SATORUさま
トランプ 千両役者なのか 大根役者なのか. ポスト・トランプ劇場 いつ・どんな内容になるのやら…
2019 W杯・備忘録 265
~ バスク ~
ブランコのラグビー・バスクのラグビー…
広辞苑(第7版)では 「バスク【Basque(フランス)】ピレネー山脈西部、フランス・スペイン国境にまたがる地方。1960年頃から独立運動が活発化。スペイン語名バスコ(Vasco)」「バスク語:バスク地方で使われている言語。系統は不明で孤立した言語。能格構文をもつ。」「バスク人:バスク地方に住む民族。現在のヨーロッパ諸民族のうち最も古い民族の一つ。海外へも移住。」とある。
日本での「バスク」認知度は バスチーにレアル・ソシエダ 「昨今、グルメやサッカーでバスク地方がより広く知られるようになるにつれ、バスク語の存在も認知されるようになってきましたが、皆さんはバスク語に対してどんなイメージを抱いていらっしゃるでしょうか。」(『バスク語のしくみ』(吉田浩美 白水社 2021年の「はじめに」)というようなものだろうか。
じゃあ バスクのラグビーは
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パリからマドリッド行きの汽車に乗る。オルレアン・トゥール・ポワチエ・アングレームと100kmおきに中都市が存在する。このあたりまでは 車窓から見えるのは サッカーグランドのみ。アングレームを過ぎたあたりから ラグビーポールが ちらほら見え始める。ボルドーを過ぎると サッカーゴールとラグビーポールが ほぼ同数に。ランド地方・ダックスを過ぎ バスク地方に入ると 圧倒的に ラグビーポールが優勢になる。
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(フランス)バスク地方の中心地 バイヨンヌとビアリッツの間の町で生まれ育ったデシャン(1998年サッカーW杯優勝チームの主将。2018年サッカーW杯優勝監督。主将・監督として優勝したのは ベッケンバウアーについで3人目)の伝記(Bernard PASCUITO”DIDIER DESCHAMPS”2022)の中で「(彼の育った地域は)ラグビークラブがサッカークラブの10倍ある」(p24)と書かれている。デシャンの父・親戚もラガー。
ラグビー・フランス「圏」でのバスクについて エレロは こんなことを書いている。
フランスラガーにとって バスク地方は 理想郷だ。大聖堂。
千年の昔から バスク人は 重い石を持ち上げ・綱引きをし・丸太切りを競ってきた((注)現在も バスクのスポーツ大会の主要競技種目)。そして 他のどのスポーツとも似ていない「ぺロタ」。
こうしたスポーツ史を持っていた人びとだから 楕円球の来襲を拒絶してもよさそうなものだった。が 熱狂的に受け入れた。
(エレロが子供の頃)バスクのことなんて 遠いところで 何も知らなかった。ラグビークラブの大人たちが よく バスク人について 「ちびで 蟹股で 首は両肩の中に埋没してる だがな 滅茶苦茶 勇猛なんだ」と 語っていた。子ども心に バスク人は みんな プロップなのか! と 思ったものだ」(Daniel HERRERO “L’esprit du jeu l’ame des peoples” p113)
デシャンの伝記では「バスクが すべてに沁み込んでいる、風景に・人びとの魂に。彼らは 怒りっぽく・無口で・無愛想で・慎み深い。バスク地方は 謙虚であり 測り知れない自尊心を持つ、ある時は 平静で ある時は 破壊的な暴力をふるう。木々であれ 野であれ 林であれ 森であれ 希望の緑をなし 絶望が潜んでいる。この地方には 半濃淡はない。太陽は照り付け 雨は激しく 空気はざらついている バスク語の発音のように。ここには 年代の溝はない。老いも若きも とにかく バスク人だ。日々の生活は厳しい が 感興をそそる。已むに已まれず 他出することがあっても 心がバスクを離れることはない。彼らは いずれ 故郷・バスクに戻ってくる。」(p17)と書かれてい
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ところで 汽車がフランス国境の駅:アンダイユ(フランス・バスク)から スペイン国境の駅:イルン(スペイン・バスク)に入ると車窓は一変し ラグビーポールが見当たらなくなる…
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1000年余の歴史を持つバスク人・バスク地方 同じ言語を話し・同じ文化を共有し・同じスポーツを楽しんできた民族が なぜか フットボールに関しては 国境線を挟んで まったく違う根付き方をしている。
長年 実に 不可思議な現象だと感じ続け いかなる原因でそうなったのか いろいろな文献に当たっても来たが 未だに これだ!という腑に落ちる説に出会わない。
エレロも「不思議だ。スペイン・バスク人も フランス・バスク人と同じく 格闘大好き・自尊心の塊だ。たぶん GODのミスなのだろうか? スペインに数多くいて影響力のある神父たちが 肉体のぶつかり合いを忌み嫌ったせいなのだろうか…」としか 書いていない。
令和7年3月1日
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