2019 W杯・備忘録 111
~ リスタート・2 ~
前回に続いてリスタートについて。
国内の試合も含めて、過去(1987年)と現在を比較してみる。
(表-1)
Ⅰ | Ⅱ | Ⅲ | Ⅳ | Ⅴ | Ⅵ | Ⅶ | |
K | 11 | 7 | 13 | 9 | 20 | 8 | 9 |
S | 38 | 45 | 14 | 15 | 7 | 12 | 11 |
L | 44 | 47 | 14 | 32 | 23 | 32 | 20 |
P | 17 | 19 | 18 | 22 | 25 | 22 | 12 |
F | 1 | 1 | 2 | 2 | - | 3 | 3 |
D | 5 | 5 | 3 | 1 | 1 | - | 1 |
計 | 116 | 124 | 64 | 81 | 76 | 77 | 56 |
ゲームⅠは、1987年第1回W杯決勝:NZ(29-9)FRA。
ゲームⅡは、1987年12月6日:「雪の早明戦」早稲田(10-7)明治
ゲームⅢは、2019年第9回W杯決勝:RSA(32-12)ENG
ゲームⅣは、2022年1月8日:リーグワン開幕戦:Nコム(24-23)神戸
ゲームⅤは、2022年1月8日:サントリー(60-46)東芝
ゲームⅥは、2022年1月9日:大学選手権決勝:帝京(27-14)明治
ゲームⅦは、2021年12月26日:大学選手権準々決勝:明治(20-15)早稲田
前回W杯決勝の9事例で趨勢を見てみたが、国内の試合でも同様に、スクラム・ラインアウトの回数が激減し、Pの数は大きな変動が無いように見受けられる。もちろん、サンプル数がこれだけ少数で断言することはできないが、観戦実感に適合している気がする。
ゲームⅡ、前夜の雪でぬかるんだ悪コンディションでの試合。それでも、リスタートの傾向は、同年に行われた快晴の下での第1回W杯決勝のと似ている。第1回W杯決勝の観客数が48,035人。雪の早明戦は、満員札止め、旧国立競技場に6万余の観客を集めて行われた。あの当時、大学ラグビーは(文化として)根付いていた気がする。今はどうだろう?
観客数で比べるは本筋から逸れるが、ゲームⅣ~Ⅶの観客数、コロナの影響が大きいとはいえ、やはり少ないのは寂しいものだ。
さて、リスタートに戻ると、表-1をそれぞれのリスタートの割合で示したのが表-2である。
(表-2)
Ⅰ | Ⅱ | Ⅲ | Ⅳ | Ⅴ | Ⅵ | Ⅶ | |
K | 9 | 6 | 20 | 11 | 26 | 10 | 16 |
S | 33 | 36 | 22 | 19 | 9 | 16 | 20 |
L | 38 | 38 | 22 | 40 | 30 | 42 | 36 |
P | 15 | 15 | 28 | 27 | 33 | 29 | 21 |
F | 1 | 1 | 3 | 2 | - | 4 | 5 |
D | 4 | 4 | 5 | 1 | 1 | - | 2 |
計 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 |
多くの試合で、S+Lで50%を超えている。ラグビーを見る≒スクラムとラインアウトの攻防を見るという感覚になる。この表では、Kの回数も含まれているため、得点が多い試合ではKの比率が高まり、S他の比率が低まることとなる。
そこで、Kの回数を除いたリスタートでの割合を示したのが表-3である。
(表-3)
Ⅰ | Ⅱ | Ⅲ | Ⅳ | Ⅴ | Ⅵ | Ⅶ | |
S | 36 | 38 | 27 | 21 | 13 | 17 | 23 |
L | 42 | 40 | 27 | 44 | 41 | 46 | 43 |
P | 16 | 16 | 35 | 31 | 45 | 32 | 26 |
F | 1 | 1 | 4 | 3 | - | 4 | 6 |
D | 5 | 4 | 6 | 1 | 2 | - | 2 |
計 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 |
興味深いのはゲームⅢ:2019W杯決勝:RSA/ENG戦。あの大会でのRSAのLは傑出していたので、どうしても対戦対手はLの回数を極小化しようとしていたことが表れている気がする。
各リスタート回数の多寡でゲームを分類すると次のようになる。
L 〉 S 〉 P 〉 K | Ⅰ Ⅱ |
L 〉 P 〉 S 〉 K | Ⅳ Ⅵ Ⅶ |
P 〉 L = S 〉 K | Ⅲ |
P 〉 L 〉 K 〉 S | Ⅴ |
観戦者としては、Kの回数が多いと「点の取り合い」⇒「バスケットのような試合」≒「大味の試合」と感じる。その典型例が、ゲームⅤ:サントリー(60-46)東芝だった。
ちなみに、2019W杯決勝ラウンド7試合では次のようになる。
L 〉 P 〉 S 〉 K | SF:RSA/WAL QF:NZ/IRE |
L 〉 P = S 〉 K | QF:RSA/JPN |
L 〉 P 〉 K 〉 S | SF:ENG/NZ QF:WAL/FRA |
L 〉 P = S = K | QF:ENG/AUS |
P 〉 L = S 〉 K | F:RSA/ENG |
レフリーが笛を吹き・試合がいったん止まる。リスタート(=K、S、L、P、F、Dのいずれか)で再開されるまで「間」ができる。その「間」に選手・コーチ、そして観客は何を考えているのだろうか?
令和4年1月15日
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