2019年11月30日土曜日

岡島さんの・2019 W杯・備忘録 3

2019 W杯・備忘録 3     
M14 JPN/IRE戦~
 日本チームの勝因は、さまざまに語り継がれていくだろう。怯まず攻め続けた選手を誇りに思う。1912、日本の勝利。その事実は揺るがない。
 一方で、「負けに不思議の負けなし」、IREの敗因は何だったのだろうか?
 【 スタッツから】
まず、スタッツで検証してみる。
IREは、安定したセットプレーからラックを連取し、パスとキック、そしてサインプレーを織り交ぜて得点を取る。また、安定した守りで最少失点に抑える。こうして数年間、勝利を積み重ねて、WRランキング1位に上り詰めた。
* 今大会の5試合の特徴的なスタッツを見てみる。
 1 ラック獲得数

第Ⅰ戦
 第Ⅱ戦
 第Ⅲ戦
 第Ⅳ戦
 第Ⅴ戦
   IRE
     96
    107
    107
    118
     98
対戦チーム
   SCO
     94
   JPN
    115
   RUS
     53
   SAM
     37
    NZ
    100
 毎試合、ほぼ100前後のラックを獲得している。なお、第Ⅳ戦・SAM戦は、アキが29分・レッドカードで退場(この時点で215でリード)、以降14人で戦っている(最終スコアは、475
 参考として、JPNは次の通り。

  Ⅰ
  Ⅱ
  Ⅲ
  Ⅳ
  Ⅴ
  JPN
     96
    115
     65
    114
     87
対戦チーム
   RUS
     89
   IRE
    107
   SAM
     72
   SCO
     87
   RSA
     68
 日本の場合、相手チームに応じて、かなり戦法を変えたのがうかがわれる。
 2 スクラムハーフのパス/キック比

  Ⅰ
  Ⅱ
  Ⅲ
  Ⅳ
  Ⅴ
パス/キック
 比率
  63/19
   3,3
   98/2
   49
   85/7
   12,1
   87/8
   10,9
   81/8
   10,1
 日本戦だけ、なぜか、スクラムハーフからほとんど蹴っていない。(第1戦・SCO戦では、19回蹴っている。)これが、この日の「ゲームプラン」だったのか?
    参考として、JPNは次の通り。

  Ⅰ
  Ⅱ
  Ⅲ
  Ⅳ
  Ⅴ
パス/キック
 比率
92/7
  13,1
  105/4
   26,3
   63/5
   12,6
  113/1
  113
   94/2
   47
 3 スタンドオフのパス/キック比

  Ⅰ
  Ⅱ
  Ⅲ
  Ⅳ
  Ⅴ
パス/キック
 比率
   6/11
   0,5
   23/10
    2,3
   28/8
    3,5
   26/8
    3,3
   24/9
    2,7
 この数字だけから見ると、第1SCO戦だけ、違う戦いをしていた感がある。一見したところ、数値の上では、セクストンと控えのスタンドオフの間にさほど差異はみられない。
  参考として、JPNは次の通り。

  Ⅰ
  Ⅱ
  Ⅲ
  Ⅳ
  Ⅴ
パス/キック
 比率
  28/15
   1,9
   31/5
    6,2
   22/11
    2
   44/5
    8,8
   36/14
    2,6
 4 タックル数(上段)・成功率(下段)

  Ⅰ
  Ⅱ
  Ⅲ
  Ⅳ
  Ⅴ
タックル数
成功率
   135
   94%
   171
   90%
    95
   90%
    63
   83%
   147
   82%
対戦チーム
   163
   91%
   176
   93%
   188
   89%
   190
   87%
   145
   92%
IPN/IRE戦に関して、スタンドオフ・セクストンの不在に言及されることが多い。この試合、セクストンと共にメンバーに名を連ねなかったのがセンター・(バンディ―)アキ。アキが不在の試合は、スリー・クオーター・バックスのタックル成功率が低下する。
2戦・JPN戦 (タックル数33 成功率80%
第5戦・NZ戦  (タックル数30 成功率71%
アキの不在は、第2戦はおそらくローテーション。第4SAM戦でレッドカードを受け、第5戦は出場停止処分中。
 参考として、JPNは次の通り。

