2024年5月11日土曜日

岡島レポート・ 2019 W杯・備忘録 223

        「聖火」が フランス本土を 移動し始めました.  夏の祭典 どんな展開になるのやら…

~ 23人 3 ~

 

ボールを確保しているチームが「ボールを相手ゴールに近づける」=陣地を前進させる・能動的な手段としては、ラン・パス・キックがある。ラン・パスは ボールを保持し続けられる(可能性が高い)が、キックは 相手にボール保持を渡すことになる(なりやすい)。 選手は ボールを持ったら ラン(相手を抜くか・ぶつかるか の 二択)・パス・キックのいずれかを選択する。

ここまで ラン・パスを見てきたが キックについては どうなっていたのか。ラン・パスに比べて キックの大きな特徴が 特定の選手が 蹴っていることである。

まず チーム全体のスタッツから ランメーター・キックメーターの関係を見てみる。

 

(-1 ランメーター・キックメーター)

 

   NZ

   IRE

   RSA

   FRA

ランメーター

  467

   633

   424

   524

キックメーター

   878

   696

   736

   770

    

  1345

  1329

  1160

  1294

キックの割合

    65.3%

    52.4%

    63.4%

    59.5%

 

いずれのチームも、陣地獲得の過半はキックである。「キックメーター」「計」 NZが 一番である。NZ/IRE ボールがよく動く試合であった。

 

次に パス回数とキック回数の関係を見てみる。

(表-2 パス回数・キック回数 割合・比)

 

   NZ

   IRE

   RSA

   FRA

パス回数

   137

   325

    82

   156

キック回数

    33

    20

    27

    24

  計

   170

   345

   109

   180

キックの割合

    19.4%

     5.8%

    24.8%

    13.3%

P/K

     4.2

    16.3

     3.0

     6.5

 

パスを多用する(≒「手間暇かける」)IRE、「あっさりと」蹴っちゃうRSA、好対照である。NZが 一番 キック回数が多い。

 

では どのポジションの選手がキックを蹴ったのか?

(表-3 ポジション別キック数)

 

   NZ

   IRE

   RSA

   FRA

スクラムハーフ

     6 (18.2%)

     5 (25%)

     6 (22.2%)

    13 (54.2%)

スタンドオフ

     8 (24.2%)

     4 (20%)

    10 (37.0%)

     3 (12.5%)

両センター

     4 (12.1%)

     -

     3 (11.1%)

     -

両ウィング

     1 ( 3.0%)

     6 (30%)

     2 ( 7.4%)

     4 (16.7%)

フルバック

    13 (39.4%)

     5 (25%)

     6 (22.2%)

     4 (16.7%)

 

FWでキックを蹴ったのは NZ8番・サベアが自陣ゴール前から蹴りだした1回のみ。

興味深いのは、①もちろん「たまたま」なのだろうが、センターが一度も蹴らなかったIREFRAが負けている ②FRAのキックの過半は 9番・デュポンが蹴っている。よくも悪しくもデュポンのワンマンチーム化していた試合だった ③キック回数が頭抜けて多かった(=「13」)NZ15番・Bバレット、FRA9番・デュポン、いずれも世界最優秀選手に輝いている⇒キックスキルも(≒は≒が)重要⇒ラグビーフットボールは フット(≒キック)を如何に効果的に使うか を 競うゲームでもある…

 

(表-4 スクラムハーフのスタッツ)

 

 NZ

    IRE

    RSA

 FRA

 

スミス

ギブソン

マレー

ライナー

デクラーク

デュポン

出場時間

   69

   61

   19

   45

   35

   80

ランメーター

   25

   20

    8

    4

    -

   29

パス数

   67

   77

   47

   24

   29

   76

キック数

    6

    3

    2

    4

    2

   13  

P/K

   11.2

   25.7

   23.5

    6

   14.5

    5.8

 

スミスがイエロー=シンビンで10分間退場=10分間の休憩 「ケガの功名」に思えてくる。

 

(表-5 スタンドオフのスタッツ)

 

  NZ

  IRE

        RSA

        FRA

 

モウンガ

セクストン

リボック

ポラード

ジャリベール

ラモス

出場時間

   80

   80

   45

   35

   72

    8

ランメーター

   78

    6

   32

   10

   40

    ?

パス数

   21

   73

    2

    3

   19

    ?

キック数

    8

    4

    8

    2

    3

    ?

P/K

    2.6

   18.3

    0.25

    1.5

    6.3

 

 

RSA10番・リボック キックマシーンと化したかのようだった=RSAの戦術の落とし込み方の凄さの象徴である。そして リボックの魅力はラン 機を見て敏 この試合も自陣ゴール前の大ピンチをランで凌いだ。次回大会 どのようなプレーを見せてくれるのか 今から楽しみである。

 

(表-6 フルバックのスタッツ)

 

 NZ

 IRE

    RSA

    FRA

 

Bバレット

キーナン

ウィレムセ

ルルー

ラモス

ビアレ

出場時間

   80

   80

   51

   29

   72

    8

ランメーター

   77

   68

   16

    5

   48

    ?

パス数

    6

   22

    -

    2

    7

    ?

キック数

   13

    5

    6

    -

    4

    ?

P/K

    0.46

    4.4

    *

    *  

    1.75

 

 

NZ15番・Bバレットの「当たっている」試合だった。対面キーナンは 成長途上 新たなフルバック像を 作ってほしいものだ。

 

令和6511

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