「福島原発事故に関する政府発表を改めて検証する」のご案内(情報提供)
おはようございます。
下記記事は、「ビジネス情報研究会・日本ビジネスインテリジェンス協会」仲間の「真形 久視」さんの「福島原発
事故に関する政府発表を改めて検証する」について記述されたものです。
「福島原発事故に関する政府発表を改めて検証する」政府(東電)は3・11事故以来、その時々の事象を最初は
小さく、かつ楽観的に発表して来ました。そして時日が経つにつれ、徐々に数字は大きく、そして事態は深刻度を
増して行きました。
6月17日は政府・東電対策本部が「工程表」の第2回見直しを発表した日でした。4月17日発表から丁度2ヵ月
が経っています。ステップ1は7月中旬がメドで後一月です。ステップ2は来年1月メドで、この2つともの目標の
変更は一切なしです。
最初に書いた如く、政府・東電発表は今迄常に時間の経過と共に事態は悪くなっています。工程表の項目についても
設定当初より2ヵ月経って悪くなっているのに、目標達成内容及び時期が変更になっていないのは信じられますかね?
以下政府発表の主な事柄について、「工程表」も念頭に置いて記憶を辿りながらざっと眺めてみましょう。
1 原子炉・建屋の問題
・3月12日、1号機建屋水素爆発、14日、3号機建屋水素爆発:この時、政府は「原子炉(圧力容器・格納
容器)は全然壊れていない。だから何の心配もいらない。注水さえ完全にできれば原子炉は冷温停止状態で
安定する」と言いました。
・最近では、メルトダウン(圧力容器の底に、燃料棒が溶けて溜まっている)の事実を認め、今やメルトスルー
(圧力 容器の底を突きぬけて、格納容器の底に溜まっているか、更にその底を突きぬけて、建屋の基盤を構成
している分厚いコンクリートに迄達している状態)の事実も認めています。
・工程表の内容は果たしてメルトスルーの状態を想定してやったものかどうか、疑わしい(4月の時点ではこの
事実は判 明してなかったのであるから、想定してないが公式見解の筈だが、東電は実は承知していたから
実際には想定していたと言うかも知れない)。
2 避難地域の問題
・政府は最初「念のために避難してくれ」と言いました。そして最初は3KM圏内の人間だけでした。次に10K
圏内、そして更に20K圏、と強制的に避難が促進され、更には内館村のように「計画的避難区域」の名のも
とに北は40K圏に 迄及ぶことになったのです。
・政府のやり方は「初めは処女の如く後は脱兎の如し」ではありませんか?
3 汚染水の問題
・最初は2号機のトレンチに汚染水が溜まっているのが発見された。濃度を測ってみると1000ミリ・シーベ
トの高濃度であった。量としては1万トン位?という話でした。そのうち、1号機にも3号機にもある、
計3万トン位となりました。
・やがて、タービン建屋の地下にも発見されたとなりました。結局全体で5〜6万トンはあるだろう。これを何
とか移送せねばならぬ、と移転先のタンクを手当する騒ぎとなりました。
・そして今や1日500トンは注入しているので、毎日溜まり続け、現在11万トンあるそうです。今月下旬に
はどこにも移す先がないので、海にでも溢れて流れ出ようかという勢いです。
・汚染水の浄化システムは試運転後、6月17日実施したら米製セシウム吸着装置が5時間で稼働停止、只今再
度故障個所修理テスト中、更に21日仏アレバ社の放射性沈殿装置も一時停止しました。本番再開のメドは今
の所、立たず、という状態です。ですけど東電は未だに「工程表」は守ると言っています。
4 国際原子力事象評価尺度(所謂INESレベル)の問題
・3月18日、原子力安全・保安院はINESを「レベル5」に引き上げました。(それまではレベル4評価)
・4月12日、保安院西山審議官は「福島原発事故を“レベル7”と暫定評価する。根拠は3月15日から数日
にわたって、高水準の放射性物質の放出が続いたため」と発表しました。「フクシマ」はチェルノブイリと
同じ重大事故の代名詞となったのです。
・しかし、これも遅きに失した嫌いがあります。1カ月前のデータによる突然の「レベル7」宣言です。安全
委員会は早くから把握していたフシがあるし、保安院も把握していたが、保安委員長and/or政府が発表を遅
らしたのでしょう。ここにも情報を小出しにする政府の意図がすけて見えます。
5 放射線量拡散の問題
・事故発生当初は福島県下、第一原発を中心として半径20K圏内と思われていたものが、今や関東全域に広が
りを見せ、茨木、千葉、東京にもホットスポットという放射線量の高い地域が見られるようになりました。
・未だに放射線量は福島原発から少量なりと言えども漏れ続けているわけで、この拡散の範囲は今後とも広が
り続けるでしょう。
・政府が「工程表」でステップ2(安定冷却の維持と汚染水の低減)を達成する来年1月までは、この状態は
変わらないでしょう。
しかも以上の1〜4で見る如く、事態は改善するのでなく、益々悪化しているのです。
にも拘わらず政府(東電)は決して「工程表」を見直そうとしません。
菅総理は福島難民に対しては、「来年の1月に「工程表」にある如く、「冷温停止」の状態のメドがつくの
で、その時に自分の町・村又自宅に戻れるかどうか判断できる、それまでは辛抱していて欲しい」と言い続
けています。だから「工程表」のスケジュールは変更しない。
菅さんとしては今をしのげればいいと思っているのではないでしょうか?
どうせ来年の1月は自分は総理の座にいない、それなら今とにかく避難民に顔を立てられる状態でいた方が
いいと思っている、と私は下司の勘ぐりで思います。
福島原発の対応において、常に問題は最初は小さく表出させ、段々と実態が膨らみ、そして解決策は益々
困難になって行き、解決時期は先延ばしされて行く(今の汚染水処理がその典型です)、これが今日までの
100日間の実績です。上の1から5を見ればお分かりの通りです。
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外村 孝史(Tomura Koshi)k_tomura@mtf.biglobe.ne.jp
早稲田大学理工学術院総合研究所(理工研 55s-04-02b)
プロジェクト研究「中小企業連携・支援研究」
連絡先 〒108-0072東京都港区白金二丁目5-12-1102
Tel/Fax 03-3280-5186 携帯090-5207-6098
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