好々爺として ボケ道を 究めてゆきたいものです…
2019 W杯・備忘録 259
〜 補強する 〜
代表チームにせよ クラブチームにせよ チームを「強化」する手法の一つに「補強」という手段がある。足りないものを他から調達する≒「助っ人」を入れる。前々回 SCOとARG 似たチームになってきた と 書いていて でも違うようなぁ とも 思ってもいた。その違いの一つが 強化策にある。自国出身者で固めたARG と 他国出身者で弱点を補強してきたSCO…
2023W杯 選手登録(当初)33人の出身国を見てみると ARGは 全員 ARG出身。SCOは 他国出身者が15人(うち ENG:5人 RSA:4人 AUS:2人 CAN・FRA・IRE・WAL:各1人)。(注:『ラグビー・ワールドカップ2023メモリアルフォトブック』(世界文化社)の中の選手名鑑「出身」による。なお 2023大会公式サイトの選手紹介では「HOMETOWN」として掲載されている。ただし このサイトでは たとえば FRAの選手の内 半数近くは 「HOMETOWN」欄が「-」となっている。)
参加20チームの選手の出身を見てみると なるほど 現在の各国の状況が透けて見えてくる気がする
( 2023W杯20チームの登録選手33名の他国(地域)出身者数 )
(注)国名のあとの()内は 国(地域)数
0 :ARG、CHI、NAM、RSA
1 :FRA(NZから)、GEO(ロシアから)
2 :URG(ARGから)
4 :FIJ(4)
6 :AUS(3)、ENG(6)
8 :IRE(4)、NZ(4)
9 :POR(1 FRAから)
10:WAL(4)
12:ITA(8)、ルーマニア(6)
15:SCO(7)
17:JPN(6)、TON(2)
23:SAM(2)
SAMは NZ出身:21人 AUS出身:2人。TONは NZ出身:13人 AUS出身:4人。ENG・SCO・WAL+北アイルランドが 国としては イギリスであり 一つの「圏」を構成していると見なすと それと同じく NZ・AUS・SAM・TON・FIJは 一つの「圏」を構成している。その意味で POR・ルーマニア・(GEO)は FRA出身(おそらく二重国籍)の選手が 活躍しており FRA「圏」に含まれる とも 感じられる。南米「圏」のARG・URG・CHI、アフリカ「圏」のRSA・NAM… こういう風に考えていくと 参加20か国の中では 孤立しているのは JPNだけか。
現在 多くの国々が 「強化」のための「補強」に走っている。ルーマニアに トンガ出身の選手が4人も登録されていた! 選手ではなく コーチ陣に着目すれば 多国籍化は より深化している。ARGの前HCは AUS元HCだったし RSAのアタックコーチは前JPNコーチだったNZ出身のトニー・ブラウンだ。
ラテン系中心のFRA 伝統的に「トロくないノッポ」・「ノロくないデブ」が見当たらない。ここがウィークポイント。プロ化黎明期・2000年ごろは 現SCO・FWコーチのRSA出身:デヴィリエがFRA代表になることに Midol紙上では 賛否両論が掲載されていた。それが 今や 出身地は問わず 走れるノッポ・デブは珍重される チーム強化のために。今昔の感がある。2023W杯 3番は元U20NZ代表・アトニオが定着したが、5番は代表に定着した元U20RSA代表・ウィルムセがケガで、期待の新星・NZ育ちのサモア系・メアフーは 当時のWRの代表選手基準を満たしておらず、いずれもW杯本番に出場できなかった。5番 どちらかでも出場していたら チーム力は少なからずアップしていただろう… 2024ANSでは 3番・アトニオの後釜にトンガ系のテビタ・タタフ(日本代表と同姓同名、ただし血縁関係はないようだ)が代表デビューを果たしている。
この分野で 先行していたWAL(8番にTON出身のファレタウ 12番にNZ出身のパークス。もちろん アラウィンジョーンズらの伝統的なFW力・ノース ウィリアムスらのBK 黄金世代の存在が一番大きかったのだろう) が 近年 有効な「補強」ができずに 劣後してきた感がある。
こう書いてくると リーグワンの各チームの盛衰の一因も このあたりにある気がしてくる。そして クラブチームでの切磋琢磨が 代表チームの強化につながる。悩ましい問題と捉えるか 強化至上主義の下 迷わず 「補強」競争に委ねるべきなのか…
花園・大学選手権を見ていても 「留学生」の活躍が目に付く。ラグビーの先を行くサッカー界では FIFAが高校年代でのサッカー留学を禁止している。だから 現日本代表・久保建英は 高校年次 バルサの下部組織を離れ 日本でプレーしていた。ラグビー界 いずれの日にか 同様の措置が講じられるようになるのだろうか…
選手・コーチといった「ヒト」の移動もさることながら 情報は瞬時に世界中を駆け巡る。グローバル化は深化し続けるだろう。風土に根付いたものから沁み出してくる各国固有のラグビー文化を体現する代表チームを求めるのは 無理筋なのだろうか…
あくまでも 強化あっての補強 だと 思う… 近い将来 あるいは 中長期的に JPN どんなチームになっているのだろうか。
令和7年1月18日
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