2019 W杯・備忘録 117
〜 風物詩 〜
「冬の風物詩、6か国対抗がはじまる」とでも訳したくなる文章によく出会う。6か国対抗のサイトには、次の文章がある。
The Six Nations Championship is the oldest international rugby tournament in the world, dating back its original incarnation in 1883 and expanding to its current format of six teams in 2000.
100年余続く同じ時期の大きなイベント、人びとに根付いている。
そして、次の文章が続いている。
It consists of three highly competitive annual tournaments across men’s, women’s and U20s rugby.
女子ラグビー・ジュニアの試合も組み込まれるようになった。時の流れに適応しようとしている。見事なものだ。
そもそも、「風物詩」という三文字熟語に対応する同等の欧米語が存在するのか否か定かではない。
「風物詩」、広辞苑では『㈰風景または季節をうたった詩。㈪季節の感じをよくあらわしている物事。「花火は夏の夜のー」』と解説されている。
ウィキペディア日本語版では、『ニュースや天気予報、新聞などに登場する、全国的な風物詩を例示する。』として、スポーツイベントとしては、『新春:箱根駅伝、春:選抜高等学校野球大会、夏:全国高等学校野球選手権大会、秋・冬:なし、年の瀬:全国高校駅伝』が挙げられている。
あらためて、「野球」と「駅伝」の凄さを感じる。そして、日本における「学校を基盤とした競技スポーツ」の重みも。近年、「部活」に対する風当たりがきつい。変えるべきところは変えて、根はしっかり太く・深くしていきたいものだ。「地域密着」が流行り言葉になっているが、学校はそもそもが地域密着組織だ。学校・部活を取り込んだ望ましいスポーツのあり方が問われるべきなのだろう。そういう基盤のある競技スポーツのあり方が議論される必要がある。
日本ラグビーには「花園」がある。「花園」は、ウィキペディアの例示では取り上げられていないが、100年余の歴史を持った大切な冬の風物詩だと、世界に誇れるものだ。そういう根を基に大樹になる姿を模索すべきなのだろう。
風物詩、㈰毎年(あるいは隔年であっても)・同じ時期に ㈪多くの人びとを巻き込んで≒より多くの人びとの関心を惹き≒日常の他愛もない会話の話題になるような行事なのだろう。なにより ㈫長きにわたって行われ続けていることが肝要なのだろう。
その意味で「(広義の)年中行事」と重なる部分がある。柳田國男『年中行事覚書』は、五節供から始まる。毎年、受講生に「五節供とは?」と尋ねるが、誰も正確には答えられない。バレンタイン・ハロウィン・クリスマスは定着してきているというのに…
風物詩≒年中行事も「うつろう」ものなのだろう。
ある意味、「文化になる」とは「風物詩となる」ことでもある。
ウィキペディア「風物詩」の項、末尾の関連項目の中に「Jリーグ開幕」が掲載されている。
リーグワンが風物詩として定着するのか、そのためにはどうすればいいのか、気になる日々である。
蛇足的に…
毎年開催されるのではない4年に一度の五輪・W杯、それでも季節感がまとわりついている気がしている。ラグビーW杯の場合は、10月中心開催が定着してきた。サッカーW杯は、6・7月開催が定着しているが、今年はカタールで12月開催。どんな大会になるのか、気になっている。
令和4年2月26日
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