2019 W杯・備忘録 44
~ 勝てない… ~
今大会のFIJ、とにかく勝てなかった。力があるにもかかわらず…
力があるのに「勝てない」チームが「負けない」チームと戦うと、結果は当然「負けない」チームが勝つ。そんな気分で M32 FIJ/WALを見返してみた。
試合の得点経過は、次の通り。FIJの得点は「〇」、失点は「●」で、FIJの選手に堕されたイエローカードは「◉」、WALの選手に出されたイエローカードは「◎」で表示する。
| 分 | 得点 | 種類 | 起点となった(リ)スタート |
〇 ◎ 〇 ◉
●
◉ ● | 2 7 9 16
17
28 29 | 5- 0 10- 0
10- 7
10-14 | T(14)
T(15)
T(11) +G
T(11) +G | W・ラインオフサイドのP→F・スクラムを選択 TMO・W・2番・スピアタックルでイエロー W・P(YC)→F・PK・LO TMO・F・4番・ラックの入りのショルダーチャージでイエロー F・P(YC)→W・PK・LO~10番のキックパス
F・7番・チームの反則の繰返しでイエロー F・P(YC)→W・スクラムを選択 |
◎○ ● ● ● | 52 53 56 60 67 | 17-14 17-17 17-22 17-29 |
PT PG T(11) T(11) +G | W・7番・トライ阻止のラック内ハンドでイエロー W・P(YC)→F・PK・LO→W・モールコラプシング F・ラインオフサイドのP F・P(ラック・オフサイド)→W・PK・LO F・P(寝てプレー)→W・PK・LO |
この試合、4回イエローカードが出され、その直後、必ず相手チームのトライになっている。
52分、Wにイエローが出て、FはそのPをタッチに蹴り出してラインアウトからのモールでWがコラプシング。Fにペナルティトライが与えられ17対14とFが逆転。Wにとってみれば、こんな悪い「流れ」はない。さらに悪いことに、次のキックオフからのリターンのFのパントを10番と15番が激突して10番・ビガーが脳震盪。気を失って立ち上がれない。ビガーは、前の試合の対AUS戦では逆ヘッドのタックルで脳震盪・HIAで退場していた。完全にFのペースになるかと思われたのに、ここで「間」が出来た。ビガーの脳震盪のシーンが場内にも流され、移動車がグランドに入れられ、試合が止まった。
真の勇者であるフィジーの選手たちの心に「魔がさした(?)」。
15対14の数的優位に立ちながら、ビガー退場・交代の直後のW・スクラムからのラックで「つまらない」ラインオフサイドを犯し、W・22番・ビガーの交替で入ったパッチェルが確実にPGを決めて、同点に追いつかれる。さらに、次のFのキックオフからの中でP。Wのタッチキック・ラインアウトからの展開でトライを取られ、なんと逆転を許す。
いやはや、「負け癖」のついたチームと「勝ち癖」のついたチームの違いが如実に出た。
それにしても、「流れを変えた」のが、味方同士の激突による脳震盪だなんて…
この試合のプレーヤー・オブ・ザ・マッチは、負けたFIJの11番・ラドラドラ。FIJのバックスの破壊力を見せつけた試合でもあった。FIJ・14番は対面のWAL・11番を跳ね飛ばしていた。WAL・11番のタックル(成功)数は1回、ミスタックルは2回、成功率33%とスタッツ上はなっている。WALのバックスのタックル成功率は65%。そうでありながら、このWAL・11番は3トライをあげている。WAL魂とでも言うのだろうか…
ランメーターは、FIJ・465mに対して、WAL・384m。ラドラドラは124m。ところで、この試合一番走ったのは、WAL・15番の141m。FIJのキックチェースの甘さを突いたとも言えよう。この「攻める気持ち」が、チームを救った気もする。
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この試合、TMOが前半5回、後半2回。イエローカード4枚、PT1回。厳罰主義(?)の笛。TMOは、スッと見て、判断している。この試合の主審がガルセス(FRA)、副審がポワト(FRA)とディクソン(ENG)、TMOがスキーン(NZ)。
ガルセス・ポワト・スキーンの3人は、決勝ラウンド、M41 ENG/AUS、M48 RSA/ENGでもコンビで裁いている。
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M2 FIJ/AUSの前半25分のFIJ・7番に対するAUS・14番のデンジャラス・タックルに、「正しく」レッドカードが出され(後日のDCではレッドカードと認定されている)、15人対14人で試合が継続していれば、おそらくFIJは勝利していただろう。そうなっていれば、次のURG戦も負けていなかっただろう。勝ち続けていれば、「勝ち癖」がついていれば、この試合も勝てたのではないだろうか。そうなっていれば、今大会はFIJの大会になっていただろう。そんなもう一つの大会を見てみたかった…
( 参考 )
FIJボール
| 0-20min. | 20-40min. | 40-60min. | 60-80min. | 計 |
KO | 1 | 2 | 1 | 2 | 6 |
S | 2/2 | 2/2- | 1/1 | 3/3 | 8/8 |
LO | 3/4 | 3/3 | 5/5 | 3/3 | 14/15 |
PK | 2 | 2 | 3 | 1 | 8 |
FK | - | - | - | - | - |
DO | - | - | - | - | - |
計 | 9 | 9 | 10 | 9 | 37 |
(注) KOのうち1回は、前半開始時のもの。
S、LOの分母は、マイボールでの投入回数。分子は、そのうちのボール獲得回数。
PKの回数は、相手チームのペナルティ(反則)によって獲得したPKの回数。
FIJの得点
| 0-20min. | 20-40min. | 40-60min. | 60-80min. | 計 |
トライ(T) | 2 | - | 1(PT) | - | 3 |
T後のG | - | - | 1 | - | 1 |
PG | - | - | - | - | - |
WALボール
| 0-20min. | 20-40min. | 40-60min. | 60-80min. | 計 |
KO | 2 | - | 2 | - | 4 |
S | 1/1 | 5/5 | 3/3 | 1/1 | 10/10 |
LO | 2/2 | 1/1 | 1/1 | 3/4 | 7/8 |
PK | 2 | 4 | 2 | 2 | 10 |
FK | 1 | - | - | - | 1 |
DO | - | - | - | - | - |
計 | 8 | 10 | 8 | 7 | 33 |
WALの得点
| 0-20min. | 20-40min. | 40-60min. | 60-80min. | 計 |
T | 1 | 1 | 1 | 1 | 4 |
T後のG | 1 | 1 | - | 1 | 3 |
PG | - | - | 1 | - | 1 |
FIJのスクラム、ラインアウトは安定している。何かが足りない、勝ち切るためには。
いつの日か、ドリームチームで大会を席巻してほしいものだ。
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それにしても、昨年の9月20日、JPN/RUS戦でW杯がはじまった。ちょうど、一年が過ぎた。感慨深いものがある。
令和2年9月19日
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