2023年12月1日金曜日

岡島レポート・2019 W杯・備忘録 201

 月日の経つのは 早いもの!?  早いと感ずるのは 歳のせい?!

2019 W杯・備忘録 201
〜 M42 NZ/IRE 1 〜
 
見るたびに、新たな発見がある。
2023W杯準々決勝NZ/IRE、歴史に残る名勝負。
IREのキックオフで始まった。
 
k:㉂〜4・R・98・R=p(㈰)、PK12TKL6→9→12R・9→10HP14タップ→㈪ノックオン⇒S-p  (文末(注)参照)
 
印象に強く残っていたのは、NZ・9番・「パスの名手」アーロンスミスの2度連続のパスミス、そして、NZ12番・ジョーディバレットのPKのキックミス、さらにはNZ10番・モウンガのキックミス(これは、IRE10番の猛スピードのダッシュによるもの)。NZ、「ありえない」ミスを連発した!
IRE、試合開始のキックオフを取り・相手陣に入り・相手がミスを連続して犯す、という絶好の「入り」だったのに、そのチャンスを生かすことが出来なかった。
なぜか?
一つ目は、NZボールラックへのIRE1番・ポーターがサイドエントリー(or寝てプレーした)でPを取られたこと。二つ目は、モウンガのミスキックをキャッチ出来ずにNZ14番がタップしたボールにIRE2番が軽く触れ・ノックオンしたこと。三つ目には、NZボールスクラムでIRE1番・ポーターの(押し方の)アングルでPを献上したこと。
ノックアウトステージの試合の入り、両チームともに、「魔物が憑いたかのように」日頃犯さないミスを連発している。
ここから両チームとも、「憑き物が落ち」、試合に入っていった!?
 
ただ、試合を通して見てみると、この最初のP、実に大きかった。
どういうことか?
直接的には、NZPKをタッチに出し・マイボールラインアウトを獲得し・フェーズを重ね・相手陣に迫り・再度IREPを犯し・PGを決め・先制点を獲得したこと。
それ以上に、試合そのものを左右したとも思えるのが、IREのスクラムワーク。この試合、以前にも書いた通り、IREボールスクラムは「0」。NZボールスクラムが5回あったが、そのうちの3回はIREの「P」。よく言われているように、㈰レフリーとのコミュニケーションが重要 ㈪レフリーの笛に合わせることが重要、という2点をIREは出来なかった。まず、レフリーとのコミュニケーションがうまく取れないので、なぜPなのか、おそらく理解できなかったのではないだろうか。だから、修正しようもなく、結果として3回のPを犯している。
バーンズの自伝を読んで得心がいったが、IRE・キャプテン・セクストンの頭脳には「レフリーとコミュニケーションを取り・良好な関係を築く(≒愛想を振りまく・媚びを売る)」というような考えは一切ない。レフリーは謹厳実直にルール通り吹けばいい、それ以上でもそれ以下でもない。だから、レフリーがミスったと感ずると激昂する。2023欧州クラブ戦手権決勝:セクストン他IREの主要メンバーが属するレンスター対ラロッシェルの試合で、ケガでスタンドにいたセクストンがレフリー・ペイパーに暴言を吐き・出場停止処分を喰らっている(この件に関して、バーンズの自伝でもかなり詳しく取り上げている)。そもそも、前年も両チームの決勝になり、バーンズが笛を吹いてラロッシェルが勝利した。レンスター側は笛で負けたと信じていて、2023決勝ではバーンズの笛を忌避した、とMidolでは報じていた。
 
バーンズが吹いた試合で勝った場合、バーンズは忘れられ・自分たちが(強いから)勝ったと記憶される。
バーンズが吹いた試合で負けた場合、バーンズの笛で負けたと記憶されることが多い。
だから、人びとの記憶の中のバーンズは「良きひと」ではない。今大会WAL/AUS戦で隣に座ってた豪州人が、試合前バーンズが紹介された時にブーイングして「なぜ?」と尋ねたら「だって、みんなバーンズのこと嫌いだろ」ということが思い返される。
レンスター・IREの選手たちの心の片隅にこうした記憶(=バーンズに対する不信感)が残っていても不思議ではない。
 
だからか、俺様セクストンをサポートすべき・レフリーに対して愛想のいい選手が見当たらない。そもそも、みんなロボット化している… スクラムに関しては、IRE2番が若いこともあり、スクラム一列目がレフリーと話せていない…
 
また、バーンズのこの試合におけるスクラムマネジメントを見ていると、事前のNZのロビイングが成功したのだろうと感ずる。バーンズの自伝の中でも、試合前日に両チーム関係者と個別に話す機会が必ずあり、多くの場合、スクラムに関して話題になることが多いと書いている。今大会中、Midolでは「(レフリーに対する)ロビイング」という単語がよく飛び交っていた。この点でもIREは劣後していた気がする(=やれることをやらなかった…)。バーンズの笛の「癖」を解析し・それへの対処法をチームに落とし込む、という作業が完遂してなかったのではないだろうか…
 
(注)
これまで書いてきたKSLPFD図では、セットプレーだけが記されていて、セットプレーからの動きが省略されてしまうので、もう少し書き込んでみたらそうなるか、というのを考えているところです。
 
k:㉂            「小文字・○はIRE、キックオフをIRE10番が蹴る」
〜              「〜はボールがキックされた状態」
4・R            「NZ4番がキャッチし、R=ラック」
・9→8           「NZ9番が8番にパス(→)」
・R=p(㈰)、       「NZラックでIRE1番がP
PK12TK〜        「NZ12番がTK(タッチキック)を蹴る」
L6            「NZラインアウトで6番がキャッチ」
→9→12R・9→10HP  「NZ10番がHP(ハイパント)
14タップ→㈪ノックオン⇒
S-p             「NZスクラムでIREP
 
令和5122

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