2023年5月6日土曜日

岡島レポート・2019 W杯・備忘録 178

           八ヶ岳に来ています。 目に青葉 ♪若葉のささやき♪ 新緑が目に沁みます、。
 
2019 W杯・備忘録 178
〜  セミ・ファイナル 〜
 
先週末行われた欧州クラブチャンピオンカップをフランス語放送・TV5の実況中継で見た。第1試合レンスター(以下「LEIN」)41-22トゥールーズ(以下「TLS」)、第2試合ラロシェル(以下「LAR」)47-28エクセター(以下「EXE」)、いずれも大差がついた。得点差は同じようなものだが、試合内容は大きく違っていた。
 
LEIN 41-22 TLS
先発15人ほぼ全員がIRE代表というLEIN 対 FRA代表に他国代表(AUSENGARG)の加わったTLS。結果としては、LEINIREの強さが際立った。なぜ強いのか?
15人が有機的に連携し・一つのマシンのように・「目的に向けて」・無駄なく最速のポジショニングで・与えられたタスクをミスなく誤差なく黙々とこなして続け・相手のほころびを有効に衝いてゆく。高速かつ正確、彼らの「速さと精度」に対応できるチームは滅多にない。だから、IREは現在WRランキング1位である。
TLSは対応しきれなかったのか? YesでもありNoでもある。誤算だったのが、14分:13番の負傷交代(試合前、解説者が指摘していた最悪シナリオ)。リザーブ:FW6人+BK2人の中から22番(=スクラムハーフ)を投入し、デュポンがスタンドに・ヌタマックがセンターにずれる。必ずしもこの布陣が機能しなかったわけではないが、一つのターニングポイントであった。
直後、攻め込まれ、TLS15番・デリバレートノックオンでイエロー・10分間のシンビン(試合後の会見でHCは「少し厳しい判定だった」と振り返っている)。その10分間に2トライ・2ゴール=14点を失う。
後半24-17と追い上げた直後、TMOTLS17番のファールプレーが発覚しイエロー・10分間のシンビン。この10分間にも2トライ・2ゴール=14点を失う。
つまり、80分のうち20分間は15人対14人、その間LEIN 28-0 TLS15人対15人の60分間ではLEIN 13-22 TLS
2枚目のイエロー、㈰TLSボールのラックでボックスキックを蹴る体制に入る ㈪そのラックの先端の選手の頭目掛けてLEIN7番が胸からあたりに行き跳ね返される ㈫立ち上がった7番が少し体を沈めて、より遠いところから勢いをつけ、再度、先端の選手の頭に顎が当たるように当たりに行く ㈬先端の選手の頭が顎に当たり大げさに倒れる ㈭笛を吹かれることはなく TLSのボックスキック プレーは続行されるも ホームのサポーターから大ブーイングが起こる ㈮ボールは動き続け ノックオンの笛で ゲームが中断する ㈯大ブーイングの圧力の下 TMOでの㈪〜㈬の映像が場内に流され ブーイングの熱量がさらに増す ㉀とりわけ㈬が再三見返される。
まるで「プロレス」会場のようだと感じてしまう、と書くとプロレスに失礼か。フランス人のテレビ解説者(現TOP14のチームのコーチ)は ㈰7番・実にクレバーなプレーと高く評価し ㈪これがIREの強さの秘訣だと熱を込めて語る。翌日のMidolでは、㈪〜㈬の7番の行為を「カミカゼ的」と形容し、少なくとも「喧嘩両成敗」双方イエローではなかったか、と振り返っている。
ある意味でショックを受けたのが、関係者全員が「ファールプレーを誘う挑発するプレー」を容認し・かつ・それを暗に推奨していること。興味深いのは、試合直後の記者会見でTLSHCとキャプテンは記者からの質問に対して「40点も取られたんだから…」としてレフリーに対する恨み言は一切口にしていない。まるでChat-GPTの模範解答だ。プロ化したということは、こういうことかと痛感する。ひと昔前であれば、試合後の会見で負けたチームは激情にかられ後先考えずにレフリー批判をするのが常套だったのに…
なんと言っても、この7番、昨年のWR世界最優秀選手に選ばれている。意図してイエローを取りに行って成功している。おおげさに倒れた後、HIAも受けず、プレーを続け・次のリスタートからトライゲッターになっている。IREの強さの秘訣がここにもある! 先述の「目的に向けて」は、トライを取る≒得点を取るなんていう牧歌的なことではなくて、Pを取る・あわよくばカードを出させることである。参考のKSLPFD図を見てもらうとわかるが、LEINの得点は直前に相手のPがある。
こういう風に考えるに至ったのはもう一つのプレーが気になったからでもある。34分のTLSのトライに至る流れの中で、LEIN1番(RSA出身のIRE代表)がTLS14番(ARG代表)に危険なタックル(持ち上げて頭から落とす≒原則レッド)を見舞った(何度かDVD・スローで見返してみた)。しかし幸か不幸か、健気にも(?)14番すぐに立ち上がってプレーに参加した。もし仮に彼が倒れたままであれば、確認対象になって・カードが出された可能性が高い。そして、ブーイングが大きければ、レフリー団も無視できなくなる。ところが、、ダブリン・LEINのホームの試合でTLSサポーターは少数。レフリー団のホームチーム(⇒スタンド全体の観客)への「忖度」が働くことは十分に考えられうる。この点でバーンズはすごく長けている。問題なのは、TMOがあるにも拘わらず、危険なプレーが見過ごされることにある。だから、各チームは、LEIN7番のように演技賞ものの倒れ方を推奨し、化石化したTLS14番のような健気なプレーが消えてゆく。そう思えてならない。
観客のブーイングも一役買っている。自チームに対する危険なプレーに対しては、即座に、無条件反射のように声を上げる。そのボリュームの嵩によってレフリー団の判断が微妙に変わる。その僅かなことで試合が大きく動く。こう考えていくと、TMOの映像を会場全体に流すのは果たして「良い」ことなのだろうか。日本のプロ野球のリプレイ検証は審判団だけが見て判断している。サッカーのVARも同じように観客無視である。
責められるべきは誰なのか? いや こんな化石のような問いを立てることがナンセンスなのかもしれない。現実を受け入れ・愉しむしかないのだろう。高度資本主義の世の中、目的を適切・的確に設定し、目的合理的な行為を感情を交えず黙々と遂行することが求められる。後先考えず・怒りからの行為≒「おバカなプレー」は高くつく。Integrityは謳い文句・呪文に過ぎず、結果とは無関係だ。そして、結果がすべての世の中・結果だけが記録に残される。
W杯終了後、LEINHCは現RSAHCニーナバーに代わる。そのニーナバー、W杯のIRE/RSA戦でどんな手を打つのか、そして来シーズンからのLEINがどう進化するのか、楽しみではある。
 
