2019 W杯・備忘録 116
〜 FRA/IRE 〜
六か国対抗第2節、昨秋NZを破ったFRAとIREがパリで対戦した。現時点まで上昇気流に乗り・好調を保っている2チーム、今年度の六か国対抗の事実上の決勝戦。では、2023W杯ではどうなのか? IREは過去もこの時期(W杯キックオフ1年半前)絶好調、しかし、W杯ではベスト8の壁を越えられていない。4年に一度のW杯を目的地として捉えれば、まだチームビルディングの時期。勝つこと=勝ち癖を付けることも大切だけれど、負けて覚えなければならないことも多い。さらに情報化時代、サインプレーなどはすぐに解析されてしまう。化かし合いも大切なのだろう。そんなことを思いながら第2節を見ていた。
第2節のスタッツは以下のとおり。参考に昨秋のIRE/NZ、FRA/NZも付加してみた。
表-1 ボール保持率 1列目下段は得点
WAL/SCO 20 - 17 | FRA/IRE 30 - 24 | ITA/ENG 0 - 33 | IRE/NZ 29 - 20 | FRA/NZ 40 - 25 | |
勝者 | 50 | 47 | 59 | 60 | 47 |
敗者 | 50 | 53 | 41 | 40 | 53 |
IREは、㈰ボール保持率を高くして ㈪1次攻撃で巨漢を当て ㈫早いリサイクルでボールを出し ㈬10番(セクストン)の周りに複数のボールキャリアー候補を配置し ㈭10番の差配でボールを散らし=相手に的を絞らせない ㈮地域を獲得し ㈯得点を最大化・失点を最小化するチーム戦術。これがピタッと嵌まったのが、昨秋のNZ戦。今回のFRA/IRE戦、FRAがボール保持率を求めないチームでもあり、ボールは保持できたが敗北した。セクストン・ケガで不在について、Midolは影響が少ない=後継者(カーベリー)が育っていると分析していた。W杯に向けてどう仕上がっていくのか興味深い。
表-2 地域支配率
WAL/SCO | FRA/IRE | ITA/ENG | IRE/NZ | FRA/NZ | |
勝者 | 55 | 51 | 42 | 65 | 53 |
敗者 | 45 | 49 | 58 | 35 | 47 |
ITA完封負けを喫したが、相手陣で試合している時間が長い。いつ・どのチームを相手に連敗から抜け出せるのか。ENG、第4節IRE(ホーム)・第5節FRA(アウェー)、その時点でどんなチームに育っているのか。
表-3 ペナルティを犯した数
WAL/SCO | FRA/IRE | ITA/ENG | IRE/NZ | FRA/NZ | |
勝者 | 8 | 7 | 12 | 9 | 10 |
敗者 | 13 | 10 | 12 | 10 | 11 |
ENGに勝利したSCOがIREに惨敗したWALに負けた。WAL、SCOともに、力があるのかどうか分別しにくいチームだ。
表-4 相手陣22m内でのプレー時間
WAL/SCO | FRA/IRE | ITA/ENG | IRE/NZ | FRA/NZ | |
勝者 | 6m39s | 2m17s | 4m58s | 8m11s | 4m08s |
敗者 | 4m06s | 1m46s | 4m41s | 1m56s | 3m05s |
今節は順当な数字が並んでいる。
表-5 リザーブの交替ポジション・時間
各列 上段:交代ポジション 下段:時間
16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | |
WAL | 2 65 | 1 65 | 3 60 | 4 76 | 8 58 | - | 10 79 | 12 68 |
SCO | 2 45 | 1 45-63 | 3 45 | 8 31 | 4 63 | 9 63 | 12 72 | 11 79 |
FRA | 2 55 | 1 55 | 3 55 | 5 53 | 4 53 | 6 73 | 9 70 | - |
IRE | 2 25 | 1 73 | 3 73 | 20 58 | 8 53 | 9 64 | 10 79 | 12 64 |
ITA | 2 52 | 1 47 | 3 47 | 5 72 | 8 38 | 20 55 | 9 65 | 14 55 |
ENG | 2 56 | 1 65 | 3 40 | 7 65 | 5 55 | 9 55 | 13 73 | 11 28 |
第2節、リザーブをFW:6人・BK:2人にしたのが、FRAとITA。FRAはケガ人が出ず、試合前の構想通り、計画的にFWを交代させ、肉弾戦を優位に進めた。これが一番の勝因ではないかと感じている。
上記の表を眺めていると、WALとFRAだけが想定外の交代がなく、他の4チームは㈰ケガでの早期の交代 ㈪交代で入った選手がケガで交代 という想定外の事態が生じている。こういうことは「運」なのだろうか…
どうしても1番・2番・3番そして9番は「専門職」化している。逆に言うとそれ以外のポジションは「総合職(?)」化している。そうであるならば、FWとBKの「壁」が無くなってもよさそうなものだ。FWもBKもこなせるユーティリティプレーヤー、近い将来、出現しないだろうか。まずは、8番と12番・13番をこなせる選手が出現しないのだろうか。
次のW杯、リザーブ8人の構成がどうなっていくのだろうか。
( 参考-1 )
2022-6-2 FRA/IRE経過表
二列目:S:SCOの得点経過
三列目:E:ENGの得点経過
四列目:SP:SCOのP
五列目:EP:ENGのP
前半
分 | 1 | 4 | 6 | 9 | 13 | 15 | 17 | 18 | 21 | 25 | 30 | 34 | 39 |
F | 7 | 10 | 13 | 16 | 19 | ||||||||
I | 7 | ||||||||||||
FP | F | R | R | ||||||||||
IP | R | O | R | F | S | R | O | S |
試合開始早々、FRAがトライ・ゴール、次のプレーでPG、楽勝かと思いきや、次のキックオフでIREがトライ・ゴール、荒れた展開になると思いきや、それからは締まった試合に、そして、FRAがPGを三本決めて、12点差でハーフタイム。
後半
分 | 42 | 43 | 44 | 47 | 49 | 52 | 62 | 71 | 77 |
F | 22 | 27 | 30 | ||||||
I | 14 | 21 | 24 | ||||||
FP | R | R | M | R | |||||
IP | O | R |
FRAの伝統的な弱みが失点を重ねること。この後半、PGを決め、22-7楽勝ペースが連続トライ・ゴールで1点差に。ここで「踏み止まれた」ことが成長の証なのか、今後の試合で試される。IRE、やはりファイティングスピリットが顕在だった。
( 参考-2 )
2022-6-2 FRA/IRE KSLPFD図
「分」は得点時間
大文字は勝者 小文字は敗者のボール支配
K:キックオフ
S:スクラム
L:ラインアウト
P:ペナルティ
F:フリーキック
D:ドロップアウト (D*はゴールライン・ドロップアウト)
- :関連するリスタート
分 | 得点 | |
1 5 6 15 35 39 | K L k p=PG k tg K P-l l s L p-L l p=PG k p-L P-l S-p-L L P-l F l L s p-L l-f L p=PG k S-p=PG | 7- 0 10- 0 10- 7 13- 7 16- 7 19-7 |
43 44 49 53 71 77 | k L p=PG k P-l tg K P-l tg K S l T k s L S l l-P-l S L l l P=pg K f L L p=PG k | 22- 7 22-14 22-21 27-21 27-24 30-24 |
試合を通じて、リスタート機会が少なかった。スクラムはFRA・5、IRE・3、ラインアウトはFRA・14、IRE・15であった。ドロップアウトが両チーム:ゼロ。両チームキッカーの精度が高いのも印象的だった。
令和4年2月19日
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