2021年9月25日土曜日

岡島レポート・2019 W杯·備忘録 96

2019 W杯·備忘録 96
 4回大会·決勝 AUS/FRA 

 前回大会後にプロ化したラグビー界(1995年)。そして、南半球のトライネーション、スーパーラグビーが始まり、戦術·戦略·フィジカル面などが急速に進化していった時代。
1999年、ある意味で現在につながる新たな時代の第1回目のW杯でもあった。5か国対抗(現在の6か国対抗の前身。ITAが含まれ6か国対抗になったのは2000年から)の各国で予選リーグが戦われた。この大会から参加チームが16から20に増え、各組4チームで構成された5グループに分かれ、1位チームは直接準々決勝に、2位チームに勝ち点の多い3位チームの上位3チームが準々決勝進出をかけた試合を戦うという方式。この2位チーム·3位チームの試合は水曜日に行われ、中2日ないしは3日で準々決勝に臨むという不公平な試合日程でもあった。
決勝は116日新装なったウェールズ·カーディフミレニアムスタジアムで72,500人を集めて行われた。

 試合経過は次の通り。AUSの得点は「○」、失点は「」、AUSが得点を逃したのは「×」、FRAが得点を逃したのは「*」。

得点
種類
起点となった(リ)スタート


×




 0

 3
 7

11

14
24
38

39

 0- 3

 3- 3


 3- 6

 6- 6
 9- 6


12- 6

PG

PG
PG

PG

PG
PG
DG

PG
FRAのキックオフで試合開始。
キックオフを10mライン後方に蹴りラックに。AUSP(倒れ込み)。FRA·10·PG
FRAP(ラックでのオフサイド)。AUS·15·PG
タッチジャッジからのアピールでFRA·5P+イエロー(FRA·5のノーボールタックル)。AUS·15·PG外す
タッチジャッジからのアピールでAUS·5P+イエロー(オブストラクション)。FRA·10·PG
FRAP(ラック・倒れ込み)。AUS·15·PG
FRAP(ラック・ハンド)。AUS·15·PG
FRAAUS陣内で攻め続けるも得点できず。FRA·15センターライン付近からDGを狙うもゴロになってしまう。
FRAP(ラック・ハンド)。AUS·15·PG





41
44
47

51
55
59
62

64



80

15- 6


15- 9
18- 9
18-12
21-12

28-12



35-12
PG
PG
DG

PG
PG
PG
PG

T+G



T+G
AUSP(ノットロールアウェイ)。FRA·10·PG外す
FRAP(ラック・オフサイド)。AUS·15·PG
FRAボール·ラインアウトからFWが前進し(ラック)97(ラック)9102(ラック)910·DG外す
AUSP(ラック・倒れ込み)。FRA·10·PG
FRAP(ノットリリース)。AUS·15·PG
AUSP(ラック・倒れ込み)。FRA·10·PG
タッチジャッジからのアピールでFRAP(ハイタックル)
AUS·15·PG
FRAのリスタートのキックオフ、ゴロパントが10m届かず、AUSが拾って前進(ラック)9106(ラック)91013前進(ラック)20ピック&ゴー(ラック)9125(ラック)15ランで前進(ラック)9122014·トライ、15·G
FRAP(ファールプレイ)AUS·PKをタッチに蹴り出しAUSボール·ラインアウト。92022m走り切りトライ。15·G
(注)「→」は順目のパス。「←」は内返しのパス。

 AUSの完勝という残像が焼き付いていた試合。見返してみると、60分あたりまでは試合になっている。グランドの芝がきちんとしていれば、違った展開になっていたかもしれない。

 ラインアウトのリフティングが定着したせいか、ラインアウトの回数が少なくなり「ぶつ切り」感が薄れて、見慣れた試合になってきた。ペナルティ·キックを蹴り出した後のラインアウトもマイボールになっている。毎大会ごとにルールが少しずつ変わってきている。この是非はともかく、ルール変更を柔軟に行ってきているというのもラグビーの特質なのかもしれない。「完成したラグビー!?」がどんなルールの下で行われるのか、興味深いテーマである。
 ちなみに、ここまでの決勝のSLOP、その他のリスタートの数は次の通り。

    S
    LO
     P
 その他
  計
1回決勝
    38
    44
    17
    15
   114
2回決勝
    29
    47
    22
    13
   111
3回決勝
    26
    50
    16
    18
   110
4回決勝
    14
    27
    28
    18
    87
(注)第3回は、延長を含まず、80分間での数値。

 決勝戦だけの比較ではあるが、ラインアウトのみならずスクラムの回数も減っている。ルール変更とともにプロ化してプレーヤーの技術が向上しハンドリングエラーが減ったのであろうか。負傷交替だけでなく戦術的入替によるリザーブ選手の投入が定着しつつある時期でもあった。
80分、FRAのフッカーがイパネスからダルマゾ(2015W杯·日本代表スクラムコーチ)に変わる。両者目も合わさずボディタッチもない。やはり、ダルマゾは独特な人だ。

 この時代、オーストラリアの先進性は群を抜いていたのかもしれない。この大会、予選リーグ3試合·決勝ラウンド3試合の計6試合で奪ったトライが22、失ったトライは予選リーグ·USA戦の1のみ。ディフェンスの組織化で一歩先に出ていた感がある。

 一方で、まだまだアマチュア時代の残滓があり、それが端的に出ているのがPの数(AUS12FRA16)。しかも、前半、両チームの選手に「イエロー」が出されている。ただし、現在の10分間のシンビンではなく「(単なる)Caution」に過ぎず、試合への影響はほどんどなかった。

 第1回:NZ、第2回AUS、第3回RSAと南半球3強が順にエリスカップを掲げ、AUSが2度目の優勝を飾った大会であった。

令和3925

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