LAR 47-28 EXE
現在ENGプレミアリーグで6位のEXE、やはり実力的には他の3チームに劣っていた。
この試合のマンオブザマッチはLAR13番セウティニ。サモア代表である。昨年まで在籍したボルドーで頭角を現しトッププレーヤーになりつつある。W杯、JPN戦では活躍してほしくないものだ…
 
 
LEIN/TLSを吹いたのがバーンズ(ENG)、LAR/EXEを吹いたのがペイパー(RSA)。2019W杯の決勝ラウンドで吹いた二人が、やはり吹いている。バーンズの笛には、試合のたびに負けたチームから多々の批判が沸き起こっているが、それでもほかに代わる人がいないことを批判している人びとも理解している。大試合で吹かれる可能性のあるチーム関係者はあからさまな非難は絶対にしない。この掟破りをしたのが、一昨年来のRSAのエラスムス。その結果、国際レフリー団を敵に回し、事後、RSAに不利な笛が多発しているとかなりの人びとが感じている。はてさて、W杯で誰が吹くのやら。
 
 
( 参考 )
2023-4-29 LEIN/TLS KSLPFD
大文字は勝者 小文字は敗者のボール支配
 
 
得点
4
8
12
16
20
26
34
k L p-PG
k l F l(50) t(12)g
K L p-PG
k L S p(Y)-L T(8)G
k p-L T(8)G
k p-L TMO d* l T(2)G
k l S-p-L P-l P t(5)g
K L(50) P l
3- 0
3- 7
6- 7
13- 7
20- 7
27- 7
27-14
55
57
63
82
K s l P-l S s l L p-L l S-P-pg
K TMO-p(Y)-L T(7)G
k l L p-L T(19)G
k S-F s-P-l l S P L s L l P-l t(6)
27-17
34-17
41-17
41-22
 
 
2023-4-30 LAR/EXE KSLPFD
「分」は得点時間
大文字は勝者 小文字は敗者のボール支配
 
 
得点
5
8
22
31
38
k P-l P-l P P t(8)g
K T(11)G
k P-l l S S-p-L s-F-S T(13)G
k L p-L l TMO-P-l p-L p(Y)-S T(8)
k l P-l S T(9)G
0- 7
7- 7
14- 7
19- 7
26- 7
43
53
58
67
69
74
K L T(11)G
k P-l p-L s-p-L S-p-L T(2)G
k t(18)g
K S p-L s-P-l S T(9)G
k t(11)g
K P-l S-P-l tg
K s-p-L TMO P-l
33- 7
40- 7
40-14
47-14
47-21
47-28
 

令和556 

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