2011年12月2日金曜日

外村さんからの情報です。

おはようございます。日本ビジネスインテリジェンス協会の「真形 久視」さんが
最近の原発事故その後の情報を、素晴らしいインテリジェンス分析された記事を戴き
ましたのでみなさまにもお届けします。

      東電発表の「福島原発メルトダウン」情報

今週、東電の福島原発第一に関する2つの重要情報発表について、相変わらずの東電
の隠蔽体質による事実の矮小化を図ろうとする“後出しジャンケン”的な報道姿勢に関し
憤りを覚えています。以下述べたいと思います。

1.溶融核燃料は格納容器の底部にまで達していた。
東電は30日、第一原発原子炉内で、溶け落ちた核燃料がどうなっているか推定した
 結果を発表しました。1号機では全量が圧力容器を突き抜けて格納容器に落下。
そこに敷かれたコンクリートを、場所によっては鋼鉄製の容器の壁から37センチの
 ところまで浸食したという。
2号機では、燃料の最大57%、3号機では同63%が溶け落ち、格納容器の床を
2〜20センチ浸食したと試算した。これらの事実は今になってようやくもっともら
く説明されていますが、東電は恐らく3月12日事故発生時点から1〜2週間後には、
 殆ど80〜90%の確率で推定されていたものだと思います。
しかし、このことは伏せて「工程表」においては、「冷温停止」は圧力容器の底部が
 100度以下になるのが条件の一つであり、年内には目標達成が可能であると言い続け
 て来ました。反原発学者も私でも、この「冷温停止」の定義はおかしく、これを達成し
 たとするのは意味がないと言い続けて来ました。
さて正式に溶融燃料は1号機ではほぼ100%が格納容器の底部に、2号機と3号機
 では、ほぼ半分が圧力容器底部に半分が格納容器の底部にある状態が分かって、これら
 全体の状況を「冷温停止」とは名づけ難く、今後一体これを何と表現するのでしょうか?
圧力容器底部の温度は100度以下、格納容器も空間は40度位とのことですが、格
容器内の燃料は水に浸されていて、現在更にコンクリートを浸食する状況にはないよう
 です。ただ、2号機の格納容器の一部は11月でも約400度と高温であるとのことです。
もう一つの問題は、格納容器の底部コンクリートに燃料が溶け込んでいることによって、
 廃炉作業に向けての“燃料の取り出し”が一段と難しくなったことです。
 米スリーマイル島原発事故は燃料は圧力容器内に留まっていましたがフクシマ事故は
 3基とも格納容器にあるのです。燃料の回収は極めて難しく、取り出す技術は未経験の
 分野で、これから技術開発がなされねばなりません。前途多難です。
多分、12月17日には恒例の「改訂工程表」が発表されるでしょうが、果たして「冷
 温停止」については年内目標達成と言うか、「廃炉計画」についてはどのような“燃料取
 り出し計画”が記載されるのか、大変注目されます。

2.吉田第一原発所長退任。
東電は11月28日、所長吉田昌郎氏が病気療養のために入院したと発表しました。
東電によると、吉田所長は先月14日まで同原発で勤務、先月中旬に受けた健康診断で
 病気が見つかり、15日に離れた。吉田氏は21日に西沢社長に入院加療が必要と申し
 出て、24日に入院した。
東電はプライバシーを理由に、病名の他、放射線量物質の被曝線量につい「公表できな
 い」とし、病気と被曝線量との因果関係も「ないものとみているが不明」と話した。
以上の東電の発表を見て東電の対応に何か不自然、不誠実なものを感じませんか?
吉田氏は11月12日に原発内で初めて記者らの取材に応じ、「“冷温停止”に向かっ
 て丁寧に説明していく」又「(放射線量は)それなりに浴びている」と話していました。
その3日後には、職場を離れたことになります。中旬に受けた健康診断とはいつ受けた
 のでしょう?13,14日しかないことになります。そして15日には職場を離れてい
 ます。それ程の緊急を要する病気とは大量被曝線量による急性のものと推断されます。
 三大疾病である、通常のがん、心臓病、脳系統疾患でこれ程緊急の処置は多分取らない
 でしょう。吉田氏は3・11原発事故以降現場に詰めきり、不眠不休の努力をしており、
 相当の被曝線量をしているものと誰でも想像します。
吉田氏は言うなれば、原発事故対策の最重要人物であり、その行為は公人としての行為
 であり、その地位は正に公人です。その人が健康上の理由で職をはずれて退くと言うの
 であれば、その内容まで公表することは止むを得ないのではないでしょうか?
東電がひたすらプライバシーを理由に拒み続けるのは反って「疑心暗鬼」を生み、憶測
 を呼ぶことになると思います。
現にインターネット、ブログ等では既に色々と憶測が飛びかっているようです。
東電は、記者の「非公表は吉田所長の希望なのか?」との質問に対しては「(本人の意
 思は)不明だが、本人は“治療に専念したい”と話している」とはぐらかしています。
ここにも東電の都合の悪い事実(吉田所長に限らず、大量被曝による職場離脱者の存在
 の増加)を隠そうとする意図が働いていると思います。
 私は、本人の同意を得てはっきりと病状、病名を公開するのが、東電の社会的責任であ
 ると思います。(恐らく吉田氏には公開の意思はあっても東電トップからの指示を受け
 て、沈黙を守っているのでしょう)
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外村 孝史(Tomura Koshik_tomura@mtf.biglobe.ne.jp
早稲田大学理工学術院総合研究所(理工研 55s-04-02b
プロジェクト研究「中小企業連携・支援研究」
連絡先 〒108-0072東京都港区白金二丁目5-12-1102
Tel/Fax 03-3280-5186 携帯090-5207-6098
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