2022年1月25日火曜日
届いた、お知らせ・・・
こんにちは、在仏日本人会です。
2022年1月23日付のお知らせをお送りいたします。
フランスの新型コロナウィルスの新規感染者数は1日40万人代から30万人代に減少しましたが(それでも欧州では最多です)、カステックス首相とヴェラン健康大臣は1月20日に、新型コロナウイルス対策の規制を段階的に解除することを発表し、緩和の第1段階として、2月2日からテレワークの義務や着席型施設の人数制限が解除され、屋外でのマスク着用義務もなくなります。
その理由は、18日に1日の新規感染者数が過去最多の46万4769人を記録してからは、パリを含むイル・ド・フランスなど、早い時期にオミクロン株の感染が拡大した地域から感染者数が減少傾向に転じており、特にデルタ株の流行が退潮を始めたことにより、病院の集中治療病床に余裕が出てきたことです。
これまでの研究で、オミクロン株は感染力が強い代わりに衰退も速く、感染の急増からからひと月程度で感染のピークを迎え、その約2週間後にはピークアウトして感染者数が減少する傾向がわかってきています。
実際に、オミクロン株が早期に確認され爆発的に感染者が増えた南アフリカや英国、カナダなどでは感染拡大のピークを越えたと認識されており、米国も新規感染者数の伸びは鈍化し、頭打ちと言える状態です。
既にピークに達しているのは比較的早期にワクチン接種が始まった国が多く、まだピークアウトまでに時間がかかりそうな国も多いことから、新たな変異型が出現する可能性もあり、楽観視はできません。
ただ、今後すべての国でデルタ株がオミクロン株に置き換わり、重症者数、死亡者数が少ないまま感染者数が減り続ければ、オミクロン株が新型コロナウィルスパンデミックの最後の変異株となる可能性が高まります。
そのためにはピークアウトした国々が協力し、ワクチン接種が遅れている国々をサポートして接種率を底上げする必要があります。
フランスが時期尚早と言われても、規制緩和に踏み切る決断をしたことには他にも理由があります。
若者をはじめ全ての年齢層で、睡眠障害、不安症状、抑うつ症状、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、そして自殺願望が増え、メンタルヘルスの低下が大きな問題となっており、特に医療従事者が感じる身体・心理的ストレスは既に限界に達しているという警告が出されています。
英国の最新調査でも、ICUで働く医療従事者は戦闘地域で戦う兵士と同程度のストレス状態にあることが示されており、医療従事者に対するケアが早急に必要とされています。 フランスの20%、つまり1300万人が何らかの精神的な問題を抱えていると言われており、2021年8月31日から9月7日にかけて実施されたCoviPrev調査によると、国民の15%が「うつ病の段階にある」と答えており(新型コロナ以前と比較して5%増加)、睡眠障害に悩んでいる人は63%(新型コロナ以前と比較して14%増加)、自殺願望があると答えた人は10%となっています。(新型コロナ以前と比較して5%増加)
特にイル・ド・フランス地方に住む25~34歳のひとり暮らしの女性にうつ病が増えているという統計が出ています。
しかし実際にうつ病に苦しむ人のうち、専門医や精神科医を受診できる人は3分の1程度に過ぎません。
この状況を深刻に受けとめたマクロン大統領は2021年9月28日に、心理相談の医療処方への払い戻しを発表し、2022年1月1日以降、3歳以上の患者の民間の心理カウンセラーへの相談は、初回40ユーロ、2回目以降30ユーロで、すべて健康保険が適用されるようになっています。
そしてパンデミックの渦中よりも、パンデミックが収束し以前の生活を取り戻す時期にストレスが限界値に達し、心身のバランスを崩す危険性が高まるという警告がされており、精神科のサポートが更に重要となることが予想されます。
これまで頑張ってきた人ほど張り詰めた糸が切れるように、バーンアウト(燃え尽き症候群)に襲われ、気力や自信を失くしてしまったり、虚無感や喪失感から消えてしまいたいと思ったり、外に出たり人と会うことが苦痛になる人もいます。
2021年10月1日には、「3114」が自殺防止のための全国共通の電話番号として割当てられました。
フランスで毎年9,000人が亡くなっている自殺を減らすことを目的として、自殺志願者とその家族が無料で24時間アクセスでき、精神科の専門家と常時連絡が取れるようになっています。
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