  Ⅰ
  Ⅱ
  Ⅲ
  Ⅳ
  Ⅴ
タックル数
 成功率
   134
   86%
   176
   93%
   127
   90%
   148
   84%
   103
   87%
対戦チーム
   144
   75%
   171
   90%
   113
   84%
   199
   86%
   148
   88%
 両チームのタックル数・成功率をみて、あらためて、JPN/IRE戦の密度の濃さを思い知る。
 5 ペナルティを取られた数(上段)
そのうち、○:対戦チームのPG成功、×:PG失敗(下段)

  Ⅰ
  Ⅱ
  Ⅲ
  Ⅳ
  Ⅴ
取られた数
敵のPG
    8(Y-1)
  1
    9
4 ×2
    6
  -
    5(R-1)
  -
    6
 ○1
 敵のP
 IREPG
    6
 ○1 ×1
    6
  -
   10(Y-2)
  -
   17(Y-2)
  -
   13(Y-1)
  -
 参考として、JPNは次の通り。

  Ⅰ
  Ⅱ
  Ⅲ
  Ⅳ
  Ⅴ
取られた数
 敵のPG
    5
 ○1
    6
  -
   10
4 ×1
    7
  -
    8
3 ×1
 敵のP
 JPNPG
    5
2
    9
4 ×2
   10(Y-1)
4 ×1
    4
×2
    8(Y-1)
1
 得点で勝敗を決する競技では、各チーム、得点の最大化と失点の最小化をめざす。
ラグビーの得点源は、トライ(その後のコンバージョン)、PG、そしてDGに大別できる。
予選プール、1トライで勝利したのは、この試合のJPNのみ(他の勝利チームは、2トライ以上している。)。決勝ラウンドでは、準決勝2試合とも1トライ。
また、トライ数が敗者よりも少ないのは、この試合の他に、① M10 URG3T30-27FIJ5T)② M17 WAL2T29-25AUS3T) ③ M28 FRA2T23-21TON3T)の3試合。
この試合を決したのは、ペナルティの質(?)ということなのか?
 【 フランスのラグビー週刊紙・ミディ―オリンピックの戦評 】
試合終了から数時間後、ミディ―オリンピックのサイトに戦評が掲載された。
『ターニングポイントは、後半12分、JPNのハイパントをキャッチしようとしたIREの選手がJPNの選手に躓いてキャッチできなったプレーに対して笛が吹かれなかったこと』とあった。
 その後、このシーンを何度となくスローで見ている。時系列で書いていくと次の通り。
① ラックから出たボールをJPN9がハイパント(ボックスキック)
② JPNの9より後方にいたJPN4選手がキック・チェイス
③ IRE10がキャッチしようとジャンプする
④ JPN4選手のうちの先頭を走っていた1選手が、ボールは見ずに、IRE10の前で立ち止まる
⑤ ハイジャンプしたIRE10はボールキャッチに入り、空中で④の選手に躓く
⑥ IRE10、ボールを前に落とす
⑦ レフリーは「ノック・オン」のコール・ジェスチャーを示す
⑧ ノック・オンされたボールをJPNの選手が拾い上げ前進
⑨ ⑧の選手にIRE選手がタックルする
⑩ ラックが形成され、レフリーは「(IREの)ノット・ロール・アウェー」を宣告、ジェスチャーで示す
⑪ JPN、⑩のラックから出たボールを展開するも継続できず
⑫ レフリーが笛を吹き、IREのペナルティを宣告する
 未だに理解できないのは、
一 レフリーの眼前で生じた④⑤に対して笛を吹かないこと
