2019W杯・備忘録 31
~ M8 GEO/WAL ~
大会4日目、第8試合GEO/WAL戦は、豊田スタジアムで、35,545人を集めて、19時15分キックオフ。
大会前、どれだけの観客が集まるのか・世間の関心が集まるのか、心配されたけれど、杞憂だった、と感じられる日々が始まった。9月の午後の暑い日差しを浴びながら、予約したホテルに向かって歩いていたら、中高年ガイジン3人組が地図を凝視しながら途方に暮れている。思い切って「May I help you?」と声をかけたら、ウェールズから来日して同じホテルに向かおうとしている、とのこと。あれこれ話したら、この試合とWALの次戦・対AUS戦観戦のために来日した・試合の合間は伊豆観光に行くらしい。
ホテルのロビーのソファーに座っていたら、隣の人びとがフランス語で話している。「ジョージア人?」と尋ねたら、「いや、フランスからやってきた」「次のENG/ARG戦。俺たち、ENGを応援することになるなんて…」と盛り上がる。彼らは、ビアリッツ、マッシフサントラルからやってきたとのこと。
各国の街場のラグビー好きが、4年に一度、母国を応援するため、予選リーグの1~2週間、観光旅行も兼ねてやってきている。こういうガイジンと、各地で出会った。W杯独特の雰囲気が醸し出される大切な要素だ。
豊田スタジアム。400mトラックのない球技場。スタンドとグランドが近接していて観易い・臨場感がある。スタンドに屋根がついているから、声援が反響する。グランドの熱気が倍加される。
そして、駅そば。住宅探しではないが、駅に近いに越したことはない。とはいえ、名古屋から名鉄線・豊田市駅までたどり着くのが、結構たいへんなのだが…
2002・サッカーW杯のレガシー。あの当時、レガシーなんて聞いたことがなかった。2019W杯、10年後・20年後に何が残っているのだろうか?
WALボールのキックオフ。それを、GEO・7番・ゴルゴゼがノックオン。3日前のJPN/RUS戦を思い出す。それにしても、ゴルゴゼでもノックオンするのだ。前回紹介したWRの映像ではゴルゴゼ(2003~2017)と既に代表引退選手として紹介されていた。現に、この大会前に開幕したフランス・トップリーグのトゥーロンで3試合プレーして、開幕戦ではチーム初トライもあげていたのが、急遽代表復帰し、先発出場。ともかく、このノックオンが「けちの付きはじめ」だったのか。WALボールスクラムが二度続き、あっという間にインゴール中央にトライされる。そのコンバージョンキックをWAL・10番・ビガ-がポストに当てて外す。開幕戦の重圧は両チームにかかっていた、ということなのか。
3分、ハイパントの争奪で、GEO・ウィングが倒され、TMOに。スタジアムに流される映像を見ていると、WAL・ウィングの手がかかっており、ペナルティ・イエローカードでおかしくない。スタンドには、それなりにジョージア・ジャージの人びとがいるが、騒がない。これが反対のケースだったら、WALサポーターが大ブーイングなのだろうが。静かなスタンドを忖度したのか、ノー・ペナルティ。ターニング・ポイントになりえたTMO。
この試合の主審は31歳のピアース(ENG)、副審は、30歳・オキーフ(NZ)と34歳・カーリー(ENG)。いずれもW杯未経験者。なぜ、このようなセットになったのか、訝しく思える。試合を通じて、幾たびか疑問に思える判定はあったけど、偏ってはいなかった。
6分にWAL・PG・8-0。12分・19分と立て続けに、WALボール・ラインアウトから9番⇒10番とボール渡り、10番が内側を走ってきた選手にボールを返して、ラインブレイク・トライ。アッという間に22-0。前半の後半は、GEO目が覚めたのか、いい時間帯も多かったが、ハーフタイム前にWALトライ・ゴールで、29-0で前半を折り返す。
後半だけで見れば、14-14と同点の試合だったが、トータルでは43-14とWALの圧勝。
試合後のインタビューで、WALのキャプテン・HC・プレーヤーオブザマッチの3人が口々に「次のAUS戦が山場です」と語る。
GEO・HCは、「後半、GEO魂が見せられた。」と評価していた。
両チームの共通点は、HCがNZ人。世界はどんどん狭くなり、似た者同士になっていくのだろうか。
大会第1戦、実力差通りの点差で勝負がついた。それでも、後半のGEOの健闘は見応えがあった。次戦に期待したい。余韻に浸りながら、スタジアムを後にする。
薄暗い矢作川に架かる橋を、次々と満足げな人びとが渡って帰路についた月の出ている夜だった。
( 参考 )
GEOボール
0-20min.
|
20-40min.
|
40-60min.
|
60-80min.
|
計
| |
KO
|
3
|
1
|
1
|
2
|
7
|
S
|
1/1
|
2/2
|
1/1
|
1/1
|
5/5
|
LO
|
1/1
|
4/6
|
5/5
|
2/3
|
12/15
|
PK
|
1
|
3
|
4
|
2
|
10
|
FK
|
-
|
-
|
-
|
-
|
-
|
DO
|
-
|
1
|
-
|
-
|
1
|
計
|
6
|
13
|
11
|
8
|
38
|
(注) KOのうち、1回は、後半開始時のもの。
S、LOの分母は、マイボールでの投入回数。分子は、そのうちのボール獲得回数。
PKの回数は、相手チームのペナルティ(反則)によって獲得したPKの回数。
GEO・16番が48分イエローカードで10分間のシンビン。
GEOの得点
0-20min.
|
20-40min.
|
40-60min.
|
60-80min.
|
計
| |
トライ(T)
|
-
|
-
|
1
|
1
|
2
|
T後のG
|
-
|
-
|
1
|
1
|
2
|
PG
|
-
|
-
|
-
|
-
|
-
|
WALボール
0-20min.
|
20-40min.
|
40-60min.
|
60-80min.
|
計
| |
KO
|
1
|
-
|
1
|
1
|
3
|
S
|
3/3
|
1/1
|
1/1
|
1/2
|
6/7
|
LO
|
5/5
|
1/1
|
4/4
|
3/3
|
13/13
|
PK
|
2
|
1
|
3
|
1
|
7
|
FK
|
-
|
-
|
1
|
-
|
1
|
DO
|
-
|
-
|
-
|
-
|
-
|
計
|
11
|
3
|
10
|
7
|
31
|
WALの得点
0-20min.
|
20-40min.
|
40-60min.
|
60-80min.
|
計
| |
T
|
3
|
1
|
-
|
2
|
6
|
T後のG
|
2
|
1
|
-
|
2
|
5
|
PG
|
1
|
-
|
-
|
-
|
20-40分は、GEOの時間帯。リスタート回数、GEO・13回、WAL・3回。ただし、GEOボール・ラインアウトで二度のスチール。これがWALの強さなのか、はたまた、GEOの未熟なところなのか。ともかく、この20分を凌ぎ切って、39分、WALはトライ・ゴールをあげている。見事なものだ。実力差通りの試合だった、としかいいようのない試合。
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