金沢21世紀美術館(21美、金沢市)が9日、開館10周年を迎えた。アートを目的とした旅の形を作り出したともいわれ、入館者総数は1400万人を突破。街の形も徐々に変えつつある。「人気の美術館ランキング1位」(2012年、フォートラベル調べ)「外国人が選ぶ! “行ってよかった”クールジャパンスポット8位」(13年、トリップアドバイザー調べ)人気ランキングの上位にしばしばあがる21美は04年に開館し、08年からは入館者は市人口の3倍を超す年間150万人前後を維持。開館7年の11年8月には、地方として驚異的なペースの累計1千万人を突破した。その7割を県外客が占める(昨年の入館者アンケート調べ)。
9月中旬、大阪府枚方市の中村京佳(みやか)さん(29)は長男(4)に「現代アートに触れさせたい」と、夫(28)とともに6年ぶりに訪れた。自身は3回目。「日常と違っていて、引き込まれる感じです」立地するのは、兼六園や香林坊(こうりんぼう)などがある市中心部の小中学校跡地。県庁が移転し、さらなる空洞化を防ごうという狙いがあったが、「現代美術館は歴史と伝統ある金沢の街にそぐわない」と批判が相次いだ。しかし、ファンクラブにあたる「友の会」会員約1800人のうち、今では県内が8割を超す。4年前に入会した金沢市の元病院職員、丸田外美江(とみえ)さん(65)は現代美術になじみがなかったが、21美へ向かう人の流れに気付いた。「試しに行ってみると、開かれた感じがして興味を持った」。21美の秋元雄史(ゆうじ)館長(59)は「街が現代アートの美術館を受け入れてくれたのが大きかった」と話す。21美が生んだ人の流れは街を変えつつある。近くの商店街の新木(あらき)久雄理事長(66)によると、周辺でアート作品を販売する店やギャラリーは開館前の1、2軒から5、6軒に増えた。09年に設立されたNPO法人「金沢アートグミ」は、市民や観光客に市内の美術店やギャラリーを巡ってもらう「アートスペースリンク」を毎夏に実施。3回目の今年は26店が参加した。上田陽子理事(28)は「金沢で活動したいという作家が増え、それに応えるようにギャラリーも増えた」という。朝日新聞Digital
0 件のコメント:
コメントを投稿