2023年5月20日土曜日

岡島レポート・2019 W杯・備忘録 180

                                                   シーズン最終日

                                             2019 W杯・備忘録 180

~  Knock out stage ~
 
先週末、「負けたら終わり」リーグワン1部プレーオフ2試合、リーグワン12部入替戦3試合が行われた。シーズン最終日
 
513日:埼玉WK 51-20 横浜E     (レフリー・古瀬 TMO・関谷)
      三重H 13-12 GR東葛   (レフリー・川原 TMO・木村)
      花園L 56-21 浦安DR    (レフリー・久保 TMO・滑川)
514日:S東京ベイ 24-18 東京SG (レフリー・滑川 TMO・久保)
      相模原DB 43-14 S愛知   (レフリー・平川 TMO・川原)
 
前回同様、以下の表を作ってみた。
 
(表-1)先発15人の背番号別のカテゴリ
 
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
A
A
F
f
C
A
B
F
A
A
C
c
F
A
A
A
c
A
f
B
f
A
F
A
c
A
A
B
A
f
A
A
A
f
B
B
A
A
A
c
B
A
A
A
A
A
A
a
B
f
B
A
F
C
a
a
a
c
F
a
A
A
a
f
B
a
A
C
a
C
a
a
C
A
F
Ne
A
b
A
A
C
F
A
F
C
A
A
F
B
A
f
A
A
A
C
a
f
A
B
C
C
A
A
F
F
a
Nt
A
B
A
F
B
f
A
C
A
f
a
F
C
F
A
A
A
a
F
c
A
A
C
A
B
A
F
f
a
C
a
A
a
a
C
F
A
F
a
C
a
B
A
A
C
 
(注)「パ」:パナソニック 「ク」:クボタ 「サ」:サントリー 「キ」:キャノン 「菱」:三菱重工相模原 「Ne」:NEC 「近」:近鉄 「Nt」:NTT(コムとドコモが合体したもの) 「ホ」:ホンダ 「織」:豊田自動織機
A:漢字名  のカテゴリAで国内での移籍なし(=生え抜き)
F:カタカナ名のカテゴリAで国内の移籍なし
B:      カテゴリBで国内の移籍なし(全員カタカナ名)
C:      カテゴリCで国内の移籍なし(全員カタカナ名)
小文字は、国内での移籍あり
 
次に、生え抜き・移籍の割合
 
(表-2)試合登録23名のカテゴリ別人数    
 
  A
  F
  B
  C
  a
  f
  b
  c
  *
 パ
13
  4
  2
  2
  -
  1
  -
  1
95
 ク
12
  2
  3
  1
  -
  3
  -
  2
85
 サ
17
  -
  3
  1
  -
  1
  -
  1
95
 キ
  5
  3
  4
  1
  8
  1  
  -
  1
57
 菱
  8
  1
  3
  3
  4
  4
  -
  -
60
 Ne
  9
  3
  2
  2
  3
  2
  2
  -
67
 近
10
  3
  2
  3
  3
  2
  -
  -
75
 Nt
11
  2
  3
  3
  1
  3
  -
  -
80
 ホ
11
  3
  3
  2
  2
  1
  -
  1
85
 織
 8
  2
  2
  3
  7
  1
  -
  -
60
(注)「*」は、生え抜き率:カテゴリA及びBの選手のうち国内での移籍なしの選手の割合
 
 パナソニック・クボタ・サントリーは、好循環に国内の「いい選手」をリクルートし・成長させてきて、かつ、世界トップレベルの「助っ人」を効果的に適所に配置している。対称的なのがキャノン。急普請で選手を「搔き集めてきた」感がある。持続可能性、どうなのだろうか?
上位チームに比べ、入替戦出場チームが未来に向けてどう強化していくのか、特にかつて上位にいたNEC・近鉄の今後が気になる。
 
