2019 W杯・備忘録 88
~ LIO/RSA(1) ~
2019W杯・準決勝、決勝の再戦とも言える2021ライオンズRSA遠征・テストマッチ第1戦が7月24日に行われた。
ライオンズ(以下、「LIO」)23人のうち、ENG:9人(全員W杯決勝メンバー)、WAL:4人(3人が準決勝メンバー、ウィリアムスはケガで欠場)、SCO:5人、IRE:5人。
対するRSAは23人中17人が決勝メンバー。
試合経過は次の通り。LIOの得点は「○」、失点は「●」、得点を逃したのは「×」。
分 | 得点 | 種類 | 起点となった(リ)スタート | |
● ● 〇 ● ● × × | 13 17 19 26 30 35 39 | 0- 3 0- 6 3- 6 3- 9 3-12 | PG PG PG PG PG PG PG | LIOのキックオフで試合開始。 LIO・7にP(ノットロールアウェイ)。RSA・10がPG。 TMOでLIO・7にP(レイトタックル)。RSA・10がPG。 RSA・12にP(ラインオフサイド)。LIO・10がPG。 LIO・13にP(オフフィート)。RSA・10がPG。 LIOにP(ノットリリース)。RSA・10がPG。 RSAにP(スクラムコラプシング)。LIO・10が外す。 TMOでRSAにP(ハイタックル)。LIO・13が外す。 |
〇 × ● 〇 〇 〇 × × 〇 | 43 45 47 52 55 62 64 69 77 | 10-12 10-17 13-17 16-17 19-17 22-17 | T+G TMO T PG PG PG PG TMO PG | ゴール前ラインアウトからモールを押し込みLIO・2がT。LIO・10がG。 RSA・15がT。TMOでRSA・15にP(オフサイド)。 RSA・9がT。TMOで認められる。RSA・10がGを外す。 RSA・8がP(タックル成立後のボール奪取)。LIO・10がPG。 RSA・11がP(ラインオフサイド)。LIO・10がPG。 RSAがP(モールコラプシング)。LIO・10がPG。 LIO・20がP(危険なタックル)。RSA・10が外す。 RSA・12がT。TMOでRSA・11のノックオン。 RSAがP(モールコラプシング)。LIO・22がPG。 |
この試合のカギの一つが、第4審判のTMO。Midolによれば、「TMO予定者のNZ人がNZ出国時のコロナ感染防止策強化により出国できなくなり、急遽、ヨンカー(RSA)がTMOを務めることになった。これに嚙みついたのがガットランド。試合前の記者会見で、先のLIO/RSA-A戦でヨンカーはTMOを務めていたが、RSA・9のハイタックルを見逃したと非難した」とのこと。記者会見の有効活用…。
主審はベリー(AUS)、副審はオキーフ(NZ)とレイナル(FRA)という中立国から。いずれも、2019W杯で主審を務めている。
この試合、TMOは5回。このうち、3回はRSAのトライの後、「オン・フィールド・デシジョンはトライ」と主審が宣告してのTMO。そして、2回はRSAのトライ以前のミスが見つけられてノートライになっていた。ガットランドの圧力が効いたと見るか否か、どうなのだろうか。
もう一つ気になったのが、ペナルティ。先発メンバーの体力の消耗が顕著になる後半、W杯時とは大きく異なり、RSAのPが多かった。
この試合、前半のPは、LIO:7、RSA:6。後半は、LIO:1、RSA:8。
前半のPの経過は次の通り。
(注)一列目:時間、二列目:Pを犯したチーム、三列目:PGを狙った場合の結果
分 | 1 | 6 | 12 | 16 | 18 | 20 | 22 | 25 | 28 | 31 | 34 | 37 | 40 |
L | R | L | L | R | L | R | L | L | R | R | R | L | |
③ | ③ | ③ | ③ | ③ | × | × |
後半のPの経過は次の通り。
分 | 40 | 42 | 46 | 51 | 55 | 62 | 63 | 67 | 76 |
R | R | R | R | R | R | L | R | R | |
③ | ③ | ③ | × | ③ |
後半、RSAのキックオフで始まる。そのボールをLIOはボックスキックでハーフウェー付近へ。これをRSA・8がキャッチするもタックルされノットリリースのP。これをLIOがタッチキック・敵陣ゴール前のマイボールラインアウトに。ここからのプレーでRSAは再びP。PGを狙える位置だったが、LIOはタッチに蹴り出し、再び、ゴール前ラインアウト。ここからモールを組んで・押し込み・トライ。
LIOの全得点は、P起点であると言えよう。
なぜ、RSAのPが多かったか、特に後半目立ったか。もちろん、いくつかの要因が重なっているのだろうが、コロナの影響で試合数が限定され、フィットネスが戻っていなかったことがあげられるであろう。その意味では、コロナ禍、非常識な海外遠征で試合数を重ねてきたLIOが有利であったという皮肉な結果を招いたとも考えられる。
かつて「備忘録19・不動の8人」で次のように書いた。
『 今大会・決勝ラウンドにおける南アの16番から23番の投入時間は次のようになっていた。
16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | |
QF vsJPN | Marx 前36 | Kitshoff 後13 | Koch 後13 | Snyman 後22 | Mostert 後26 | Louw 後27 | Jantjies 後33 | Steyn 後31 |
SF vsWAL | Marx 後7 | Kitshoff 後7 | Koch 後7 | Snyman 後12 | Mostert 後17 | Louw 後28 | Jantjies - | Steyn 後28 |
F vsENG | Marx 前21 | Kitshoff 後3 | Koch 後3 | Snyman 後19 | Mostert 前21 | Louw 後23 | Jantjies 後36 | Steyn 後27 |
それにしても、16番から23番、まったく同じメンバー! 』
今回は、
16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
Marx 後0 | Kitshoff 後0 | Malherbe 後0 | DeJager 後23 | Elstadt 後23 | H.Jantjies 後34 | E.Jantjies 後31 | Willemse 後27 |
となっており、W杯時のFW:6人・BK:2人から、FW:5人・BK・3人となっている。
さすがのRSAFW陣もLIO・4か国の体力自慢の前に屈したかの感がある。象徴的なのが、ENGでは二列目で出場しているロールズを三列目で先発させたことである。一方のRSA、W杯時不動の8番・フェルミューレンの欠場が大きかった。代わりに先発したヤマハでプレーしているスミス、奮闘したけれど力負けしているシーンが度々あった。
ある意味、ラグビーの原点≒FWの体力勝負の典型的な試合であった気がしている。そこからは、たまにしかトライは生まれない。トライは結果でしかない。
RSAは「ディシプリンを欠いていた」というより、力負けし「ペナルティを犯すように仕向けられた」感が強い。
今晩、第2戦が行われる。どんな試合になるのか、楽しみだ。
令和3年7月31日
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