二 タッチジャッジも見ていたはずなのに、主審に対し何らのアピールもしなかったこと
三 TMOで見れば、明らかなのに、主審に対し何らのアピールもしなかったこと
四 WR編集のテレビ画面において、このシーンはリプレーで流されなかったこと
 ④⑤のプレーが野放しにされれば、ラグビーはラグビーでなくなる。
是非 この一連のシーンをスローで見ていただきたい。
【 Iと HC 
 数日後、IREのシュミットHCが発言したようだ。
BBC日本語ページでは、『日本戦でアイルランドに不利な誤審。「統括団体が認めた」と監督』という見出しで紹介している。(bbc.com/Japanese/49903487
別のサイトでは、According to Schmidt himself, Ireland have received confirmation from World Rugby that Gardner got three of his key penalty decision wrong during the tie in Fukuroi. とある。
    シュミットさんは ARGのレデスマHCに比べれば スマートにメディア対応したように思われる。
【 ガードナーさん 】
この試合の主審はガードナーさん(AUS)。この大会では、FRA/ARG戦に続いて二試合目の笛。
 試合前日、サンケイスポーツ紙上、元プロ審判・平林泰三「タイゾーの笛分析」では『②アイルランド戦主審・ガードナー氏を“斬る”!!』と題して、「スクラムに先入観を持たれるな」と呼びかけるとともに、「21日(FRA/ARG戦)は“失敗”」として「ガードナー氏は選手に規則をしっかり守らせながら、手順に沿った笛を吹く。それが悪い方に出たのが21日のフランス‐アルゼンチン戦だった。スクラムが最後までうまく組めなかった。組み方を細かく説明したり、ときには反則を取ったりしてマネジメントしようとしていたが、言うことを守らない両軍にギブアップ。マネジメントをやめてしまった。」と書かれている。これと同じ状況が生じたのがこの試合。スクラムに関して言うと、①18JPNP ②34IREP(このシーン(だけ)が、その後、何度もテレビで流されている) ③47JPNP があり、この間に、幾たびか両チーム選手に説明したりもしていた。
 試合当日のサンスポ紙上には『最優秀審判ガードナー主審が笛 相性悪いシュミット監督「いい判定を」』との見出しで『今年の欧州6カ国対抗でアイルランドがウェールズに7-25で敗れた一戦も主審をしており、シュミット監督は「彼の判定が味方せず、非常にフラストレーションがたまった」と相性の悪さを口にする。同主審が担当したフランス-アルゼンチン戦でも一部の判定が物議を醸した。WRは今大会の判定について異例の声明を出しており、シュミット監督は「WRから言われたばかりだし、今週こそいい判定を下すと確信している」と期待した。』との記事があった。あらためて、2019316日・ウェールズ・ミレニアムスタジアムのWAL/IRE戦。一方的にIREがペナルティを「取られまくり」見ていても、笛がまったく理解できなかった。前半40分のペナルティを取られた時にはスタンドオフ・セクストンが満面に怒りを表しながらボールを地面に叩きつけるシーンが大写しになっていたのが印象的であった。
 2018年のWRレフリーアワードを受賞したガードナーさん、今大会・予選プールでは、FRA/ARG戦、JPN/IRE戦、WAL/URG戦を吹き、決勝ラウンドでは笛を吹くことなく(準々決勝NZ/IRE戦では線審)終わった。

