2021年1月9日土曜日

岡島 レポート・ 2019 W杯・備忘録 59

                                            2019 W杯・備忘録 59

         ~  M45  ENG/NZ 

  大学選手権、負ければチームとしての最後の試合になる。4年生にとっては、その意味はより重い。12日の大学選手権準決勝2試合も熱のこもった好ゲームだった。

W杯準決勝を見返してみた。極上の試合は何度見ても見飽きない。

  20191026日(土)横浜スタジアムで行われたENG/NZ戦。観客数は、68,843人。ENGの完勝という印象が強く残っている。

  試合経過は次の通り。ENGの得点は「○」失点は「●」、得点を逃したのは「×」。

 

得点

種類

起点となった(リ)スタート

 

 

×

×

2

 

 

24

31

39

7 - 0

 

 

 

 

10 - 0

TG

 

 

TMO

DG

PG

ENGのキックオフで試合開始。NZがタッチに出し、ENGのラインアウトで再開。そこから7フェーズを重ねる速攻でトライ。ゴールも成功。

ENG7番がトライするも、TMOENG6番のP

ENG10番がDGを狙うもわずかに外す。

NZ6番ラックに横から入りPENGPGを決める。

××

 

 

 

×

40

45

 

 

48

57

 

62

69

77

 

 

 

 

13 - 0

13 - 7

 

16 - 7

19 - 7

PG

TMO

 

 

PG

TG

 

PG

PG

PG

ENG5番にPTMONZ5番にP

NZ・ラックでのPで得たPKをタッチに出し、ENG・敵ゴール前のラインアウトからモールを組み、9番がトライ。TMOで、モール内でのノックオンが確認されノートライ。

NZ・ノーボールタックルのPENGPGを決める。

ENGゴール前のENGラインアウトのスローが乱れ、NZ・トライ。ゴールも決める。

NZ・ラックでのオフサイド。ENGPGを決める。

NZ・モールでのサイドエントリー。ENGPGを決める。

NZ・ラックでのオフサイド。ENGPGを外す。

  トライ数だけ見れば、両チーム1。この点だけを見れば互角の試合ではある。

 しかし、ペナルティを犯した数はNZ11に対してENG5。これによって得たPKの機会にPGを狙ったのは、ENG11回中6回、そのうち4回はゴールバーを越えて3点×4回=12点を加点している。

 一方、NZ5回のPKの機会があり、一度もPGを狙っていない。狙えない地点でのPKだったということが大きい。その観点からもENGのディシプリンは素晴らしかった。

得点差は、PG×4本=12点。

 備忘録49で取り上げたスクラム:ラインアウト:ペナルティの両チームの回数は、20分ごとでは次のようになる。 

 

     ENGボール

      NZボール

   S

   LO

PKorPG

   S

  LO

 PKorPG

  0 ~ 20

   1

   4

   -

   -

   6

   2

 20 ~ 40

   2

   7

   3

   1

   3

   1

 40 ~ 60

   -

   6

   3

   1

   1

   1

 60 ~ 80

   -

   3

   5

   2

   1

   1

  計

   3

  20

  11

   4

  11

   5

  まず、スクラムの回数の少なさ。スクラムの多くは、相手の「つまらない(?)」ミスによるものである。両チームのスクラム回数が少ないと試合が「締まる」。

 ENGボールのPKPG)は印象的である。この数字は、NZPに起因する結果としての数字である。

 NZ、前半20分まで「ノーペナ」。あれだけ圧倒されながらもPを犯さないのは、やはり並のチームではない。それが、20~403回、40~603回、60~805回と増えている。追いつめられたからなのだろうか。一方で、後半のENGのスクラムはゼロ。つまらないミスはなかったということなのだろうか。

 対するNZボールのPK数は5回。ENGは崩れなかった。57分に不本意なトライ・ゴールを決められ13-7とワントライ・ワンゴール圏内に追い上げられてからのラスト20分。微動だにせず、ディシプリンを守り続けた・守り続けられたチームは、すごい!の一言。

 興味のある方は、末尾の参考の表もご覧ください。

  NZ・リード主将にとっては最後のW杯。

 大会後に出版されたNZ・リード主将の自伝「STRAIGHT8」は、第1章「IN THE

 END…The tears stopped on Monday, but the hurt refused to leave.から始まる。

  そして、第19章(最終章)「ONE LAST MISSION」の中で、次のように振り返っている。

 The ‘what ifs’ come in waves. What if I had been able to train the team that week instead of watching from the sideline? What if I had been out there just to offer a little more direction, or reassurance, or assistance? What if we hadn’t started the game so poorly? What if we hadn’t let in that Manu Tuilagi try in the first two minutes of the match? What if we had held onto the ball more, and not kicked for touch or, worse, took the ball across it as often as we did? What if we hadn’t got tight on defence? What if we had done more in the game to keep our emotions in check?

  リードがトヨタに加わったトップリーグ最後のシーズンがまもなく開幕する。どんなプレーを見せてくれるのか、これも楽しみだ。

   (参考)

両チームのスクラム、PKPG)の時間と原因

ENGボール

NZボール

 

 

S(モール・パイルアップ)

 

S(ノックオン)

PK(スクラム・コラプシング)

S(ノックオン)

 

PK(ノットリリース)

PG(ラック・サイドエントリー)

8

15

18

24

29

30

32

34

36

38

PK(ハイタックル)

PK(ラック・オフフィート)

 

PK(オブストラクション)

 

 

 

S(ノックオン)

PG×(TMOで差し替え・オブストラクション)

PK(ラック・オフフィート)

 

PG(ノーボールタックル)

 

PG(ラック・オフサイド)

 

PKTMOで差し替え・ファールプレー)

PG(モール・サイドエントリー)

PK(ノットリリース)

 

 

PG×(ラック・オフサイド)

40

 

43

45

48

53

60

63

66

67

70

72

74

76

 

 

 

S(ノックオン)

 

PK(ノットリリース)

 

S(ノックオン)

 

 

 

PK(ラック・オフフィート)

S(ノックオン)

                                                                                                     

   令和319

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