2019 W杯・備忘録 67
~ 対戦順 ~
次回大会・2023年W杯フランス大会の試合日程が、先日(2月26日)、公表された。各チームの対戦相手、試合会場が決まり、そこから逆算したチーム強化が加速化する。
今大会を振り返ってみて、JPNは、予選プールで、RUS→IRE→SAM→SCOの順で戦ったのだが、それについて、WALのHCだったガットランドの自伝に次のような興味深い一節がある。
When I arrived in Tokyo for the 2019 World Cup draw, the Japan coach Jamie Joseph, a fellow Kiwi, took me to one side and said: ‘If you were with Japan as World Cup hosts, who would you play first: Ireland or Scotland?’
‘Neither,’ I said. ‘Make them play each other first and give yourselves a fixture you know you can win.’
It seems he took my advice. (p286)
ガットランドの原体験は、2015年W杯・イングランド大会。ガットランドのWALは、ENG・AUSと同組のいわゆる「死のプール」に属し、そこから勝ち上がって決勝ラウンドに駒を進めた。一方、ENGはWAL・AUSに敗れ、開催国としては大会史上初となる予選リーグ敗退を喫した。これについて、ガットランドは、次のように分析している。
I felt our chances of surviving it were lifted by the shape of the fixture list. I hadn’t realised at the time that the host nation, England in this case, had a say in the order of matches and in my opinion, they made a massive mistake in allowing us a soft opening against Uruguay instead of playing us with the Wallabies. If we’d lost to Australia in round one, we would have been playing catch-up far earlier than we would have likes and been under intense pressure. By choosing to play us before we’d faced the Aussies and leaving their own match with Uruguay until last, presumably because they felt the pool might come down to points difference, they undermined their own campaign.
2015年W杯・プールAの10試合は、次の順番で行われた。
① ENG 35-11 FIJ ② WAL 54-9 URG ③ AUS 28-13 FIJ
④ WAL 28-25 ENG ⑤ AUS 65-3 URG ⑥ WAL 23-13 FIJ
⑦ AUS 33-13 ENG ⑧ FIJ 47-15 URG
⑨ AUS 15-6 WAL ⑩ ENG 60-3 URG
大会の予選プールは、5チームで構成され、総当たり戦が行われる。5チームを二分割すると、Ⅰ 二強・三弱 か Ⅱ 三強・二弱 と想定され、この後者の「三強・二弱」の組み合わせが「死のプール」と呼ばれることとなる。ガットランドの言わんとすることを大胆に簡略化すると、三強の対戦の最初の戦いで敗れたチームは大きなプレッシャーに晒され続けるので、予選リーグで敗れる、ということであろう。
これを今大会に当てはめてみると、
予選プールA:三強(JPN・IRE・SCO)
予選プールB:二強(NZ・RSA)
予選プールC:三強(ENG・FRA・ARG)
予選プールD:三強(WAL・AUS・FIJ)であり、
三強間の初戦、IRE/SCO、FRA/ARG、AUS/FIJで敗れたSCO、ARG、FIJは予選リーグで大会を去っている。たまたまなのであろうか。
ガットランド、恐るべし!
次回大会、JPNが「三強」の一角を成していることを期待している。
****************
2021六か国対抗第3節(2月27日):WAL(40-24)ENGをご覧になられた方も多いかと思う。この試合のレフリーはガウゼル(FRA)。3月1日のMidolは、レフリー責任者・Jutge(元トップレフリー、フランス人)が「ガウゼルは誤りを認めた」との見出しで、試合の翌日、ガウゼルはビデオで見返してみて、「前半15分のWALのトライ、前半28分のWALのトライを認めたのは間違いだった」と言ってきたと報じている。Jutgeは、「レフリーが間違いを認めて明らかにすることが『透明性』の向上につながる」としている。二つのトライが「トライでなかった」ならば、試合はまったく違った展開になっていたであろう。ガウゼルの笛に対して、ENGメディアは激しく批判しているようである。しかし、試合後の会見では、ジョーンズHC・ファレル主将は愚痴を一切言わなかったようである。内心、ガウゼルに「貸し一つ!」とほくそ笑んでいるのだろうか…すべて、W杯での勝利のための布石である!?
WAL、昨年負け続けたため、ランキングが9位に後退していて、どうなることかと思われていた。ところが、第1節対IRE戦・13分IRE・6番にレッドカード、21-16(前半6-13)で勝ちを拾い、第2戦対SCO戦・52分SCO・3番にレッドカード、25-24(前半8-17)で勝利する。この二試合とも、TMOで詳細に見られた後のレッドカード。
第3戦対ENG戦の前半は17-14でリードしていたが、17点のうちの14点が「無効」であれば、どうなっていたのか。「レフリーに泣かされる」ではなく「レフリーに勝たしてもらう」!? いや、レフリーではなくTMOなのか… 「運も実力のうち」と考えるのか、こんなところで「運を使い果たしていいものなのか」と捉えるのか、次回大会までにどんなチームに仕上がっていくのか、興味深い。
令和3年3月6日
0 件のコメント:
コメントを投稿