岡島さんの・2019 W 杯・備忘緑 2

昔、アルゼンチン・ラグビーについては、こんな風に言われていた。
『アルゼンチンのラグビー選手、それは、スペイン語を話すイタリア人で、イングランド人になることを夢見る奴だ』(Daniel Herrero”Dictionnaire amoureux du Rugby”p36より仮訳)
 それが、あれよあれよという間に強くなって、第6回(2007年)・3位、第7回・ベスト8、第8回・4位とベスト8常連国となった。そこに、アルゼンチン協会が南半球三カ国で構成されていたSANZARに出資・構成員になり、代表チームはラグビー・ザ・チャンピオンシップでNZAUSRSAと定期的にテストマッチを行い、単独チーム「ジャガーズ」はスーパー・ラグビーに参加し今年は決勝まで進んだ。アルゼンチンの強化は順調に進んでいるように思われていた。非ティア1国、すなわち日本などの強化のロールモデルになるのではと思わせるほど…
 大会前、『ラグビー・マガジン[特別編集]2019年日本大会を見逃すな!』誌上で、現パナソニック監督のロビーディーンズは次のように語っていた。
『- アルゼンチンはW杯にいつも強いですね。「プールステージは突破すると思います。それだけの力があるし、W杯でいい結果を残してきた相性、自信もある。スーパーラグビー(ジャガーズ)から長い時間をともに過ごしている。疲労より、良いことの影響の方が大きい気がします。(イングランドの)エディーが「(プーマスについては)無視する」と言っているのも、意識している証拠。 フランスの予選突破はないと思っています。… 』(p26
 921日、おそるおそる会場の味スタへ向かった。
試合内容は、野球の「ルーズベルト・ゲーム」さながら、二転三転し、最終スコアは2321FRAの勝利。
得点経過は次の通り、
13分 ARG10PG×  15分 ARG10PG 0-3  18分 FRA13T 5-3
19分 FRA10C 7-3  22分 FRA9T  12-3  23分 FRA10 14-3
30分 FRA10PG 17-3  41分 FRA10PG 20-3 (前半終了)
42分 ARG4T 20-8 43分 ARG10C 20-10  54分 ARG16T 20-15
54分 ARG10C× 20-15  61分 ARG22PG 20-18 
69分 ARG22PG 20-21  70分 FRA22DG 23-21
77分 FRA10PG× 23-21  80分 ARG15PG × 23-21
いくつかのターニングポイントがあった。数え上げれば、きりがない気もするが…
試合後、ARG・レデスマHCはインタビューに答えて、「あのピカモール(FRA20)のオフサイド、最後のFRA9のオフサイドの笛を吹かないなんて…」とレフリーへの不満を公の場で口にした。
 即座に思い起こしたのが、2007年準々決勝、FRAにまさかの敗北を喫したNZ・ヘンリーHCが「敗北はレフリーがフランスのスローフォワードを見逃したこと(①これが決勝トライに結びつく ②誰が見てもスローフォワードというのが 当時から認められていた(フランス国内ですら))」と明言し、帰国後、NZ協会への報告では、この試合、レフリング・ミスが10程度あったとそれぞれの場面を指摘したとのこと。NZ協会は、敗軍の将・ヘンリーの続投を決定し、2011年・2015年の優勝につながった。この時、IRB(当時の世界団体はIRB、後に現在のWRに移行)審判委員会(委員長はNZ人)は「たしかに、あれはスローフォワードだったけど、試合を通してのレフリングは正しかった」との声明を出した。
この試合の主審は若き日のバーンズ(ENG)、今大会では予選リーグ3試合、準々決勝JPN/RSA戦、三位決定戦を吹き、現在の世界トップレフリーに成長した。
 試合中さまざまな事象(incident)が生ずる(「I」とする)。そして、それに対して、レフリーは笛(whistle)を吹く(「W」とする)。規則に照らして、IW であれば、誰も不平は言えない・言わない。しかし、往々にして、IWが生ずる。
それ(その怒り・憤り)を、誰に・どのような場で、ぶつければいいのか・効果的なのか?
最終目的は、
I=Wの「理想」を求めて レフリングの向上を願うこと・それに貢献すること 
IWは 世の常 無くならない という冷徹な判断の下 いざというときに こちらに有利な笛を吹かせるように 審判団にプレッシャーをかけるのか? 
③単なる「ガス抜き」なのか?

