WBC 大谷だけは 見逃したくない。すごい選手です。千両役者・万両役者・億両役者…
2019W杯・備忘録170
〜 IRE 〜
このところ ずっと 2023W杯で IREが「8強の壁」を越えられるのか 気になって仕方がない。人口480万人、ラグビー人口10万人、現在ランキング1位。
近年に至るまで IREは さほど強いチームではなかった。五か国対抗時代・全勝優勝したのは1948年。六か国対抗になってからは2009年・2018年全勝優勝。だから かつてのラグビーファンにとって IREが8強止まりでも 不思議には感じない。しかし このところの強さ・ランキングから推し量ると 8強を越えられないのは W杯の謎でもある。
以前紹介したIREラグビージャーナリスト・Doyle「The Ref’s Call」の中に、第1回W杯の結果について、次のように書かれている。
In the pool stages, Ireland lost narrowly to Wales, but beat Tonga and Canada. These results meant a quarter-final against Australia, who duly won 33-15. Ireland’s annoying habit of getting no further than the quarters had begun. (p119)
そして、2019W杯・JPN戦は、以下の通り。
The match against the hosts was a very strange affaire, Ireland led 12-3 after 20 minutes, but contrived not to score again, with Japan racking up 16 unanswered points to win 19-12. The Irish visibly faded, and everyone watching, either in the crowd or on TV, could feel the inevitable approaching.
Joe Schmidt had controversially opted for Jean Kleyn over Devin Toner in the squad selection, and we watched Ireland lose a couple of vital lineouts it was clear that Toner’s prowess in that area was sorely missed. Nor were Ireland at all happy with the performance of Australian referee Angus Gardner, the Japanese being allowed to drive well past the ball at the breakdown, making it very difficult for Ireland to contest possession and create turnovers. Although the referee hardly cost Ireland the match, he certainly didn’t help. (p272)
あの歴史的試合、IREの敗因をラインアウトから語り始めるのは新鮮だ。そして、ブレイクダウンの攻防、ラックを重ねて前進するIREの「肝」であろう。
2019W杯の一年後、2023W杯の組み合わせ抽選が行われた。その時点での上位から4チームずつをひとつの「バンド」として同バンドのチームが同じ組にならないよう(=各組のチーム力が均衡する目的)に振り分けられた。結果として、次の組み分けになった(上位3チームのみに着目)
プールA:NZ、FRA, ITA プールB:RSA、IRE, SCO プールC:WAL, AUS, FIJ
プールD:ENG, JPN, ARG
ところが、その後、ランキング(=その時点での実力)は大きく変動した。特に顕著なのは、IRE・FRA・SCOの上昇とENG・WALの下落。組み合わせ抽選時と現在のランキングを比較すると次の通り。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | |
2020 | RSA | NZ | ENG | WAL | IRE | AUS | FRA | JPN | SCO | ARG | FI | IT |
2023 | IRE | FRA | RSA | NZ | SCO | ENG | AUS | ARG | JPN | WAL | IT | FI |
現時点で、各組の上位3チームのランキング持ち点の合計を計算すると、
A:254.28(平均) B:263.56(同87.85) C:233.52(同77.84) D:241.22(同80.41)
現時点のランキングで考えると、かなり不平等な組み合わせとなってしまった。こうした批判が出ていることから、次回2027W杯からは組み合わせ抽選の時期を大会直前に変更するとWRが発表した、と先日のMidolは報じている。
なかでも不平等の極みが、グループB。IRE(現在1位)・RSA(同3位)・SCO(同5位)が競わなければならない。RSA(現在3位)は選手層・W杯経験値などから別格で、どのような組み合わせでも構わないのかもしれないとも考えられ 実質的に大きな影響を受けるのがIREとSCO。
組み分けも気の毒だが、どのチームと試合していくかという「試合順」も気がかりな点だ。
IREは、2019W杯、SCO→JPN→RUS→SAMと予選プールを戦い、準々決勝でNZに完敗した。いろいろな要素が絡み合っているのだろうが、ピーキングに失敗したことも事実。
2023W杯では、ルーマニア→トンガ→RSA→SCOの順で当たり、予選プールを勝ち上がれば、準々決勝でグループAの1位ないしは2位(おそらく、NZ or FRA)と当たることになる。つまり、IREは格下との2試合を済ませてから、強豪RSA、SCOと連戦し、うまく予選プールから勝ち上がったら、決勝ラウンドの試合と激戦が続くことになる。いろいろな捉え方があるのだろうが、強度の高い試合が続き・どこかで「切れて」しまう可能性が高い気がしている。唯一の救いは、RSA戦以降、決勝戦まですべてパリ・サンドニでの試合であること。
Doyle「The Ref’s Call」では、2019W杯の総括的な部分に次の一節がある。
The tournament will also forever be remembered for the plethora of red cards dished out. The tackle technique of leading high with the shoulder had been addressed prior to the event with the introduction of the ‘high tackle framework’, indented to guide referees to consistent decisions concerning foul play. All of the teams and coaches had been made aware that a clampdown was coming, but some did not seem to have prepared for it, nor was there agreement on what was or was not foul play, even though the framework was advised to them all.
It was somewhat shambolic, but the tournament would have been a terrible advertisement for the game if these tackles had been deemed to be lawful. The referees, now under the management of our own Alain Rolland, did very well to stick to their task. It was not easy. (p274)
おそらく2023W杯においてもレッドカードが試合の帰趨に大きく影響してくるケースが出てくるであろう。それとともに、脳震盪での出場停止期間が明確化された影響も出てくるであろう。IREの司令塔・セクストン、よく脳震盪を起こす。気になるポイントだ。
対戦相手からすると、「理詰めで構築されている」IREはある意味で一番対策を考えやすいチームであろう。ブレイクダウン・ラックで対抗するのか、それともパスを遮断するのか、などなど、どのポイントに焦点を当てて特別な対策を打つのか、コーチ陣の力量が問われよう。特にSCOは予選プール最終戦にフォーカスして準備に余念がないであろう。
そんなこんなを考えながら、確率ではないのだろうが、IREの確率、予選プール敗退:20% 準々決勝敗退:50% 準決勝敗退:20% 決勝敗退:5% 優勝確率:5% どうだろうか。
令和5年3月11日
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