2019 W杯・備忘録 188
~ 亢竜の悔 ~
今夏、NZが絶好調だ。昨秋までの苦戦続きが嘘のように、充実した内容でARG・RSAを撃破した。現時点では「向かうところ敵なし」状態。では、3か月後、決勝戦まで勝ち切れるのか? どうなのだろう? 「伸びしろ」は少なく・相手チームに分析されやすい。杞憂なのだろうか。
NZ/RSA、昨年の2試合と今年の試合=計3試合をスタッツで比較してみる。
表-1 得点
2022 ① | 2022 ② | 2023 | |
NZ | 10 | 35 | 35 |
RSA | 26 | 23 | 20 |
表-2 Possession
2022 ① | 2022 ② | 2023 | |
NZ | 45 | 50 | 56 |
RSA | 55 | 50 | 44 |
ブレイクダウンでディフェンス側を厳しく見る、というWRの方針転換(以前は、アタック側中心に見ていた)があり、ボールを持っている方が有利になった。これを反映して、Possessionで上回ったチームが勝つことが定石化しつつある。
表-3 Kicks in play
2022 ① | 2022 ② | 2023 | |
NZ | 16 | 19 | 28 |
RSA | 30 | 23 | 14 |
興味深いのは、NZが蹴るようになり、RSAが蹴らなくなったこと。本番で両チーム、どんな戦略・戦術で臨むのか?
先週末の試合(2023)、キック数も気になるが、キックの「質」も気になった。RSA:14回のうち、タッチに出したのが7回(=相手ボールラインアウトで再開)・マイボール化できたのは「0」。これに対して、NZ:28回のうち、タッチに出したのは4回、マイボール化したのが「11」。NZのキックの質の高さ+RSAのキックディフェンスの「穴」が印象に残る。
表-4 Passes
2022 ① | 2022 ② | 2023 | |
NZ | 158 | 169 | 193 |
RSA | 92 | 99 | 135 |
RSA、モデルチェンジを試みているのか、それとも、この時期の「カムフラージュ」なのか。スタンドオフにポラードが戻ってくれば、元に戻す・戻るのか…
表-5 Rucks Won
2022 ① | 2022 ② | 2023 | |
NZ | 68 | 83 | 91 |
RSA | 69 | 44 | 74 |
NZ、前回大会のIRE・HC:シュミットがコーチングスタッフに加わったことでIRE化が進んでいるのだろうか?
表-6 Penalties
2022 ① | 2022 ② | 2023 | |
NZ | 12 (0,0) | 12 (1,0) | 8 (0,0) |
RSA | 7 (0,1) | 7 (1,0) | 12 (0,0) |
(注)()内は、(イエロー、レッド)の数
RSAのPのうち、2回はNZ・9番がボールを当てたもの。「技あり」ということなのか…
23分、NZゴール前10m付近でのRSAラインアウト、スロアーは2番、ラインアウトは5mラインから「11・1・4・5・8・7・3・12」と8人が並び、ハーフの位置には6番が入る。RSAがたまに試みるバックスのプレーヤーも加わる興味深いラインアウト。この日も得点には結びつかなかった。どういう展開を望んでいるのか、気になるところである。
試合後、RSA・エラスムスGMはSNSで「主審・レイナルの出来は、RSAの出来よりもよかった」と発信。過去にレフリー批判を発信して懲罰も受けた体験からか、「ほめ殺し」でもしようというのだろうか。少なくとも、レフリー団を刺激して敵に回す必要はない。
5月に行われた欧州クラブ選手権決勝で、ベンチ外だったセクストンが主審・ペイパーに暴言を吐いた件で、独立審査会がセクストンに対して「対外試合3試合の出場停止」処分を科す(Midol速報では、この決定に関する見出しで「寛大な」という形容詞をつけている)。この結果、セクストンはW杯前の試合には出場できず・ぶっつけ本番でW杯第1戦に臨むことになる。
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( 参考 )
2023/7/15 NZ(大文字) 35-20 RSA(小文字):KSLPFD図
k¹ S¹ L¹ T¹(9)・G¹(10) 7-0 (4分)
k² p¹-L²-p²-L³ p³-PG¹(10) 10-0 (9分)
k³ S²-p⁴-L⁴ s¹ L⁵ T²(6)・G²(10) 17-0 (14分)
k⁴ l¹ P¹-l² p⁵-L⁶ P²-l³ s² TMO¹ D*¹ S³ L⁷ d*¹ P³-l⁴
L⁸-f¹-s³ l⁵ P⁴-pg¹(9) 17-3 (35分)
K¹ p⁶-PG²(10) 20-3 (36分)
k⁵ P⁵-l⁶ TMO²-p⁷ NZ・タッチに蹴りだし・ハーフタイム
K² l⁷ L⁹ s⁴ L¹⁰ S⁴ s⁵-P⁶ S⁵ P⁷-l⁸ P⁸-l⁹ P⁹-l¹⁰-t¹(16)・g¹(14)
20-10 (53分)
K³ L¹¹ p⁷-L¹² p⁸-PG³(10) 23-10 (59分)
k⁶ l¹¹ t²(14) 23-15 (61分)
K⁴ p⁹-L¹³ L¹⁴ T³(14)・G³(10) 30-15 (68分)
k⁷ l¹² S⁶-p¹⁰-L¹⁵ p¹¹-S⁷ T⁴(10) 35-15 (76分)
k⁸ t³(6) 35-20 (79分)
K⁵ NZ選手がタップしたボールがRSA・14番に入り・ライン際をラン・タッチの外に出されて・ノーサイド
令和5年7月22日
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