2019W杯・備忘録 5
~14人で戦うということ~
元フランス代表HC・ダニエル・エレロ(Daniel Herrero)著の『ラグビー愛好辞典(Dictionnaire amoureux du Rugby)』「腕立て伏せ(Pompes)」の項は、次の一節で終わっている。
*** ニュージーランドでは、練習中に一人のプレーヤーがミスしたとき、コーチは練習を止める。そして、各人に50回の腕立て伏せを命じる。全員、でもミスした一人を除いて(仮訳) ***
レフリーがポケットに手を入れ、厳かにカードを天にかざし、そしてプレーヤーに突き付ける。試合の重大な転換点。
その時、心の中で「なんてバカなことをしてくれたんだ!」と舌打ちするのか、それとも「奴の分まで体を張るぞ!」と熱くなるのか、ワン・チーム度を測る絶好の機会となる。
一方、一人多いチームは、相手チームのどこに歪みが生じるのか、それを見抜き・戦術に落とし込み・実行に移せるか、が問われることになる。
今大会、一枚もカードを突き付けられなかったのは、JPNとSCOの2チーム。
JPNは、相手チームにイエローカードが突き付けられたのが2試合あった。
① SAM戦、25分にSAM・7番にイエローカード・10分間のシンビンの間に、28分・1T(13番ラファエレ)・1Gを上げている。この結果、シンビン前9-6から16-6に点差を広げた。しかし、33分、ペナルティを取られ、SAMがPGを狙うも外す。34分にもペナルティを取られ、PGを決められ、16-9と差を詰められた。
② RSA戦、10分にRSA・1番にイエローカード・10分間のシンビンの間に、PGを決めた。この結果、シンビン前に0-5だったのが、3-5と点差を詰めた。
まずますの「試合巧者」と評価できよう。
まずますの「試合巧者」と評価できよう。
カードを突き出すレフリーで見てみると、予選リーグでの実績は、
オキーフ(NZ)3試合でイエロー・1枚、
ガードナー(AUS)3試合でイエロー・1枚、
ベリー(AUS)4試合でレッド・1枚、イエロー・2枚(レッドに)、
ウィリアムズ(NZ)3試合でイエロー・1枚、
ペイパー(RSA)2試合でイエロー・1枚、というのが南半球のレフリー。
これに対して、準決勝・決勝の笛を吹いた
ガルセス(FRA)3試合でイエロー・6枚
もう一つの準決勝を吹いたオーウェンス(WAL)4試合でレッド・1枚、イエロー・1枚
三位決定戦を吹いたバーンズ(ENG)4試合でレッド・2枚、イエロー・1枚となっている。
「流す」南半球、「けじめをつける」北半球なのか…
レッドカードを受けたプレーヤーの出場停止期間を決定するDCのレポートの中に、Effect on match という欄がある。
対ENG戦で敗れたARGのロック・ラバニーニの欄は、次のとおりである。
「 The Player’s Ordering Off undoubtedly had an effect on the outcome of the match. The Player was ordered off the playing enclosure in the 16th minute of the first half of the match. At that time the score was England 5, Argentina 3. Thereafter, Argentina had to play with 14 Players. At full time the score was England 39, Argentina 10.」
的確に敵の弱点を突くENG!
対SAM戦で勝利したIREのセンター・アキの欄は、次のとおりである。
「 The Player’s Ordering Off did not have any discernible effect on the outcome of the match. The Player was ordered off the playing enclosure in the 28th minute of the first half of the match. At that time the score was Ireland 21, Samoa 5. Thereafter, Ireland had to play with 14 Players. At full time the score was Ireland 47, Samoa 5. 」
さすがIRE、14人で52分間戦い失点ゼロ、素晴らしい!
「 None, save that the Player’s dismissal probably contributed significantly to France losing this quarter final World Cup match. 」
None、なのか…
試合後、FRAのロック・ルルーは、取材陣にこう言った。
「一番辛い思いをしているのは、彼(バーマイナ)なんだ。」
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