プロ化する前のフランスでは、多くの監督が試合後、負けた原因を「レフリー」と言い募っていた。それが、プロ化後、激減した。なぜか? 次があること、そして、マネーが絡んできたことが大きいと感じている。
そうした観点からすると、今回のレデスマ発言、未熟だなぁと感じた。そうは思いながら、さっそく、家に帰って、問題のシーンをDVDで見てみた。 いやはや…
1 現場で見ていても 「えっ! なぜ、どうして ピカモール そんなところにいるの?」と思える場所で ARG・9のパスを 胸に収めていた。 DVDで見たら、明らかに オフサイド。
2 最後のFRA・9(マシュノー)。9自体は おそらくOKだけど FRA6は ノット・ロール・アウェイを 普通だったら 取られている。
3 スカパー解説の栗原さんは この間のプレーで 小さく「オフサイド」と言っているシーンがあるが たしかに 明らかな FRA・オフサイドが見逃されている。
 レデスマが言いたくなるのもよくわかる。 で このことを 10日後 FRAUSA戦の開始前 博多の森球技場そばのスタバで隣り合わせたフランス人(家族4人ずれで来日。現在カストル在住。本人は かつて トゥールーズでプレーしたとのこと)に聞いてみた。そうしたら「そんなこと言ったって 最後のARG15PGが決まっていたら レデスマ あんなこと 絶対言わなかったよな。あの試合 レフリーが どちらかに偏るっていうことはなかったし」と言っていた。
 なるほど、「IWの法則(?)」が成立する。
 IW は 必ず 生ずる
IW で 不利になった方は どこかで・誰かに 発言する
IW で 有利になった方は 無言を貫く …
あらためて この試合を通して DVDを見返してみる。
「カオス」を見るようである。スクラムがコントロールされていない。笛を吹かれないライン・オフサイドが散見される。これじゃあ、レデスマがぼやく(嘆く)のも理解できる。
ただ、スタッツを見ると、ペナルティを取られた数は、FRA15に対してARG5。たしかに、残り10分、ARGが再逆転(20-21)したのも束の間、次のFRA・キックオフのボールをARGが確保しきれずラック二つでFRA22のドロップゴールで再々逆転(23-21)。ここからのことだけにフォーカスすれば、レデスマの「おっしゃるとおり」。
でも、試合を通してみれば、FRAに対してもガンガン笛を吹いていた。というか、FRAのチームができ上がっていなかったので、初歩的なミスが多すぎたことも事実。
これでFRAが負けていたら、FRAHCは何といってぼやいただろうか?
 ちなみに、この大会、一試合で15以上ペナルティを取られたチームは、4チーム。
① M16 : URG15 対するGEO6  得点は、URG7GEO33
② M33 : GEO15 対するAUS7  得点は、GEO8AUS27
③ M36 : SAM17 対するIRE5 得点は、SAM5IRE47
この試合を除いて、当たり前のことながら、ペナルティを多くとられた方が大敗している。
 両チームのペナルティ数の差が10以上あったのは、この試合とM36
 これだけ多くのペナルティを取られながら勝ったフランスが強いのか?それとも、その機会を有効に得点に結びつけられなかったアルゼンチンが稚拙だったのか??
【 因果は巡る… 】
 レデスマの発言がどれだけの影響力をもたらしたのかは測り知れないが(かつてのアルゼンチン躍進をレデスマと共に実現したチームメイト・9番・ピショットが現WR副会長)、大会第2AUS/FIJ、第3FRA/ARG、第4NZ/RSA戦を終えたのち、WRは「レフリーの基準に食い違いがあった」旨の声明を924日に出すに至った。それが、どれだけの影響を持ったのかは定かでないが、レッドカードの適用が厳しくなった感はある。その「被害」を受けたチームの一つがARG
105日、「命を賭けた」対ENG戦の18分、ARG・5・ラバニーニのENG・12に対するタックルが危険だとされてレッドカード・一発退場。これで、予選リーグ突破の目はなくなった。ちなみに、FRA/ARG戦のスカパー・解説栗原さんは「ラバニーニは、身長201cmでありながら、低くタックルに入る世界最高のロックの一人」と紹介していた。
【 今大会のアルゼンチンは弱かったのか? 】
1戦はFRAに「まさかの」敗北を喫したものの、第2戦(928日)トンガには、28-12の完勝(前半28分までの4トライ・4コンバージョンを決め、ボーナスポイントを獲得し、後は試合を「殺していた」)。第3戦はENGに負けたが(この試合、現場で見ていても、ENGの充実が目についた気がする)、第4USA47-17の危なげない大勝。
これに対して、FRAは、第2USA33-9。ただし、67分・FRA・12のトライ直前までは、12-9と後半30分近くまでは、どちらに転んでもおかしくない試合。第3戦トンガには、なんと23-21。後半は熊本のスタジアム全体がトンガを後押しし、ものすごい熱気があった。第4ENG戦は、台風の為、中止。 試合内容だけを見てみると、圧倒的にFRAよりもARGの方が充実していた。
 ARG協会が、今大会をどう評価し今後の方向性をどう定めるのか、興味深い。
ポイントの一つは、IWについて、①事実として認めるのか ②レデスマの主張は間違っていて、事実としてIWとするのか ③レデスマの主張は正しいが、ラグビーとはWが正しくて、Wそのものだけが事実である とするかにあるような気がする。

