2023年7月18日火曜日

岡島レポート・ 2019 W杯・備忘録 187

                                             2019 W杯・備忘録 187

~  常識 ~
 
汗が噴き出ている暑い日、「水を飲むな!」と言われ・素直に従っていたことを思い出す。
 
「デブ」は走らない!? 走らない「デブ」の姿形は、すぐに浮かんでくる。華麗に走る「デブ」は、にわかには浮かんでこない…
ともかく、「デブ」が走れば戦力になる、すごい戦力になる。
Midolを読んでいたら、ガルティエFRAは、「重くて・機動的な」FWを目指してきた、とあった。その一つの到達点が、今年の六か国対抗FRA/IREFWの総重量がFRA953kgIRE881kg、とのこと。
欧州クラブ選手権、2年連続で、IRE代表をずらりと並べたレンスターを破って優勝したラロッシェル、3番:アトニオ(196cm145kg、元U20NZ代表・現FRA代表)+5番スケルトン(203cm140kg、現AUS代表)が効いていた。「デブ」で「ノッポ」で走れる! 少なくともボールキャリアとして簡単に倒されず・前に出られる+ブレイクダウンできちんと仕事をする+ラインアウトでリフターとして機能し(スケルトンはキャッチャーでもある!)モールの核になる。照ノ富士がグランドを走っているようなものだ。現代版「巨神兵」・理想的な選手だ。
この一年、FRAラグビー界でよく話題に上っているのが、トゥールーズの5番:メアフー(203㎝・145㎏)、フランス選手権優勝チームでのトライ王でもある。そして、現在U205番を背負っているトゥイラギ(ペルピニヤン所属、192cm149kg)。「デブ」で「ノッポ」で走れるこれら4選手、いずれもサモア系である。
 
ちなみに、先週末の前哨戦、JPNXV/NZXVRSA/AUSARG/NZの先発FW8人の総重量は次の通り。
                                                                (単位:kg)
JPNXV
 NZXV
 RSA
 AUS
 ARG
 NZ
    885
    907
    932
    928
    911
    886
 
これをどう見るか。NZ、機動力のあるFWを優先しているのだろうか。FRARSAなどの重いFWとの闘いがどうなるのか、今年のW杯の注目ポイントではないだろうか。AUSは、HCが交代し、重くて機動力のあるスケルトンが先発出場した。彼を軸にしたゲームプランが浸透するか否か、気になる。
 
FWの消耗度はBKの比ではない。とすれば、リザーブにFWを多く置く方が理にかなっている気がする。現に、2019大会優勝のRSAは、それで勝ったと言っても過言ではない。であるにも拘わらず、多くのチームは「リザーブ(フィニッシャー)8人はFW5人・BK3人」を墨守している。
先週末の前哨戦3試合のリザーブの交替状況は以下の通り。
 
 
  16
  17
  18
  19
  20
  21
  22
  23
JPNXV
   2
  46
   1
  60
   3
  46
   6
  60
   8
  46
   9
  60
  10
  56
  12
  66
NZXV
   2
  57
   1
  57
   3
  68
   8
  63
   7
  48
   9
  57
  10
  57
  12
  68
RSA
   2
  62
   1
  62
   3
  62
   5
  53
   4
  69
   6
  64
   9
  64
  15
  72
AUS
   2
  64
   1
  62
   3
  62
   5
  52
   6
  38
   9
  59
  12
  52
  10
  69
ARG
   2
  69
   1
  65
   3
  65
   5
  62
   7
  61
   9
  65
  14
  49
  13
 53
NZ
   2
  46
   1
  54
   3
  61
   5
  54
   6
  67
   9
  61
  15
  61
  13
  69
(注)上段:交替背番号、下段:時間
 
本番でなく、各選手を試している段階なのだけれども、JPN(そしてNZXVだけ)は4番・5番ともに80分フル出場している。いささか気になる点である。
 
さて、消耗戦を戦い・試合を決める時間帯がやってくる。ガルティエFRAHCは、この重要な時間帯を「プライム・タイム」と名付けて説明している。大会にとっての「プライム・タイム」は、夜。大会の試合は、①日中 ②薄暮 ③夜=ナイターで行われる。JPNの予選プール4試合のキックオフ時間は、13時・21時・21時・13時。ちなみに、各チームのキックオフ時間は次の通り。
 
ランキング
     A
     B
     C
     D
     1
21-21-21-21
17-15-21-21
21-17-21-15
21-21-17-17
     2
21-21-21-21
15-21-21-21
18-17-21-17
13-21-21-13
     3
13-17-21-21
17-17-21-21
21-17-17-21
21-17-15-13
     4
21-17-17-21
21-17-21-17
18-14-17-15
15-17-21-17
     5
13-21-21-17
15-15-21-17
17-14-17-21
13-15-17-15
 
予選プールの4試合、FRAは全試合・21時キックオフ。NZも全試合・21時キックオフ(NZ国内のテレビ視聴者は、どんな時間帯であっても起きて観る、ということなのだろうか)。それに対して、夜の試合がないのが、PoolC:ランキング・4のジョージアとPoolD:ランキング・5のチリ。なんとなくわかる気もする。
今の暑さが9月以降どうなっているか?気になるところである。
 
おそらく、「革新」なるものは「常識破り」から生ずる。いつの間にか、センターは「抜きにかか」らず・ぶち当たることが常態化し、ウィングは両サイドにはっておらず・神出鬼没にボールにからみにくるようになってきた。RSAが幾たびか試みているグランド中央でモールを作りに行くプレー、熟度が増すと脅威になる気がしている。
 
令和5715

0 件のコメント:

コメントを投稿