で、かつ、両チームともにボーナスポイントを獲得するチャンスがあるという絶妙な環境下で意地を張り合う両チーム、見ていて面白かった。仮にW杯条件であれば、クボタはBP1を確定しており試合を続行するインセンティブは失われている。

  FRAトップ14は、BP1JPN条件と同じだが、BP2は「5点差以内の負け」に1ポイント付与される。37日までに132試合が行われ、BP141ポイント(1試合当たり0.31)、BP248ポイント(1試合当たり0.36)となっている。

 ちなみに松島の所属しているクレルモンは、現時点で第4位、19試合を終え1171分け:BP16BP23である。

  1トライの得点が3点から4点、そして現在の5点に変わったように、ボーナスポイントの条件なども変化してゆくのだろう。世の中は、ポイントに溢れている。次回大会では、ボーナスポイントの条件が変わるのだろうか?

 (参考)

1. ボーナスポイントの条件

 

   BP1(仮称)

勝敗に関係なくトライ数に着目

   BP2(仮称)

敗者の得点差に着目

敗者にのみ付与されうる

W

六か国対抗

4トライ以上取ったチームに付与

=両チームに付与されうる

 

 

7点差以内の敗者に付与

JPNトップリーグ

スーパーラグビー

相手チームより3トライ差以上多く取ったチームに付与

=敗者でも付与されうる

FRAトップリーグ

5点差以内の敗者に付与

 2. 1試合当たりのボーナスポイント発生値

 

  BP1

  BP2

2019W杯予選プール(37試合)

     0.86

     0.16

2020六か国対抗(ITA除き)(10試合)

     0.2

     0.6

2021JPNトップリーグ(24試合)

     0.625

     0.25

2020/2021FRAトップリーグ(132試合)

     0.31

     0.36

                                令和3313

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