2011年4月18日月曜日

〖柳の湯〗河北新報の記事から。

手作り風呂 笑顔沸く/漁師・柳橋浩哉さん(29)=石巻市

柳橋さん(左)が造った「柳の湯」。入浴に来た子どもたちも楽しそう=7日、石巻市狐崎鹿立屋敷
◎浜は家族 もう一度海へ

 「ぬるぐねぇがぁ~」 湯加減を尋ねると、子どもたちの元気な声が「ちょうどいいよ~」。
 牡鹿半島にある石巻市狐崎の鹿立(すだち)浜。脱サラ漁師、柳橋浩哉さん(29)は、にわかに風呂屋の主人になった。
 「みんなに喜んでもらえるのが何よりだよ」
 鹿立浜と隣の福貴浦の集落は、3月11日の津波で壊滅的被害を受けた。住民約140人が集会所や民家、水産会社の倉庫に身を寄せる。食料は心配ないが、水道や電気の復旧が遅れ、3週間以上も入浴ができずにいた。
 柳橋さんも被災者の一人。風呂造りを思い立ったのは3月下旬だ。浜に流れる小さな沢を設置場所に選んだ。漁師仲間の平塚友洋さん(25)の手も借り、壊れた家の風呂おけを運び、側溝のふたやドラム缶で釜をこしらえ、完成まで約1週間。
 「途中、実際に入ってみながら工夫を重ねた」という。沸かした湯をホースでおけに流せるようにし、女性が気兼ねなく入れるためのカーテンを付け、風呂釜のドラム缶も2本に増やした。
 待望の「風呂開湯」のニュースは集落中に知れ渡った。「久々の風呂。生き返ったよ」「ありがとう。お世話さま」。住民たちは開設者に敬意を表し「柳の湯」と呼ぶ。

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