年齢階層について、まず、一つ目の区切りとして「30歳」を置いてみて、30歳以上の人数を表にしてみた。
 
(表-3)試合登録中30歳以上のカテゴリ別人数
 
  A
  F
  B
  C
  a
  f
  b
  c
 計
 パ
  3
  2
  -
  2
  -
  1
  -
  1
  9
 ク
  3
  -
  1
  1
  -
  3
  -
  1
  9
 サ
  5
  -
  -
  -
  -
  1
  -
  1
  7
 キ
  2
  -
  1
  1
  4
  1
  -
  -
  9
 菱
  -
  -
  1
  2
  2
  3
  -
  -
  8
 Ne
  3
  -
  2
  2
  1
  2
  2
  -
12
 近
  1
  1
  -
  3
  1
  1
  -
  -
  7
 Nt
  4
  -
  1
  3
  -
  2
  -
  -
10
 ホ
  3
  -
  -
  -
  1
  1
  -
  1
  6
 織
  2
  -
  -
  3
  1
  1
  -
  -
  7
 
もう一つは、個別チームについて、青(~26歳)・壮(27歳~32歳)・老(33歳~)と置いてみて、それぞれの人数を表にしてみた。
 
(表-4)試合登録23名の年齢階層
     パナソニック              キャノン
 
 青
 壮
 老
 
 青
 壮
 老
漢字名
   4
   8
   1
   4
   6
   3
カタカナ
   1
   7
   2
   4
   4
   2
 
     クボタ                 サントリー
 
 青
 壮
 老
 
 青
 壮
 老
漢字名
   6
   4
   2
   8
   9
   -
カタカナ
   4
   3
   4
   1
   3
   2
 
     ホンダ                  NEC
 
 青
 壮
 老
 
 青
 壮
 老
漢字名
   4
   7
   2
   6
   3
   3
カタカナ
   4
   6
   -
   3
   5
   3
 
     豊田自動織機               三菱重工相模原
 
 青
 壮
 老
 
 青
 壮
 老
漢字名
   7
   6
   2
   7
   4
   1
カタカナ
   3
   5
   -
   -
   8
   3
 
     NTT                   近鉄
 
 青
 壮
 老
 
 青
 壮
 老
漢字名
   6
   6
   -
   6
   5
   2
カタカナ
   1
   7
   3
   3
   5
   2
 
 
***************************
 
クボタ/サントリー 凄まじい・筋書きのない・記憶に残る戦いだった。両チームの熱量が桁外れで、それがノーサイドのホーンが鳴り響いた後も続いた。いろいろな批判がいろいろな観点から出てくるのも必然な気がする。
 
以下、私見を少々。
まず、4分サントリー・4番へのレッド。悪意はないが悪質である。厳罰が至当。日本代表でもあり、なぜ自ら防げる・防ぐべき「愚行」をしたのか?試合開始のキックオフ・ボールをキャッチしたのが4番・チョークタックルを受けマイボール化にしくじり・相手ボールスクラムでリスタート⇒このスクラムでサントリー1番が落ちて(≒4番も多少の責任がある)「P」・相手PGが外れドロップアウトで再開⇒ここからの展開の中でボールキャリア・相手1番の頭を直撃しレッド。常に体を張り続ける素晴らしい選手だが「愚行」は「愚行」。おそらく、キックオフから思い通りいかずに(≒小さなミスを積み重ねて)「頭に血が上っていた」状態で「我を忘れた」のでは… 前日、パナソニック・3番(日本代表)もヘッドコンタクトでイエロー(これも防げた=やってはならないプレー)。Knock out stageの魔物なのだろうか。
事後、サントリーは1人少ない状態でほぼ80分間を戦った。観客目線からはレッドで1人欠いた状態がノーサイドまで続くのはいかがなものか(①試合がつまらなくなる ②勢力均衡こそラグビー本来の姿など)という意見がよく聞かれるし、WRもレッドの罰則の軽減化を検討しているようである。しかし、この試合は少なくとも「つまらなくはならなかった」。
観客目線ではなく、選手目線(とりわけ健康面)で考えてみた場合、被害者のクボタ・1番はHIAでアウト(かなりの身体的ダメージ)・交替選手が入って試合が続いた。それだけでなく、次戦・20日決勝23名のメンバーに入っていない(レギュラーシーズン16試合中13試合に出場⇒コアメンバーの一人)。ヘッドインジュリーを回避する(現時点で最優先課題である)ためには(選手目線>観客目線)「厳罰」を存続させるべきだ。
また、チーム目線から見ても、消耗度の激しいプロップが開始早々退場することは①交替選手の負荷が極めて重くなるだけでなく②仮にこの交替選手がケガなどでプレーが続けられなくなればスクラムが「アンコンテスト」になるなど派生して出てくる悪影響もある。そういう意味で、被害者チームの被害は大きい(カードに関しては、どうも加害者チームの人数減がよく取り上げられるが、被害者チームの実損が取り上げられることは少ない。しかし、レッドの一部は、被害者及び被害者チームの実損は大きい)。この点からも「厳罰」を継続すべきだ。そもそも、ラグビーのルールが定められた時から「退場」は規則化されていた。
 
