2019 W杯・備忘録 28
~ M38 TON/USA戦 ~
10月13日(日)、予選プール最終日、日本各地で4試合が予定され、19:45キックオフのJPN/SCO戦に日本中の関心が集まっていた。
その日の午後、花園に22,012人の観客を集めて行われたのが、「死の組・プールC」の4位決定戦(?)TON/USA戦(14:45キックオフ)。
W杯は、世界最強チームを決める(ためだけの)大会なのか?
では、どうして、花園に大観衆が集まったのか、また、どうして、TON/USA戦は密度の濃い試合内容になったのか。
W杯は、参加することに意義がある大会なのか?
TON/USA戦の魂のぶつかり合いからは、「勝ちにこだわること」と「ノーサイドの後の立ち居振る舞い」の大切さが伝わってきた。
毎大会、「一勝を賭けて」下位チーム間の熱い戦いが行われる。かつて、ジャパンはその常連だった。一勝が遠かった…
大会前のWR・ランキングは、USA・14位に対してTOG・15位。
今大会のTON、とにかくPの数が少なかった。それでいて、持ち味のフィジカル・バトルの激しさは持ち続けている。一週間前に熊本で行われたトンガとしての第3戦・FRA戦は、最後に追い上げて、2点差という僅差の負け。いいチームに仕上がっていた。
これに対して、USAは、中三日での試合。選手層がさほど厚くないチームは、先発15人中12人が連続出場。前半は競った試合になるかもしれないが、後半突き放されるだろうと予想された。
試合は、予想通り(?)の展開に。得点経過だけを書いてみると次の通り。
TON
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USA
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16分 T+G
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7-0
7-7
7-12
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21分 T+G
25分 T
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50分 PG
57分 T+G
61分 T+G
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10-12
17-12
24-12
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ラスト20分に入って、ダブルスコアに。勝負あった、ワンサイドゲームになるのか、と思っていたら、なんと77分、USAがT+G! 5点差に迫る。
このトライ、USAがフェーズを重ねてTON・ゴール前に迫り、USA・6番がゴール前ラックからゴールポストに巻かれたカバーにタッチしたもの。 技あり!?のトライ。 TMOで確認の上、トライが認められる。((注)大会後のルール改正で、ゴールポスト・カバーへのタッチではトライが認められなくなった。)ともかく、意地のぶつかり合いが最後の最後まで続く。これぞ、ラグビー。
試合はラストシーンへ。TOGのキックオフでリスタート。USAが確保し展開するもノックオン(ありふれた形容詞をつければ「痛恨の」だけれど、TONの気魄・圧力が勝っていた)。USAゴール前のTONボールのスクラムでUSA・コラプシングのP。TONがスクラムを選択したところで、「銅鑼の音」。
(選手入場時の太鼓・拍子木とタイムアップを知らせる銅鑼の音。和とラグビーの融合、ということなのか。記憶に残る・記憶に留めておきたい「音」)
余裕のTONはスクラムを押し込んでPのアドバンテージを得た上でバックスへ。10番が相手バックスの背後へのゴロパントを蹴って、TON・15番が押えてトライ!
コンバージョンキック時には、TON・全選手がピッチ内に入りキッカーの後ろに並ぶ。規則ではダメなんだろうけど、すごく暖かい雰囲気を醸し出す。ゴールが決まって,31-19、ノーサイド。
TON選手は、いつも通り、みんな膝をついてのお祈り。主審・オーエンスはUSAの選手一人ひとりと握手している。
彼らのとっての「お祭り」は終わった。
ところで、両チームのHC、いずれもジャパン・トップリーグでの経験がある。
TON・HCのケフーは、元AUS代表選手(1999年W杯優勝メンバー)。クボタで選手・HCとして活躍。一方、USA・HCのゴードンは元神戸製鋼HC。あらためて、ジャパンラグビーの存在の大きさを感じる。
負けたUSA。「伸びしろ」が大きい。これから強くなっていく可能性が高い。五輪種目になったセブンズでは、すでに強豪国の仲間入りを果たしている。
HSBC World Rugby Sevens Series Standings(2020・3月時点)
1位
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2位
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3位
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4位
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5位
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6位
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7位
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8位
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Men
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NZ
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RSA
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FIJ
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AUS
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ENG
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FRA
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USA
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CAN
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Women
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NZ
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AUS
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CAN
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FRA
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USA
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RUS
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FIJ
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ENG
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ちなみに、JPNは、Men・16位、Women・11位。
大国が、間違わずに強化すれば、結果が出る、そういう時代になっている。
一方のTON、今回のチーム・メンバーで240日間の事前合宿を行っていたら、どんなチームになっていたのだろうか?
人口10万人のTONラグビーの未来は、どうなるのであろうか?
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