岡島さんの・2019 W杯・備忘緑 1

2019 W杯・備忘録1       ~フィジーは弱かった~
 大会前、ダークホース的存在と見做されていたフィジーは、第1戦オーストラリア戦を3921で落とし、第2戦ウルグアイ戦は格下相手にまさかの敗北(3027)、第3戦ジョージア戦は後半に輝きを取り戻して337の勝利、第4戦ウェールズ戦は2917で敗北、13敗で予選プールを終え、日本を去っていった。得点を見れば、前評判は裏切られた。
 1.第1戦 対オーストラリア 
試合の入りは、フィジーにとって完璧。5分にPG3点、8分にF7番のトライで8対0と引き離す。この後、オーストラリアに反撃され、18A7番にトライ・コンバージョンも決まって、87とされるも、23分にはPGで加点し、117となる。ここまで、フィジーの多彩な攻撃は目を見張るものがある。
暗転するのは、25分。
オーストラリアのラックでのペナルティをフィジーがタッチに蹴出し、オーストラリア・ゴール・ラインから15mのF・ボール・ラインアウト。これ以前のラインアウトで、F10番へのロングスローを決めて大きくゲインしていたが、今回は、意表をついてラインアウトの一番前の選手(7番)に合わせて、F7番が突進。ゴール前5mA14番と交錯、ノックオン。そのボールがタッチに出て、A6番がクイックスロー。オーストラリアは混乱し、インゴールにボールを置くのがやっとで、フィジーボールのスクラムに。
F7番は蹲りメディカルが外へ出し(HIA検査)交代の選手が入り、試合は止められることなく、続行された。
 この蹲った選手が、ヤト。日本では馴染みがないかもしれないが、フランスTop14・クレルモンのキャプテン。2018/2019シーズンのプレイ・オフ決勝は、ヤト率いるクレルモン(フランス代表数名+あのレイドローも)対トゥールーズ。トゥールーズを率いたのが元オールブラック・カイノ(20112015、フランカーとして出場)このチームにもフランス代表数名とフルバックであの南アフリカのコルビが出場していた。
 スタッツを見て、暗澹たる気持ちになる。ヤトの記録は、25分間出場、ランメーター 73m、クリーンブレイク 3回、 タックル機会 4回すべて成功。一番輝いていた選手を「交錯」で失った。
 この「交錯」について、試合後、フィジー協会がWRに異議を申し立てた。そして、4日後、WR・懲罰委員会は「O14番の行為はレッドカード相当とし、3試合の出場停止を決定」した。(懲罰委員会の決定内容については、最後に(参考)として記述)
ということは、あの試合、正しく笛が吹かれていれば、前半25分以降、オーストラリアは811でリードされている状態で以後14人で戦っていたということである。ということは、あの試合、正しく笛が吹かれていれば、フィジーが大勝していた可能性が大きい。もちろん、オーストラリア魂(?)に火がついて、オーストラリアが勝っていたかもしれない。ただ、今大会でレッドカード退場者を出したチームは負けている。
 「交錯」に至るまでのプレーを見返してみる。
1分 A14番は、対面F11番の突進に低くタックルに行き弾き飛ばされている。(このシーンは、何度かリプレーで流される。)
2分 A14番は、F15番の下へタックルに行き止めている。
11分 A14番は、F7番の腰にタックルに入っている。
12分 A14番は、ハイパントのコンテストでF・11番に競り負けている。
A14番は、25分に至るまで、タックルは下に入っているものの、成功していない。
そして、25分を迎える。
「交錯」そのものについては、WR懲罰委員会がレッドカード相当と認定している。 是非、25分までの試合をじっくり見ていただきたい。
 ラグビーにおける「公正・公平」の考え方は、時代と共に変化してきた。
1 かつては、先発15人で戦い抜くことが「公正・公平」とされ、交代選手は、たとえ重傷者が出たとしても、一切認められなかった。
2 やがて、「公正・公平」の観点から、ケガによる交代選手の出場が認められるようになった。
3 そして、相手選手をケガさせるような危険なプレーは、「公正・公平」の観点から許されない、としてイエローカード、レッドカードが制度化された。
 現時点での「公正・公平」は、相手選手に重傷を負わせた(負わせる可能性がある行為に対しても)選手には、レッドカードが出され、数的バランスを採ることにある。
あの試合の「交錯」では、明確に一人の選手が重傷を負い、試合続行がかなわなかった。であるにもかかわらず、重傷を負わせた選手は、試合中はなんの「御咎め」も受けずプレーを続けた。さらに、残念なことには(?)、A14番は、36分にはトライを、51分にはPGを決め、オーストラリアに8点をもたらしている。  あの試合、勝者はオーストラリアだったのだろうか?
 2 第2戦 対ウルグアイ
初戦に焦点を当てて準備をし、その準備がピタッとはまった25分とやりきれない気分の65分を戦って、中3日での札幌から釜石での試合。どのような心境だったのだろうか。
キックオフは1415分。おそらく、同時刻にWR懲罰委員会が東京で開かれていたと推測される。すなわち、結果を知らされずにゲームに臨むことになる。 結果は、まさかの敗退。ウルグアイの健闘は「掛け値なし」に誉めたてるべきであろう。勝敗だけをみれば、フィジー5トライするもコンバージョンが成功したのは1回だけ。これに尽きるのかもしれない。 ヤトは、当然のことながら、リザーブにも入らず。
 3 第3戦 対ジョージア戦
後半になって、フィジーの輝きが甦ってくる。後半だけで、6トライ。 ただ、この試合、現場で見ていたが、明らかにジョージア、後半疲れ切っていた。 このグループ、結果としてみれば、中三日で戦ったフィジーを破ったウルグアイが、中三日でジョージアに敗れ、そのジョージアが中三日で戦ってフィジーに敗れている。 小国の悲哀を感じる。
 4 第4戦 対ウェールズ戦