TMO6回。たしかに多い。では、現在のこの国で、レフリー・滑川、TMO・久保よりも「うまく」裁ける人はいるだろうか? 「ないものねだり」をしても仕方ない。彼らは日本ラグビー史上で見ても傑出した能力の持ち主だ。TMO6回のうち2回は、スクラムハーフのノックオン・スローフォワードの見落としでのトライ・キャンセル。これには驚いた。二人とも選手としてのポジションはスクラムハーフ、特に、滑川は高・大・社会人とトッププレーヤーであった(現在32歳。選手としても現役でもおかしくない)。そんな並外れた能力を持っている者が、ある意味では実に簡単な見落としをしたのはなぜか?「下手」だからではない。でも向上の余地はあるはずだ。どうすれば向上してゆくのか。
 
そもそも、世界のトップレフリーと比べて「下手」なのか? 必ずしも大きな内外格差があるとは思えない(内外よりも国内でのレフリー間の差の方が大きい、海外でもレフリー間の格差は大きい)。122日東芝/トヨタを吹いたベリー(AUS)。現在、世界最高級の「うまい」レフリーだ。しかし、「P」の数が少ないからうまいわけではない。この試合、両チームとも「P」は「8」。「P」の数だけで見れば、319日パナ(P9/三菱重工(P7)レフリー・関谷、324日東芝(P8/リコー(P8)レフリー・久保も同じ数字だ。122日三菱重工(P14/ヤマハ(P16)を吹いたのはガードナー(AUS)。彼は「下手」なのか?少なくとも今年のW杯のレフリーに選ばれている。ここ数年、ベリーの笛を見ていて、格段にうまくなったのは、2021夏のライオンズ/RSA1戦を吹き・その直後RSA・エラスムスからSNS上で批判されてから。この批判に対して、WRからエラスムスに懲罰がなされたが、彼のレフリング向上につながっている。
 
「目利き」がきちんと建設的な批判をすることは有益だ、と考えていくと、日本のレフリーに欠けているのは、大音量で敵意剥き出しの大観衆の下での試合経験と目利きの建設的な批判にさらされていないことではないか。
 
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Midolの記事から。昨秋2部「日野」に加入したアーノルド(AUS)が日野の活動停止・試合経験不足からW杯スコッド入りが出来なかった。スーパーラグビーに参戦しようとしたが、保険料が高くて契約に至らなかったとか。エディー・ジョーンズ(AUSHCは「日野でラグビーをせずに車を作っている選手は召集に値しない」というような発言をしたらしい。気の毒な話だ、で済ませていいのだろうか。
 
令和5520

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