2021年7月31日土曜日

岡島レポート・2019 W杯・備忘録 88

2019 W杯・備忘録 88
 LIO/RSA(1) 

 2019W杯・準決勝、決勝の再戦とも言える2021ライオンズRSA遠征・テストマッチ第1戦が724日に行われた。
ライオンズ(以下、「LIO」)23人のうち、ENG:9人(全員W杯決勝メンバー)、WAL:4人(3人が準決勝メンバー、ウィリアムスはケガで欠場)、SCO:5人、IRE:5人。
対するRSA23人中17人が決勝メンバー。

 試合経過は次の通り。LIOの得点は「○」、失点は「」、得点を逃したのは「×」。

得点
種類
起点となった(リ)スタート

×
×

13
17
19
26
30
35
39

 0- 3
 0- 6
 3- 6
 3- 9
 3-12

PG
PG
PG
PG
PG
PG
PG
LIOのキックオフで試合開始。
LIO7P(ノットロールアウェイ)RSA10PG
TMOLIO・7にP(レイトタックル)。RSA10PG
RSA12P(ラインオフサイド)。LIO10PG
LIO13P(オフフィート)。RSA10PG
LIOP(ノットリリース)。RSA10PG
RSAP(スクラムコラプシング)。LIO10が外す。
TMORSAP(ハイタックル)。LIO13が外す。

×

×
×
43

45
47
52

55
62
64
69
77
10-12


10-17
13-17

16-17
19-17


22-17
TG

TMO
T
PG

PG
PG
PG
TMO
PG
ゴール前ラインアウトからモールを押し込みLIO・2がTLIO10G
RSA15TTMORSA15P(オフサイド)。
RSA9TTMOで認められる。RSA10Gを外す。
RSA・8がP(タックル成立後のボール奪取)。LIO10PG
RSA11P(ラインオフサイド)。LIO10PG
RSAP(モールコラプシング)。LIO10PG
LIO20P(危険なタックル)。RSA10が外す。
RSA12TTMORSA11のノックオン。
RSAP(モールコラプシング)。LIO22PG

 この試合のカギの一つが、第4審判のTMOMidolによれば、「TMO予定者のNZ人がNZ出国時のコロナ感染防止策強化により出国できなくなり、急遽、ヨンカー(RSA)がTMOを務めることになった。これに嚙みついたのがガットランド。試合前の記者会見で、先のLIO/RSA-A戦でヨンカーはTMOを務めていたが、RSA9のハイタックルを見逃したと非難した」とのこと。記者会見の有効活用
主審はベリー(AUS)、副審はオキーフ(NZ)とレイナル(FRA)という中立国から。いずれも、2019W杯で主審を務めている。
 この試合、TMO5回。このうち、3回はRSAのトライの後、「オン・フィールド・デシジョンはトライ」と主審が宣告してのTMO。そして、2回はRSAのトライ以前のミスが見つけられてノートライになっていた。ガットランドの圧力が効いたと見るか否か、どうなのだろうか。

 もう一つ気になったのが、ペナルティ。先発メンバーの体力の消耗が顕著になる後半、W杯時とは大きく異なり、RSAPが多かった。
 この試合、前半のPは、LIO7RSA6。後半は、LIO1RSA8

前半のPの経過は次の通り。
(注)一列目:時間、二列目:Pを犯したチーム、三列目:PGを狙った場合の結果
  1
  6
 12
 16
 18
 20
 22
 25
 28
 31
 34
 37
 40

 L
 R
 L
 L
 R
 L
 R
 L
 L
 R
 R
 R
 L



 
 
 


 
 

 ×
 ×


後半のPの経過は次の通り。
 40
 42
 46
 51
 55
 62
 63
 67
 76

 R
 R
 R
 R
 R
 R
 L
 R
 R




 
 
 
 ×

 

 後半、RSAのキックオフで始まる。そのボールをLIOはボックスキックでハーフウェー付近へ。これをRSA8がキャッチするもタックルされノットリリースのP。これをLIOがタッチキック・敵陣ゴール前のマイボールラインアウトに。ここからのプレーでRSAは再びPPGを狙える位置だったが、LIOはタッチに蹴り出し、再び、ゴール前ラインアウト。ここからモールを組んで・押し込み・トライ。
 LIOの全得点は、P起点であると言えよう。

 なぜ、RSAPが多かったか、特に後半目立ったか。もちろん、いくつかの要因が重なっているのだろうが、コロナの影響で試合数が限定され、フィットネスが戻っていなかったことがあげられるであろう。その意味では、コロナ禍、非常識な海外遠征で試合数を重ねてきたLIOが有利であったという皮肉な結果を招いたとも考えられる。

 かつて「備忘録19・不動の8人」で次のように書いた。
『 今大会・決勝ラウンドにおける南アの16番から23番の投入時間は次のようになっていた。

  16
  17
  18
  19
  20
  21
  22
  23
QF
vsJPN
Marx
36
Kitshoff
13
Koch
13
Snyman
22
Mostert
26
Louw
27
Jantjies
33
Steyn
31
SF
vsWAL
Marx
7
Kitshoff
7
Koch
7
Snyman
12
Mostert
17
Louw
28
Jantjies
 -
Steyn
28
F
vsENG
Marx
21
Kitshoff
3
Koch
3
Snyman
19
Mostert
21
Louw
23
Jantjies
36
Steyn
27

 それにしても、16番から23番、まったく同じメンバー! 』

 

今回は、
  16
  17
  18
  19
  20
  21
  22
  23
Marx
0
Kitshoff
0
Malherbe
0
DeJager
23
Elstadt
23
H.Jantjies
34
E.Jantjies
31
Willemse
27
となっており、W杯時のFW6人・BK2人から、FW5人・BK3人となっている。
さすがのRSAFW陣もLIO4か国の体力自慢の前に屈したかの感がある。象徴的なのが、ENGでは二列目で出場しているロールズを三列目で先発させたことである。一方のRSAW杯時不動の8番・フェルミューレンの欠場が大きかった。代わりに先発したヤマハでプレーしているスミス、奮闘したけれど力負けしているシーンが度々あった。

 ある意味、ラグビーの原点≒FWの体力勝負の典型的な試合であった気がしている。そこからは、たまにしかトライは生まれない。トライは結果でしかない。
RSAは「ディシプリンを欠いていた」というより、力負けし「ペナルティを犯すように仕向けられた」感が強い。

 今晩、第2戦が行われる。どんな試合になるのか、楽しみだ。

令和3731

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