2023年7月15日土曜日

 岡島レポート・2019 W杯・備忘録 185

             2019 W杯・備忘録 185

〜  序盤 〜
 
試合に序盤があるように大会にも序盤がある。開幕戦からの4試合、どの試合も違った結果になっていてもおかしくなかった。当然のことながら、違った結果であったならば、その後の展開も違ったものになっていた。
 
レフリー:ナイジェル・オーウェンスの自伝『The Final Whistle』、2019W杯開幕戦:JPN/RUSの笛を吹き、㈰試合直後の評価は「very good」だったのが ㈪ファールプレー(文中ではRUS選手のレイトタックル=イエローカードとなっている。当時、SNS上で指摘されていたのは、JPN選手のレイトチャージ+ヘッドコンタクト=レッドカードであった。)を見落としたと指摘され ㈫評価が「good」に格下げになった ㈬しかし、見落としたのは自分のせいではなく(なぜなら、レフリーはボールの移動を追っている)TMOのせいだ、と憤慨している下りの後に次の一節がある。
 
As the tournament progressed, there was a bit of unrest behind the scenes at the way feedback was being given. One or two referees were getting very good, yet when we analysed their performances we all knew it clearly wasnt of that standard. Conversely, World Rugby also went public in saying that the officiating as a whole after the first couple of rounds was not good enough; there werent enough red cards being brandished to crack down on foul play.
This caused further disquiet, and you could see that a lot of the referees were feeling under pressure, clearly not enjoying the games and it affected their performances. Maybe it was simply down to my experience, and dare I say it belief in my own ability to cope with anything, but I was enjoying the World Cup and received excellent feedback from my other three group matches. (p207)
 
レフリーも「人の子」、評価の対象にもなる。チームは「ランキング」が公表されているが、レフリーのランキングなんていうものは存在しない(大相撲の立行司…は、その意味ではよく出来た制度なのかもしれない)。W杯に選ばれたレフリーは、「人の子」=野心を持っている=決勝の笛を吹くことを目指している。そこには競争が生まれるとともに評価者の目線を気にするようになる。上記の文章からは、評価者=WRは、「レッドカードを慫慂していた」ようだ。毅然とした態度でレッドを指し示す≒いいレフリーという評価基準が出来上がった!?
ともかく、2019W杯の大会序盤、レフリングの基準が定まらず、混乱していたのは事実のようだ。そこからも悲喜劇が生まれる芽があった…
 
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先日(623日付け)のMidolにキャンピージ(AUS1991優勝メンバー)のロングインタビューが掲載され、その中に次のような一節があった。
 
記者:今年のW杯はどのような大会になると予想されてますか?
キャ:レフリーの気分・機嫌に支配されたものになるんじゃないのかな。
記者:というと?
キャ:レフリーは、自分たちをピッチ上で一番大切な存在だと考えている。彼らは、すべては自分たちを中心に回っていると考えている、でもそうじゃぁないんだ。一番大切なこと、それはプレーであり、プレーヤー・サポーターたちだ。みんな、レフリーが笛を吹くのを見に来てるんじゃあない。試合を見に来てるんだ、トライを見たいんだ、ペナルティじゃなくてね。現状は嘆かわしい… ここ数年の激変:レフリーはハイタックルに神経質になり、ペナルティを探し・説教し・懲罰を与えることしか考えていない… 彼らはW杯をぶち壊している、2019大会のようにね…
記者:ちょっと過激すぎませんか?
キャ:ラグビーは急変している、社会がそうであるように。ではラグビーの運営者は?まったく変わっていない。この40年あまり同じことを繰り返していて、どうやったら人々が楽しめるのかを分かっていないんだ… ずっとビデオレフリーが作動してるなんて80年代には想像できたかね? 誰もピッチ上にいなくなるかもしれない、まったく! ラグビーはコンタクトスポーツで、たまには危険なことも起きるよね? そして…
記者:で?
キャ:プレーヤーの中にはファンタジスタもいるけど、彼らには自由がないんだ… 彼らはコーチからの指示とレフリーからのお説教に雁字搦めにされている…
記者:聞きましょう
キャ:しばしば、試合を見たくなくなるんだ…マーク・エラ(かつての名選手)も同じ気分だ。リーグラグビーの代用品を見ているじゃないかと:まっすぐにディフェンスにぶち当たってばかりで。どうして、リーグ出身のコーチがこんなにいるんだ? なぜなら、ディフェンスが大切だからだ… アイルランドがアンディ・ファレル(リーグラグビー出身)に率いられて好成績を上げている…
 
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キャンピージの嘆きに共感するところもある。ともかく、2023大会も、よくも悪しくも、レフリングも試合を左右する大きな要素の一つになりそうだ。
令和571
 

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