ファイナルスコアは、2917。歴史とは、厳然たる事実・ファイナルスコアだけが語り継がれていくのだろうか。
この試合、今大会では珍しく、二転三転した試合。
5分 Fのトライで05(相変わらずコンバージョンは決まらず)
8分 W2番にイエローカード
9分 Fのトライで010(またしても、コンバージョンは決まらず)
18分 Wのトライ・コンバージョンで810
29分 F7番にイエローカード
31分 Wのトライ・コンバージョンで1410W逆転
32分に F12番負傷交代(これは、痛かった…)
54分 F、ペナルティ・トライ(今大会ではめずらしい)で1417と再逆転
58分 WPG1717の同点に
61分 Wのトライで2217W再々逆転
69分 Wのトライ・コンバージョンで2917
マン・オブ・ザ・マッチは F11
 フィジーの初戦25分までの戦いは、ベスト4級である。悲運のフィジーとして記憶されるべきでないか。
(参考「190926RWC19 Reece Hodge(Aus)Disciplinary Decision」より)
* ワールドラグビーのホームページから簡単にアクセスできます。是非、原文を読んでみてください。
 本文は、レフリーの証言から始まっている。
1 Summary of essential elements of citing/referee’s report/footage
1 Referee: ”Incident not seen live. At the subsequent stoppage in play due to the injury I asked my TMO if there was any obvious foul play to cause the injury, the reply was that there was no obvious foul play seen”
 2 AR1: “I did not see the incident as I was on the other side of the field”.
 3 AR2: “My view live was that I didn’t see any foul play on Fiji number 7. I thought it was just a ‘rugby collision’”.
 4 TMO: “No foul play seen live. At the subsequent stoppage in play due to an injury, I checked two angles for potential foul play and saw none. I reported this to the referee when asked”.
 👉 主審とAR2は、目の前で見ている。結果として、一人の選手が脳震盪で試合続行不能になった。「交錯」は二人の選手で起きている。であるならば、加害行為を行いえるのは、F7ないしはA14のみ。AR2の言っている「rugby collision」とはどういう現象を指すのだろうか?
 👉 TMOは、2視点から映像を見て「問題なし」と返答したとのこと。しかし、テレビ映像(WR作成で世界中に流されているもの)をスローで見れば、A14の肩とF7の顎が激突しているのが見て取れる。
仮に、その時点では、2視点からしか見なかったとしても、25分にHIAで退場し、10分後には再出場不能となった=重大なケガが生じた、と判明した時点で、あるいは、ハーフタイム時に、なぜ事実解明を進めなかったのか?
 本文は、このあと、Citing Commissioner’s Report The Medical Report と続き、
その後に、Summary of player’s evidence が続く。
まず、Player‘s Representatives の一人 Martin QC が文章を読み上げたようだ。
👉 こんな場にも、弁護士が出てくる。いや、こんな場だからこそ、弁護士が出てくる時代になったということか…
 本文中で目についたのは、
The player also explained why he did not apologise to Fiji 7 ( or to the Fijian team, some of whom he knew as club mates ) after match, as he was not aware that he had done anything that might be put under scrutiny.
 本文は、その後、Findings of fact という章で さまざまな角度からの検討がなされ レッドカードが 確定した。
 そして 「Sanctioning Process」で 原則、6週間の出場停止のところが、
 “Clean” disciplinary record over a considerable, and distinguished, playing career. Good character and repute. 」ということで 3週間の出場停止に減じられ、現実に 準々決勝はフル出場している。
 👉 少なくとも、この「交錯」に関しては、全然 good character とは思えない…

2019年11月29日金曜日

グループ展の Galerie Wagner に立ち寄って来ました

今日は午後に Galerie Wagner に立ち寄って、ゆっくりグループ展を観ながら、来週の火曜日(来月12月3日)午後6時から始まる在仏50年作品集サイン会の件で打ち合わせに立ち寄って来ました、このギャラリーの在る通り(rue des Grands Augustins )に、かの有名なピカソの小さなアトリエが在ったのです。