2023年12月9日土曜日

岡島レポート・2019 W杯・備忘録 202

 ニッポンのラグビー熱 どれぐらい 熱いのやら…

2019 W杯・備忘録 202
〜 M42 NZ/IRE 2 〜
 
The All Blacks flew into us from the start, and we helped them along, making too many errors. I think our confidence slipped once we conceded the ball a few times and conceded scores that were far too easy for the All Blacks to convert. (p320)
 
この文章、2019WM42NZ/IRE直後にIREHC(当時)シュミットが書いたものである。(Joe SCHMIDT Ordinary Joe 2019) そのシュミットがコーチを務めるNZが、2023WM42でもIREと対戦した。シュミットが中心になって創造・確立したセクストン・システムをシュミットがどう攻略するか、試合前から楽しみで仕方なかった。
「先行逃げ切り」、おそらくシュミットが思い描いてた通りの試合展開になった!? NZは一度もリードされなかったのだから…
 
2分、ファーストスクラムでIREP
S-p⇒PKTK12〜 これで40m前進 L2/5)・4→2→12R8R2R7R8R3R9712R93R913R96R92R81412R82R7101113R96R913R91R96101512R96R89R11R6R11R94R914R98R94R97R92R98R(㈬ノットロールアウェーpAD)・910インゴールへパント、14と㉃が競り合いどちらもタッチダウンできず、pに戻る
NZ30フェーズの攻撃、特徴的なのは、まずピック&ゴーで5フェーズ、そして、多くは9からのワンパスでコリジョン。自分たちの描いていた通りの攻撃が出来ている。
7分、PG10 NZ3-0IRE
 
k・㉂〜13R96R9BK〜 どちらもキャッチできずIREボール・r・㈷→㉀→㉂→㈹・r・㈷→㉂→㈺・r=8ノットロールアウェーP
 
狙える位置にも拘らず、タッチに蹴りだす(スタンドからは大歓声)。「たられば」であるが、ここで冷静に(?) PGを狙っていれば、この試合どうなっていたのだろうか… NZゴール前10mIREボールラインアウトで再開。
 
PK=TK・㉂〜 l4/7)㈮に投げるも4がタップ・一旦NZボールになりかけるもIREボールに ㈷→㈹・r・㈷→㈬・r・㈷→㈰・r・㈷→㈾→㉃ パスが流れてタッチに
 
IRE「取り切れず」 or NZ「守り切る」
 
L3/4)・598R9BK〜 ㉃→㈾・r・㈷→㉀ハンブル㈷:SP〜 1015TK
 
l3/5)㈮→㈷→㉂→㈹→㉀・r8ジャッカル=p)⇒PG12 NZ6-0IRE
 
k・㉂〜 2R910LK〜 ㈱→㉃・r・㈷→㈰・r・㈷→㉂→㈾→㈱→㈷→㈺・r・㈷→㉂→㈰・r・㈷→㉂→㉀→㈹→㈭・r・㈷→㉃・r・㈷→㈭→㉂→㈯・r・㈷→㉂→㈾・r・㈷→㉂→㈯→㈱・r・㈷→㈭・r・㈷ NZゴール前に迫るも・捕まって・NZボールに 8TK
 
再び、IRE「取り切れず」 or NZ「守り切る」
 
l5/7)・㈭→㈷→㉃→㈹・r・㈷→㈪・r・㈷→㈯・r7ジャッカル=p)⇒PKTK12
 
L3/4)・69108R9BK〜 ㉃フェアーキャッチ
㉃:fkLK〜 1015SP:自らキャッチ・R9512111311TG10
 
NZ9のボックスキック、おそらく遠くへ蹴りすぎて、IRE11・フェアーキャッチ。即座に、11がロングキック、NZ22mライン付近まで蹴りこむ。このロングキック、おそらくNZの想定内、どう攻略するのか、どこが手薄になるのか、十分分析し、事前に準備できていたであろう。ラインディフェンスを面で上げてくるIREに対して、その裏にNZ15絶妙のショートパント・自らキャッチする。こういうことが出来るのはNZだけ!? あっという間にトライに結びつける。
 
18分 NZ13-0IRE
 
試合の「入り」、NZがボールを保持し・ラックを連取するというIREの「お株を奪った」攻撃ではじめるなどし、リードを奪う。IREにとっては、誤算続きだっただろう。
 
シュミットの自伝の中に次のような部分がある。
 
I first heard Graham Henry describe the breakdown as the heart of the game at a Super Rugby conference, and it made good sense to me. With the ruck being the most common source of possession in the game, it pumps the lifeblood into your attack. The more efficiently the heart functions, the greater the capacity for the ball to be circulated to different parts of the pitch. (p187)
 
そして、フランスのクラブチーム:クレルモンのコーチ時代に参加したフランス協会の研修でのことを語っている。
 
One presentation that had a telling impact for me was a statistical and technical study that had been done on the ball retention. The focus had been on the ball carrier and the arriving players, and the results were prescient. Retaining the ball relied upon what the ball carrier did 60 per cent of the time, the next arriving player had a 20 per cent influence, and other who arrived or were involved after that had a 20 per cent influence.
The attacking kerbstones or Big Rocks in the terms Ive coached since I saw that presentation have been the ball carrier, followed by the two closest players. The ball carriers ability to be dynamic on his feet as well as on the ground has been crucial, while the next two players, whose job it is to clean out any threats or to brace themselves over the ball carrier to ensure that the ball is secure, have allowed us to be highly successful in keeping the ball and processing it effectively. The 60/20/20 statistics gave me something tangible to sell the message to the players with. (p187)
 
おそらく、セクストン・システムの「肝」もブレイクダウンにあるのだろう。では、対戦相手は、どう立ち向かえばいいのか?
その観点から、この試合の入りを見返してみると、
  1. NZボールラインアウトから30フェーズ重ね・IRE4Pを犯し・NZPGを決める(=タックラーのIRE4をラックに巻き込んだNZの「技あり」 
  2. NZ9のボックスキックからIRE2フェーズ目でNZ8がジャッカルに入るも倒されPIREPGを狙わずにタッチキックを蹴り・NZゴール前に迫る 
  3. IREボールラインアウトから最初のラックでNZ8がジャッカル=IREP(特筆すべきはNZ7のタックルでIRE8を倒し、即座にNZ8がボールに絡む。NZ7・ケインのこのタックル、決勝戦でのレッドカードよりも記憶に残したいものだ。60%のウェイトを占めるボールキャリアとしてIRE8は優れている。それを上回ったNZ78、見事) 
  4. NZ10のロングキックからIRE11フェーズを重ね・NZゴール前に迫るも・IRE9が孤立し・NZボールに 
  5. IREボールラインアウトから3フェーズを重ねたところでIRE7が孤立し・NZ7がジャッカル=IREP 
と前半20分までの間に、IREはマイボールラックで「2」・敵ボールラックで「1」のPを犯しているなど、ブレイクダウンの攻防でNZに劣後していた。
 
それにしても、自ら創造・確立したシステムを自らの頭脳で破壊する、どんな心境だったのだろうか。
 
令和5129

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