2019 W杯・備忘録 133
〜 負けたら終わり 〜
トーナメントの試合はリーグ戦の試合とは重みが違う。負けたら終わり、だから、何が何でも勝たねばならぬ… では、どうすれば勝てるのか。
先週末、スーパーラグビー(以下「SR」)の準決勝2試合とFRAトップ14(以下「Top14」)“Barrage”(仏語で第一義は「ダム」、リーグ戦3位と6位のチームが3位のホームグランドで、4位と5位のチームが4位のホームグランドで戦い、勝者が準決勝に進出し、それぞれ1位・2位のチームと戦う)2試合が行われた。それぞれのリーグの特色が出ていて面白かった。
G1:SR準決勝 クルセイダーズvsチーフス
G2:SR準決勝 ブルーズvsブランビーズ
G3:Top14・Barrage トゥールーズvsラロッシェル
G4:Top14・Barrage ボルドーべグルvsラシン92
比較対象として G5:リーグワン決勝 パナソニックvsサントリー
まずは得点 ()内は前半の得点
G1 | G2 | G3 | G4 | G5 | |
勝者 | 20 (20) | 20 (20) | 33 (21) | 36 ( 8) | 18 (10) |
敗者 | 7 ( 7) | 19 ( 7) | 28 ( 7) | 16 (10) | 12 ( 3) |
G1・G2は雨中戦。G3・G4・G5は晴天・暑い日の試合。
G1・G2ともに勝者は前半に20点いれ、後半は無得点。偶然なのだろうが…
前後半で逆転したのはG4のみ。
トライ数は次のとおり
G1 | G2 | G3 | G4 | G5 | |
勝者 | 2 | 2 | 4 | 5 | 2 |
敗者 | 1 | 3 | 4 | 1 | 0 |
トライが勝利への近道であることは間違いない。
スクラム機会 ()内はPK・FKの回数で内数
G1 | G2 | G3 | G4 | G5 | |
勝者 | 5 (1) | 5(3) | 7(3) | 6(2) | 6(1) |
敗者 | 11(2) | 5(2) | 4(2) | 8(1) | 4(3) |
スーパーラグビー(=G1・G2)も、北半球同様、スクラムでPを狙うようになってきた。G1・G2は雨の中の試合ということでスクラム機会が増えていた。
ラインアウト機会 ()内はPKからのもので内数
G1 | G2 | G3 | G4 | G5 | |
勝者 | 7(4) | 10(7) | 8(3) | 16(2) | 12(2) |
敗者 | 11(7) | 17(12) | 12(7) | 12(5) | 15(2) |
ラインアウト機会のうちPK由来の比率 (単位:%)
G1 | G2 | G3 | G4 | G5 | |
勝者 | 57 | 70 | 38 | 13 | 17 |
敗者 | 64 | 71 | 58 | 42 | 13 |
G1・G2、ともかくボールが動いてる中で「タッチに蹴り出してゲームを切る」ということが念頭にないようで、その分見ていて面白いのかもしれない。
50:22によるものは、G4・勝者の1回のみ。ルール改正への適応度が高いチームが勝ち進んでいるせいなのかもしれない。
ペナルティ数
G1 | G2 | G3 | G4 | G5 | |
勝者 | 13 | 12 | 11 | 9 | 6 |
敗者 | 8 | 10 | 9 | 6 | 8 |
G1〜G4まで、すべて勝者のペナルティ数の方が多い。たまたまかもしれないが、ある種必然の気もする。「つまらない反則」「意味のないP」はある。では、「意味のある反則・P」は存在するのだろうか?「意味がある」か否かは価値観によるだろうが、少なくとも、「リスクを犯してでも…」という心性がチームに勢いをつけている気もする。「Pを減らそう」として「チャレンジ」しなくなれば本末転倒だ。勝つためには「攻め」なければならない。ラグビーにおける「攻め」とは、ディフェンス時にこそ顕在化するのかもしれない。ディフェンス時の「攻め」の行き過ぎがPとなる。それをどこまで気にするのか・制御するのかの塩梅が勝敗を分けるのかもしれない。見ながら、そんなことを考えていた。
G1では、勝者にイエローカードが二回・6番・マテーラ(ARG代表キャプテン)に出されレッドカードに(ローカルルールで20分後に別の選手がプレーできる)。敗者にもイエローカード・1回。
シンビン中の得点は次のとおり。
分 | カード対象選手 | PKの使途 | シンビン中の得点 |
7 | 敗・7・イエロー | PG○ | — |
19 | 勝・6・イエロー | S | 23:勝・T+G、25:敗・T+G |
31 | 勝・6・レッド | PK⇒LO | 35:勝・T+G |
(注)「PKの使途」は、カードの対象となったPに係るPKをどう使ったのか
「シンビン中の得点」の数字はゲームタイム。
この試合、14人のチームが得点している。
G2では、勝者にイエローカードが2回出されている。
分 | カード対象選手 | PKの使途 | シンビン中の得点 |
52 | 勝・2・イエロー | PK⇒LO | 57:敗・T |
74 | 勝・7・イエロー | PK⇒LO | 76:敗・T+G |
この試合では、15人のチームがトライを取っている。
G3〜G5では、イエロー・レッドは出されず。
カードが出された時・その後の人数差が生じている時間帯にどう戦うのか、チームの真価が問われる時である。
ゴールラインドロップアウト ()内はドロップアウトで外数
G1 | G2 | G3 | G4 | G5 | |
勝者 | 0(0) | 1(0) | 0(1) | 0(1) | 0(0) |
敗者 | 0(1) | 3(0) | 2(2) | 2(1) | 1(3) |
ゴールラインドロップアウト、試合展開にどう影響しているのか、まだまだわからない。
TMO回数
G1 | G2 | G3 | G4 | G5 | |
トライ関連 | 2 | - | 2 | 1 | 2 |
不正プレー | 2 | 2 | - | 1 | - |
TMO、いろいろな意見があるが定着してきた感がある。
令和4年6月18日
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