2012年3月26日月曜日

宮城県 知るぽると ” くらし Watching ” No36 号。

怜子ちゃんにほめられて、その気になって、宮城県の くらし Watching のNo36(2012.3 春)号に書いた作文の原稿を掲載してみました、担当の菅原さんにはメールで大変お世話になり感謝の連続でした。
                                             
                       私が思うこと
                アートの魅力&アートの力 
私が小学校4年生の時、ハーモニカを持ってフランス、スイス、ドイツを旅した方の講演を聞く 機会がありました。「音楽は世界共通。言葉が通じなくっても皆が私のハーモニカの曲にのせて一 緒に歌ったり踊ったり。ヨーロッパの方々は芸術を大切にして、山々は奇麗で楽しい所です。」と、想像もできない外国の話をしてくれました。このことを機会に外国への関心が芽生え、その後、 町内にある映画館で担任の先生と一緒に「ウィーン少年合唱団」や「菩提樹」という映画を観て 刺激を受けました。それがきっかけで音楽を習おうと母に頼み込んで、ヴァイオリンを東京から取 り寄せてもらい、3年間毎日習ったことも。また、同時にピカソやマチス、ゴッフォ、ゴーギャンの 画集をみながら水彩画で真似て描いていた時期、私のヨーロッパへの夢が膨らみました。このよ うな夢を強く抱くようになったのは、今、考えてみますとアートのお陰だったのかなと感じています。 
さて、ヨーロッパの子供達は、マンガを通して日本を漠然と知っている程度でしたが、今回の東 日本大震災で大きな被害を受けた事と、その対応、日本国民の助け合い・分かち合いの生活文化 に驚いていました。国が違うと生活様式も異なり、当たり前が当たり前でなくなることが多々あり ます。しかし、共通する所もあります。共通することの基本は、すべての人間は地球上に生きているということでしょうか。 
地球温暖化による自然破壊、経済危機、政治の混乱、教育の荒廃、そして、今回の日本での地 震と津波、原発による放射能汚染など、人間社会が混沌として、これらの課題は、国の違い、文 化の違いとかを言っていては解決できるものではありません。国という壁、文化という壁を取り払 い、共に地球に生きているという認識を各人が持てる様に、その最良手段は勇気と未来に夢をえ がけるアートだと思います。 
私は被災地の状況を知り、何か手助けをしたいと考えました。パリ在住の作家仲間に声をかけ て作品をオークションに、それで得たお金を義援金や災害支援金として贈りたいとお願いしたところ、200名の作家が無償で作品を提供してくれました。作家だけの協力だけではありません。作 品を購入した人々も協力者です。幸いにも一千万円近くの売り上げがあり、登米市、宮城県、気 仙沼市に贈らせていただきました。 
作品を提供してくれたパリ在住の作家達は、フランス人だけではなく、ヨーロッパや南米までの 多くの仲間達で、作品購入したコレクターもいろんな国々の方が関わって下さいました。アートに 関わる人々は、国の壁や文化の壁を持たずに地球人として生きているということです。 
今の世界危機を目の当たりにして、この状況からの脱出には壁の打破以外にないと思います。 
そして「この危機状況を救えるものはアートである」と言っても過言ではありません。震災や原 発事故で心に傷を負った子供達は、被災地以外にも第二次被害者として存在します。 
芸術の原点、まさに人類の文化の根底を為しているアートを再確認し、芸術本来の意義を持っ て人間精神の復興を願うものです。希望とやすらぎの世界、いつの時代も芸術とその時の社会と は緊密な関係にありますが、人間の創り出す作品は、遙か未来を夢見ながら、現状の問題点を敏 感に的確に感じ取り、未来に向けたメッセージも秘めて構築される造型芸術です。 
バランス感覚や感性、創造性や思考力、そして夢を養いながら子供達と真剣に向き合って語り 合い、芸術の楽しさを一緒に体験する事も、我々芸術家の使命の一つでもあります。アートは宇 宙と共に在る生命体なのですから。

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